新時代の不動産トレンド! 知っておきたい「密」回避のコンタクトレス・テック

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新時代の不動産トレンド! 知っておきたい「密」回避のコンタクトレス・テック

コロナ禍で高まる「コンタクトレス(非接触)」需要

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大を防止するため、首相官邸や厚生労働省が「3つの密(3密)」の回避を呼びかけています(※1)。3密とは、「密閉」「密集」「密接」。WHO(世界保健機関)もFacebookやTwitterを通じて、3密の英訳に相当する「3C」(Crowded places、Close-contact settings、Confined and enclosed spaces)を避けるようメッセージを発信(※2)して話題を呼びました。

「密閉」空間にならないようこまめに換気をしたり、買い物でレジに並ぶ時も、前の人と2メートル以上距離をとるようにしたり、会話をする時は必ずマスクを着用したり。こうした個人レベルでできる「3密回避」行動もすっかり日常に溶け込みつつありますが、ビジネスの世界でも今、ウイルス感染を防ぐための「非接触=コンタクトレス」テクノロジーが注目を集めています。

事態が収束した後の「アフターコロナ」や「ニューノーマル」と呼ばれる時代においても、再びパンデミックが起こることを阻止する必要があるため、非接触テクノロジーの社会実装は進んでいくでしょう。

不動産業界においてもオンライン内見をはじめ、非対面での内見や接客を可能にする不動産テックサービスの需要が急速に高まっていますが、ほかにどのような技術が「非接触」時代に対応するテクノロジーといえるのでしょうか。

※1 参考:厚生労働省「新型コロナウイルス感染予防のために」(2020年8月12日閲覧)・首相官邸「新型コロナウイルス感染症に備えて~一人ひとりができる対策を知っておこう~」(2002年8月12日閲覧)
※2 引用:World Health Organization (WHO)Twitter(2020年7月17日投稿)

「密」を回避する最新テクノロジー

リモートワークや時差出勤、多人数が集まるイベント開催の自粛など、「密集」や「密閉」を回避するために人々のライフスタイルは大きく変わりました。新たな社会生活を支えるため、次のようなテクノロジーに注目が集まっています。

オンラインイベントプラットフォーム

こちらの記事で紹介した「cluster」のように、密になりがちな大規模イベントや展示会などをバーチャル空間で開催する動きが盛んになってきています。

最近では、CyberZ、エイベックス・エンタテインメント、テレビ朝日が協業し運営する国内最大級のeスポーツイベント「RAGE」をバーチャル空間上で体感できる「V-RAGE」の正式ローンチが発表されました。

スマートフォンやPC、VR機器を使い、先述のcluster上に作られたバーチャル空間にアクセスすることで、自宅からeスポーツ観戦やイベントに参加することができる仕組みです。ボイスチャット機能を使い、遠方にいる友人と会話しながら観戦を楽しむことができるほか、物販ではバーチャル空間上で自分の分身となる「アバター」に着せる衣装だけでなく、実際に着用できるTシャツを購入することも可能。特にスポーツ観戦やライブのような「体験の共有」が肝となるイベントにおいて、こうした取り組みは増えていきそうですね。

「V-RAGE」外装内装のデザイン「V-RAGE」外装内装のデザイン【出典】RAGEのプレスリリースより【URL】https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000017.000059480.html

Web会議(ビデオ会議)ツール

リモートワーク(テレワーク)が普及し、社内会議やお客様との打ち合わせにZoomなどのWeb会議ツールを使うようになった、という不動産関係者の方も多いのではないでしょうか。

こちらの記事で取り上げたように、最近ではVR技術を使った新しいWeb会議システムにも注目が集まっています。オンラインイベントの項でも少し触れましたが、既存の平面的なWeb会議ツールでは共有しきれない部分を、VRなどの新技術を使って補おうとする試みが見られるようになってきました。

画像解析、AIセンシング

公共施設や飲食店などの人が集まる施設運営においては、監視カメラやセンシング技術を使い、一カ所に人が密集し過ぎるのを避けるシステムに注目が集まっています。

例えば、2020年6月11日にNECが発表した「ソーシャルディスタンシング判定技術」。これは、あらかじめ施設に設置されているカメラの映像を解析し、リアルタイムでソーシャルディスタンシング指数(密集度)を可視化する技術です。施設の管理者に動線誘導を促したり、利用者にスマホやデジタルサイネージを通じて、ソーシャルディスタンスを確保するよう知らせることが可能となります。

また同年5月7日、ビズライト・テクノロジーはスーパーマーケットなどの運営会社と協力して、小売店舗での3密を避けるデジタルサイネージシステムの提供を開始。実店舗への導入も始まっています。

こちらはAIセンシングによって店内の滞留者数を計測し、計測結果に応じて店舗入口に設置したディスプレイに店内の混雑状況を表示。同じ情報をWebサイトでも確認できるようにするシステムです。ほかにもカメラやセンサー、AIやビッグデータを使って人の動きを解析・可視化する動きは活発化しています。

