大手ゼネコンがこぞって開発・導入を推進する「建物OS」とは何か

2022.02.22
  • 0
  • 0
  • 0
  • LINE
大手ゼネコンがこぞって開発・導入を推進する「建物OS」とは何か

建物全体を統合管理し、人が快適にいられるようにする「建物OS」

人が来るのを見越して空いているエレベーターが降りてくる。人が座れば空調や調整の調整がはじまる----。

建物全体で人が快適にいられるようにする試み「建物OS」。竹中工務店や大成建設、清水建設などの大手ゼネコンが推進しています。建物OSは、建物をデジタル化するプラットフォームです。

導入メリットは建物運用・管理の効率化、利用者の利便性や安全、安心向上。主としてオフィスビルでの利用が見込まれています。既存オフィスビルにもソフトウェアとIoT機器などを組み込むことで実装可能であることから、オフィスビルの資産価値向上にもつながるともいわれています。各社の建物OSについて以下に紹介します。

■DX-Core/清水建設

【出典】清水建設【URL】https://www.shimz.co.jp/engineering/solution/dxcore.html

DX-Coreは、建物内の建築設備やIoTデバイス、各種アプリケーションの相互連携を容易にする建物運用デジタル化プラットフォーム機能を備えた基本ソフトウェアです。新築、既存を問わず実装でき、新築の場合、DX-Coreサーバーと建物管理システム、セキュリティシステム、IoTデバイス、ネットワークインフラ、サービスアプリケーションを顧客ニーズに合わせてパッケージ化し、実装します。

出典】清水建設【URL】https://www.shimz.co.jp/company/about/news-release/2020/2020025.html

■LifeCycleOS/大成建設

パブリッククラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」上で、これまで設計施工に活用しているBIMデータと建物の運用管理情報を組み合わせてカスタマイズした「サービス用BIM」に、竣工後に蓄積していく各種データ(IoT管理・ロボット管理・施設管理・エネルギー管理等)を紐づける、業界初の統合管理システム「LifeCycleOS」を開発し実装提案を開始しました。今後、お客様の所有する建物を対象に、「LifeCycleOS」の実装提案を進め、建物の維持・管理・運用におけるニーズに合わせてリアルタイムに活用できる建物情報のDXを推進してまいります。

【出典】大成建設【URL】https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2021/210201_5074.html

■ビルコミ/竹中工務店

「ビルコミ」は建物設備システムやIoTセンサ等によるビッグデータを効率的に扱うため、オープンな通信規格を採用したクラウド型の建物データプラットフォームです。高度なネットワーク技術とオープンなデータ基盤技術を組み合わせることで、建物内のシステムとクラウドをセキュアにつなぎ、高付加価値の建物サービスを継続的に提供することが可能です。

【出典】竹中工務店【URL】https://www.takenaka.co.jp/solution/future/builcomi/

他にも鹿島建設(「鹿島スマートBM」)や大林組(「BIMWill®」)、長谷工(「BIM & LIM Cloud」)もBIMと連動させたデジタルプラットフォームを構築しています。

建物OSはソフトウェアとIoT機器で建物の内部を統合化する

建物OSは、これまでオフィスビルで使われていた機能をソフトウェアとIoTでつなぎあわせ、統合化します。エレベーターはエレベーターのメーカーが管理し、照明は照明メーカーが、空調は空調メーカーが管理していたのとは異なり、それらを一元管理していきます。

一元管理していく上では、メーカー間の連携が不可欠です。清水建設のDX-Coreも、アイホンやセコム、NTT東日本など約50社と組み、「API」で外部データ連携するようにしています。

パソコンやスマートフォンのOSのように、建物に組み込まれた機器やサービスを、アプリのように足したり削ったりアップデートができるイメージです。そしてパソコンやスマートフォンのようにデバイス上で全体像を把握できます。

把握することで、企業のBI(ビジネスインテリジェンス)ツールのようにデータを収集・蓄積・分析・報告も可能になり、建物の運用・管理の効率化、利用者の利便性や安全、安心向上が実現できます。

例えば新型コロナウイルス対策で、カメラで温度を測定し、それをチェックする人がいる----オフィスビルでよく見かける光景です。これをAIとIoT機器が連動し、入居企業の社員が出社時、AIがカメラで人物を特定、体温をセンサーでチェック、発熱していた場合はゲートを開けないといった一連の流れを自動化できるのです。そして、その情報を会社に通知をするといったことも可能です。

建物OSはZEBの実現にも寄与できます。例えば竹中工務店の東関東支店では、既存オフィスを稼働しながら改修を行ない、その後の1年間でネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ネットZEB)を達成しました。モニタリング画面でエネルギー管理を強化、エネルギー需給の予測・統計モデルを機械学習することにより、建物設備の最適制御を実施しました。

竹中工務店東関東支店(外観)【出典】https://www.takenaka.co.jp/solution/asset/higashikanto-zeb/ 

都市OSとの連携が期待される建物OS

令和2年に内閣府より、スマートシティの実現に向けた「サイバー空間」基盤技術に関する指針(リファレンスアーキテクチャ)が公表されました。都市のデジタルデータ基盤が整備され、都市OSの導入が進んでいます。建物OSは、この都市OSとの連携がしやすくなるOSとして注目を集めています。

都市OSは都市のスマートシティ/スーパーシティ化に欠かせない統合管理システムですが、そのシステムをさらに効率よく運用していくためには、都市に存在する建物とのデータ連携も求められます。この時、建物がアナログのままでは連携はままならず、都市OSそのものが本来的な機能を果たせなくなります。そこで、大手ゼネコンはこの流れにあわせ、建物のDXを推進し、これまでにない価値を付与しようと建物OSを開発、導入を進めています。建物OSは建築をするわけではないので、比較的安価でスピード感をもって導入ができることも魅力。あなたが働くオフィスビルもいつのまにか建物OSを実装しているかもしれません。

  • 0
  • 0
  • 0
  • LINE
PR

こちらの記事もオススメです

賃貸のクレーム、対応はどうすれば良い?騒音・退去費用…事例と最新の対処法を解説
賃貸のクレーム、対応はどうすれば良い?騒音・退去費用…事例と最新の対処法を解説
2023.01.18 業界分析
電子契約を導入する企業が急増!セキュリティは大丈夫?リスクと対策を解説
電子契約を導入する企業が急増!セキュリティは大丈夫?リスクと対策を解説
2023.01.11 業界分析
2025年までに新築住宅・増改築の省エネ基準適合が義務化。不動産業界への影響とは
2025年までに新築住宅・増改築の省エネ基準適合が義務化。不動産業界への影響とは
2023.01.06 業界分析
2023年度(令和5年度)税制改正大綱、不動産・DXの注目トピックとは?マンション大規模修繕で固定資産税が軽減
2023年度(令和5年度)税制改正大綱、不動産・DXの注目トピックとは?マンション大規模修繕で固定資産税が軽減
2022.12.26 業界分析
DX推進は補助金・助成金の活用を。国・地方自治体の制度一覧
DX推進は補助金・助成金の活用を。国・地方自治体の制度一覧
2022.12.13 業界分析
「電子契約」「不動産DX」の現在地を大規模調査×ディスカッションから考察|オンラインセミナーレポート
「電子契約」「不動産DX」の現在地を大規模調査×ディスカッションから考察|オンラインセミナーレポート
2022.12.09 イベントレポート、業界分析

記事広告掲載について

スマーブでは、不動産テックに関する記事広告をお申込みいただく企業様を募集しております。どうぞお気軽にお申込みください。