3Dプリンター住宅の海外事例5選を紹介! アメリカ、フランス・・・日本との違いとは?

2024.03.06
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3Dプリンター住宅の海外事例5選を紹介! アメリカ、フランス・・・日本との違いとは?

3Dプリンター住宅のメリット・デメリットとは?世界で市場規模が急拡大

3Dプリンターで作る住宅は、通常の住宅と比べ安価で早く建築できるというメリットがあります。工期が短いため建築に関わる作業員が少なく済み、比較的工程がシンプルですのでCO2排出削減も期待できます。

日本国内 では、セレンディクス株式会社が2023年7月25日に二人世帯向け3Dプリンター住宅「serendix50 (フジツボモデル)」を竣工しました。
serendix50は二人世帯向けの50㎡の住宅で、鉄骨造+鉄筋コンクリート造、施工時間は44時間30分、販売価格は550万円です。

地震大国の日本では、3Dプリンター住宅の耐震性が懸念材料ですがセレンディクス株式会社は保険会社と提携し、3Dプリンター住宅serendix10(スフィアモデル)の購入者向けに補償を提供しています。

さらにserendix50はコンクリート単一素材で現在の建築基準法に準拠し、鉄骨の柱を入れた鉄骨コンクリート造です。

日本では建築物を建てる際に、建築基準法37条で定められた材料を使用しなければいけません。

加えて、同法20条に「自重、積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して安全な構造のものとして(略)基準に適合するものでなければならない」という規定があります。

3Dプリンターで主に利用されるモルタルは、指定材料の対象外です。そして、構造の安全性が担保できるかが課題となります。
海外では日本と法律が異なり制約が少ない国もあるため、3Dプリンター住宅のさまざまなプロジェクトが進行中です。

3Dプリンターの市場規模は急拡大しており、2021年時点で3億7170万ドルと評価されています。

世界の3Dコンクリートプリンティングの市場規模が急拡大、2031年までに1兆2565億ドルに

アメリカの調査会社Allied Market Researchが発表したレポートによると、2021年時点で3億7170万ドルと評価され、2022年から2031年にかけて131.8%の年平均成長率で成長すると予測されています。


【画像出典】Allied Market Research「3DPrintingMarketSize,Share,CompetitiveLandscapeand Trend Analysis Report」より【URL】https://www.alliedmarketresearch.com/3d-printing-market

一方で、3Dプリンター本体やメンテナンス、オペレーション・ソフトウェア、ハードウェアなどのコストが大きく印刷のサイズに制限があるという課題があります。
3Dプリンターは、2024年現在アメリカやヨーロッパで導入率が高いです。アジアでは日本・中国・インドが導入しています。

3Dプリンターの先進国であるアメリカやヨーロッパ・中国の3Dプリンター住宅の事例を見ていきましょう。

3Dプリンター住宅の海外事例5

  1. アメリカ:テキサス州で3Dプリンター住宅群を建設中
  2. オランダ:四階建ての3Dプリンター住宅を建設
  3. 中国:3Dプリンター住宅住宅を始め、橋や公園も
  4. フランス:世界初の3Dプリンター公営住宅が完成
  5. ドイツ:世界初の3Dプリントクラブハウスが誕生

1.アメリカ:テキサス州で3Dプリント住宅群を建設中

アメリカ・テキサス州では、ICON社により世界最大規模となる3Dプリント住宅群が建設中で2023年8月に最初の住宅が公開されました。

アメリカの大手住宅ディベロッパーLennar社と、3Dプリントのパイオニアである建築会社ICON、デンマークの設計事務所BIG(ビャルケ・インゲルス・グループ)の共同プロジェクトです。

ICON社の 3Dプリンター「Vulcan」は、3Dプリンター住宅建設の実績があり、過去には3800平方フィート(約167㎡)の兵舎を建設した事例もあります。


【画像出典】ICON「3D-printed Barracks at Camp Swift」より【URL】https://www.iconbuild.com/projects/3d-printed-barracks-at-camp-swift

アメリカでは、2023年8月に3Dプリンター企業Branch Technologyが、アメリカのアリゾナ州チャタヌーガ市にホームレス向けの住宅を3Dプリントで建築したことも話題となっています。

2.オランダ:4階建ての3Dプリント住宅を建設

オランダの3Dプリンター企業CyBe Construction社は、2017年2月 にドバイで3Dプリンター住宅を完成させました。

以降はニュージーランド、オランダなどでも3Dプリンターのベンチや住宅を建設しました。同社はオランダの住宅開発会社 Lab040 と協力し、世界初となる4階建て3Dプリントアパートを建設することを発表しています。