ビズライト・テクノロジーの案内ディスプレイビズライト・テクノロジーの案内ディスプレイ【出典】株式会社ビズライト・テクノロジーのプレスリリースより【URL】https://www.atpress.ne.jp/news/212237

ロボット技術

人と人との密接を避けるため、接客や清掃業務にロボットを活用する動きも盛んになってきています。

以前こちらの記事で取り上げたアバターロボット「ugo」を手掛けるMira Roboticsは、2020年5月26日に接触感染の拡大防止策として、UV-C(紫外線)除菌機能を搭載したロボットハンドを開発したことを発表しました。オフィスビルや商業施設内の共有部にあるドアノブやエレベーターのボタンなどに紫外線を照射し、新型コロナウイルスを除菌する仕組み。警備・点検・清掃といった施設内での一部業務を遠隔操作で実施できるugoに除菌ハンドを搭載することで、日々の巡回移動の「ついで作業」として定期的に除菌を行うことが可能になります。

UV-C(紫外線)除菌ハンドで人が触れる場所を紫外線除菌するugoUV-C(紫外線)除菌ハンドで人が触れる場所を紫外線除菌するugo【出典】Mira Robotics株式会社のプレスリリースより【URL】https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000034305.html

また、成田空港の巡回・警備に導入されている自律移動型セキュリティロボット「SQ-2」を手掛けるSEQSENSEは2020年8月12日、Mira Roboticsとともに京浜急行の本社ビルで実証実験を実施したと報じられました。両社は京浜急行電鉄とサムライインキュベートによるアクセラレータープログラム「KEIKYU ACCELERATOR PROGRAM」の第3期参加企業。デモンストレーションではロボットによる移動や警備員への引継ぎ、来客者へ検温を行う様子が公開されたそうです。

ドローン宅配、オンライン診療

かねてより注目されていた分野である、ドローンを使った宅配やオンライン診療。ここでも「withコロナ」時代を見据えた挑戦が始まっています。

経済産業省北海道経済産業局、旭川医科大学、ANAホールディングス、アインホールディングスは2020年7月18・19日に北海道旭川市、エアロセンス、緑が丘あさひ園、日通総合研究所の協力のもと、オンライン診療・オンライン服薬指導と連動した、ドローンを使った処方箋医薬品の低温配送による非対面医療の実証実験が実施されました。

ドローンを使った処方箋医薬品の低温配送による非対面医療の実証実験のイメージ図実証のイメージ図【出典】ANAホールディングス株式会社のプレスリリースより【URL】https://www.anahd.co.jp/group/pr/202007/20200710.html

9団体の共同発表によれば、この実証の結果をもとに、将来的には「オンライン診療→電子処方箋発行→オンライン服薬指導→ドローンによる処方箋医薬品配送」という一連のサービス提供を目指していくとのことです。

エアカーテン技術

感染対策として、こまめな換気や空調設備を整えることの重要性はご存じの通り。中でも注目されている空調設備の一つであるエアカーテンは、建物の出入り口に空気流の膜を作り、外気やほこり、花粉などの侵入・冷暖房の漏洩を防ぐ技術。工場や医療現場、飲食店など、さまざまな場面で活用されています。

この技術を応用して、神戸大学医学部附属病院と医療系ベンチャーのマトリクスは2020年8月6日、医療現場などにおける感染対策として「アクティブマスク」を共同開発したことを発表しました。アクティブマスクは通常のマスクやフェイスシールドなどと併用して使う棒状の器具。首や肩に掛けて装着できるようになっています。鼻や口の前に、高性能フィルターで浄化された空気の流れによるエアカーテンを展開することで、ウイルス粒子の吸入を防ぐ仕組みです。飲食店や通常のマスクを装着できない場面など、医療以外にも応用可能な「携帯できる」エアカーテンということで、さまざまな場面での活躍が期待されています。

深紫外線LED

また、直接「密」を避けるためのテクノロジーと並行して、ウイルスを殺菌する技術も進化しています。中でも需要が高まっているのが、一般的な紫外線に比べて波長が短く、高い殺菌効果を持つ「深紫外線」を活用した製品。

2020年4月15日、徳島大学発の半導体スタートアップであるナイトライド・セミコンダクターは、独自開発した深紫外線発光ダイオード(LED)を使い、コロナウイルスの不活化(ウイルスなどの感染性や毒性を失わせること)性能を実証したことを発表しました。深紫外線LEDにより大腸菌、黄色ブドウ球菌などの細菌、インフルエンザウイルス、ノロウイルスの不活化に関しては既に実証済でしたが、コロナウイルスの検証はこれが初めて。同社のUV殺菌器を使うことで、マスクやスマートフォンなど身の回りの物を安全、安価、且つ簡単に不活化することが可能。2020年7月より、同社は医療現場での使用を想定した殺菌ボックスの受注も開始しています。

さらに、宮崎大学医学部と医療機器メーカーの日機装が同年5月27日、同社の製品に搭載されている深紫外線LEDについて、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2ウイルス)の不活化試験を実施し、その有効性を確認したと発表しています。人が触った医療器具や院内の壁などに深紫外線LEDを照射して病院の院内感染を防ぐ利用法のほか、同社はホテルやカラオケボックスでの活用も検討すると報じられています。広範囲を一度に殺菌する手だてとして、多様な施設などへの応用が期待される技術です。

4つ目の「密」を避けろ! 今再注目される「タッチレス」テクノロジー

可能な限り「3密」を回避していても、不特定多数が触れる物への接触が避けられない場面は少なくありません。例えば駅の券売機に使われているタッチパネルなどにウイルスが付着している可能性はぬぐい切れません。こうした状況を踏まえ、最近では3密に加えて避けるべき4つ目の「密」に「密着」が挙げられることも。公共物などは利用の都度殺菌する方法のほか、そもそも手が触れない=非接触(タッチレス)テクノロジーを採用することで感染拡大を防ごうという動きも拡大しています。

キャッシュレス・コンタクトレス決済

国内でも少しずつ広がってきたキャッシュレス決済。その中でも、端末や人の手と接触せずに使えるコンタクトレス決済の需要が急速に高まってきています。

2020年8月4日、自動車業界に向けてAI技術を提供するセレンス(Cerence Inc.)は、音声対話型AIを活用した車内での安全なコンタクトレス決済を提供する新製品「Cerence Pay」を発表しました。Cerence Payはドライバーのニーズを予測し、声紋や顔の生態認証を通じて購入意向の確認から認証、支払処理までをシームレスに行えるよう設計されています。例えば給油が必要な際に音声アシスタントに最寄りのガソリンスタンドへの案内を訪ねた後、車内から直接Cerence Payを使って料金を支払ったり、駐車料金や通行料金をCerence Payで支払ったりといった利用シーンが想定されます。

同社は自動車メーカーのアウディと提携し、今後のアウディ・ブランド車に同システムを搭載していく共同プロジェクトを実施中です。

生態認証(顔認証・音声認識)

先述のコンタクトレス決済とも重なりますが、顔認証や音声認識といった非接触による生態認証技術も活況な領域です。

三井不動産グループは2020年8月より、NECの顔認証技術を活用したスマートホスピタリティーサービスを導入したホテルブランド「sequence」の営業を開始しました。宿泊客は、事前に登録した顔情報と予約情報などを紐づけておくことで、タブレット端末を通した非対面でのチェックインが可能となります。さらに、各客室の解錠は鍵やカードといったルームキーを使わず、顔認証を利用して行います。

また、同年8月3日にはリコーと音声認識技術「AmiVoice」を展開するアドバンスト・メディアが音声認識ソリューション分野での業務提携を発表しています。スマートスピーカーをはじめとする音声アシスタントなど、音声認識技術の普及が遅れ気味と言われてきた日本ですが、コロナ禍を機にその有用性が見直されています。

空中ディスプレイ

今回最後に紹介するのが、一般的なタッチパネルディスプレイの代わりに普及の兆しを見せている空中ディスプレイ。

2020年7月27日、マクセルは同社の新技術により高輝度で視認性の良い空中映像と、高精度の空中操作が可能な空中ディスプレイ「Advanced Floating Image Display」を開発したことを発表しました。ジェスチャーなどを利用して画面に触れることなく、空中に表示されたスイッチやアイコンをタブレット端末のように操作することができる仕組みで、医療機関や金融機関、商業施設、交通機関など、不特定多数の人々が利用する場所での需要が見込まれています。

さらに同年7月31日、キオスク端末ブランドを展開するエム・ティ・プランニングとツボタテクニカは、空中ディスプレイ式タッチレスキオスク端末のプロトタイプを発表。こちらも医療施設や食品施設をはじめ、オフィス、公共施設、商業施設、飲食施設、アミューズメント施設などあらゆる施設での利用が想定されています。接触感染を回避したいという需要が非常に高いことから考えてみても、既存のタッチパネルが順次空中ディスプレイに置き換わっていく日はそう遠くなさそうです。

空中ディスプレイ式タッチレス空中ディスプレイ式タッチレス(非接触)受付用キオスク端末のイメージ【出典】エム・ティ・プランニング株式会社のプレスリリースより【URL】https://www.value-press.com/pressrelease/249800

感染拡大を阻止するため、そして「アフターコロナ」時代を見据えて、既存の技術・新機軸の技術の開発が急ピッチで進められています。これからの不動産に求められる設備やサービスを見定めるためにも、引き続きトレンドを注視していきたいですね。

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