3Dプリントを行うのは現地ではなく、完成したユニットをあらかじめ自社の工場で建設し現場で設置する方法で組み立てられます 。
独自に開発した「PPVC(Prefabricated Prefinished Volumetric Construction)」と呼ばれる方法で、従来の建設コストを半分に削減する見込みです。

同社が開発した3Dプリンターは會澤高圧コンクリート株式会社(北海道・苫小牧市)が2018年に導入し公衆トイレ2基を出力しました。
トイレは北海道深川市の深川工場で従業員用のトイレとして利用されています。

【画像出典】CyBe Construction「References Sapporo Park Restrooms」より【URL】https://cybe.eu/cases/sapporo-park-restrooms/

3.中国:3Dプリンター住宅を始め、橋や公園も

中国の清華大学建築学部の徐教授は、2022年に開催された冬季オリンピックの共同開催地である張家口市五家庄村に3Dプリンター住宅を建設しました。
延床面積106㎡で、3つの寝室とキッチン、トイレを備えており、建設は2週間で完了しました。

中国では、2018年に西暦605年ごろに完成した歴史のある安済橋をオマージュした橋を3Dプリンターで建設したこともあります。

2021年には中国の建設用3Dプリント企業Advanced Intelh3gent Construction Technologyが、5,523㎡の「宝安3Dプリントパーク」を3Dプリンターで建設し、中国・深圳におよそ10週間で完成させました。

【画像出典】深圳市人民政府「3D“打印”公园」より【URL】http://www.sz.gov.cn/cn/xxgk/zfxxgj/tpxw/content/post_9266082.html

4.フランス:世界初の3Dプリンター公営住宅が完成

フランスでは、2018年に初めて3Dプリンターハウスがロワール川河畔の港湾都市ナントに公営住宅として完成しました。ナント大学の研究チームを中心に構成されたプロジェクトチームが建設し「Yhnova」と名付けられました。


【画像出典】Reuters/Stephane Mahe「フランスで『世界初』の3Dプリンター製公営住宅、6月に初入居」より【URL】https://jp.reuters.com/article/idUSKBN1HI0KE/

「Yhnova」はY字型の家(延べ床面積95㎡)で、5つの部屋があります。
住宅のコストは179,000ポンド(約2,620万円)で、伝統的な工法の建築物より約20%安いです。

主要構造のプリントは54時間ですが、将来的に同規模の建設時間を33時間にまで短縮する研究を進めています。
最初の利用者は6月に入居し、空気の状態と湿度・温度を監視するセンサーと、建物の温度特性を分析する機器が設置されています。

ナント市は、今後も3Dプリンターによる建物の建設を計画中です。

5.ドイツ:世界初の3Dプリントクラブハウスが誕生

ドイツは、2021年にベックムという都市で3Dプリンター住宅が完成しました。
大手建設企業PERIのグループ会社「PERI 3D Construction」が、デンマークのCOBOD社製の「BOD2」という3Dプリンターを用いて建設しました。施工現場にいる作業員は3Dプリンターの動作を確認する2人のみで、躯体工事は8日で完了し ました。

2023年7月にPERI3D Constructionは、ドイツで世界初の3Dプリントクラブハウスを建設しました。クラブハウスは2階建ての延床面積330㎡の建物で、地元のサッカーチームのSCカペルフットボールチーム専用として使用されます。

PERI 3D Constructionは、2023年12月にヨーロッパ初の3Dプリンターによる3階建ての公営集合住宅の建設も発表しています。

まとめ

3Dプリンター住宅の国内の状況、世界の市場規模や海外事例を解説してきました。

海外では、3Dプリンター住宅のプロジェクトが日本より大規模に進行していることが分かります。
セレンディクス株式会社は2023年12月15日にヤマイチ・ユニハイムエステート株式会社と資本提携を結びました。日本初の3Dプリンター住宅タウン実現を目的としています。
今後は日本でも、3Dプリンター住宅の街ができるかもしれません。

 

執筆者/田中あさみ FPライター。大学在学中に2級FP資格を取得、医療系の仕事に携わった後ライターに。CFP(R)相続・事業承継科目合格。全科目合格に向けて勉強中。
金融・フィンテック・不動産・相続などの記事を多数執筆。
ブログ:https://asa123001.hatenablog.com/
X:https://twitter.com/writertanaka19

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