日本のスマートホーム普及を牽引するか? 手軽にスマート化できる家電分野2019最新事情

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日本のスマートホーム普及を牽引するか? 手軽にスマート化できる家電分野2019最新事情

はじめに

スマートフォンやスマートスピーカー、スマートウォッチなど、身の回りの多くのものが「スマート化」(情報処理技術を取り入れること)し、日常のあらゆるシーンで目に触れるようになりました。

昨年「2030年には今の7倍に!?スマートホームの世界市場規模とは」で紹介したように、住宅の「スマート化」も例外ではなく、世界で急速な拡大が見込まれています。

今回は最新のスマートホームサービスを通して、日本のスマートホーム市場の課題と展望をみていきましょう。

デバイスの普及の先にあるサービス分野の成長が重要

調査会社Canalysの「2019年第一四半期における世界のスマートスピーカー出荷台数」によると百度やアリババを抱える中国が世界の51%を占め、ついでAmazonやGoogleが拠点を構えるアメリカは24%と、巨大企業がスマートスピーカー市場を席巻しています。

Canalysサイトより2019年第一四半期における世界のスマートスピーカー出荷台数2019年第一四半期における世界のスマートスピーカー出荷台数【出典】Canalysサイトより:【URL】https://www.canalys.com/newsroom/china-overtakes-us-in-fast-growing-smart-speaker-market

一方、2018年10月に株式会社富士キメラ総研が公表した「スマートホーム市場総調査 2018」によると、海外には及ばないものの、日本のスマートスピーカー市場も2017年以降AmazonやGoogleなど海外製品の流入により国内市場が形成され、2025年には200億円にものぼると予測されています。

【スマートスピーカー国内市場】株式会社富士キメラ総研の「スマートホーム市場総調査 2018」スマートスピーカー国内市場【出典】株式会社 富士キメラ総研「スマートホーム市場総調査 2018」より:【URL】https://www.fcr.co.jp/pr/18096.htm

国内のスマートホーム市場全体をみると、2018年の3兆936億円から、2025年までには4兆240億円に拡大すると予想されています。

【スマートサービスの分類】
スマートサービスの分類表

【スマートホーム関連国内市場】株式会社 富士キメラ総研の「スマートホーム市場総調査 2018」のスマートホーム関連国内市場【出典】株式会社 富士キメラ総研「スマートホーム市場総調査 2018」より:【URL】https://www.fcr.co.jp/pr/18096.htm

中でも、スマートフォンを始めとした手元で操作できるスマートコアデバイスが高い割合を占めるとともに、動画配信サービスの普及も手伝い、ストリーミング端末を含めたスマートルーム関連も比較的、高い割合で市場に存在しているのが分かります。今後、ネットワークに接続可能な生活家電の増加や、音声アシスタント搭載のAV機器の増加により、さらにスマートルーム関連の市場は伸びると予想されます。

しかし、それらはいずれもデバイスや家電など物量の増加に伴う市場拡大であり、普及してしまえばそれ以上の伸びには限界があります。物を「所有する」ことから「利用する」ことが重要視される今、これらを活用したサービス分野の成長が、市場全体の拡大にとって重要となってくるでしょう。

普及を阻害していた規格の壁

このように、デバイスの普及に続くサービス分野の成長を見据えた場合、課題となるのがメーカーごとの規格の違いです。スマートホーム市場に限らず、特に物理的な機器の分野では、黎明期において各メーカー独自の様々な規格が乱立することが多々あります。

市場の競争を経て次第に共通規格に集約されますが、これまでのスマートホーム市場では、メーカーごとの規格の違いにより、例えば機器ごとに専用のアプリを使い分けるなど、使い勝手の悪いものでした。

日本のメーカーにおいても、操作するソフトウェア、端末からデバイスまで、自社のみで完結させる形式が主でしたが、ここ最近はGoogleやAmazonなどのスマートスピーカーなどへの対応や、メーカー相互の連携が実現するケースも出始め、規格の違いを気にすることなくスマートホーム 機器を導入できるようになりつつあります。
今回はそんなスマートホーム市場の分野の中でも、比較的手軽にスマート化を実現できる「家電」の分野について、メーカー各社が連携している最新のサービスを見てみましょう。

COCORO HOME

SHARP(シャープ)
シャープはこれまでにもAIoT(AI × IoT)をコンセプトに「COCORO+」というサービスを提供してきました。COCORO+とは、利用者の好みや習慣を学習して適切なアドバイスをしたり、エアコンなどの自社製品と連携して稼働を最適化したりできるクラウドサービスです。ただ家電と連携するには、自社製品であるという条件付きでした。

しかし2019年5月、シャープは新たに「COCORO HOME」というスマートホームサービスを発表しました。COCORO HOMEは自社の家電との連携だけでなく、セコムや関西電力、他社の家電などと連携することを発表しており、これは日本初の試みです。さらに、COCORO HOMEは「家族の見守り」「家電の一括操作」「家事代行」などのサービスも利用できるプラットフォームとなっています。

COCORO HOMEサイトのトップページCOCORO HOMEサイト【出典】COCORO HOMEサイトより:【URL】https://cocoroplus.jp.sharp/home/

COCORO HOMEを簡単に例えるなら「家中の家電をスマホ一つで操作できる」サービスです。普段作っている料理などから今日の献立を提案してくれる「COCORO KITCHEN」や天気や気候などに合わせてエアコンや空気清浄機をAIがコントロールしてくれる「COCORO AIR」、他にも家族の見守りサービスとしても活躍する「ロボホン」との連携など、シャープは既に10カテゴリー272機種以上でスマートホームサービスを展開しています。

Google Nest Hub

・Google(グーグル)
これまでは音声入力を前提とした「スマートスピーカー」がスマートホームのメインデバイスでしたが、2019年6月にGoogleが発表した「Google Nest Hub」は、音声入力とタッチ操作の両方が可能な「スマートディスプレイ」です。

一見、単なるフォトフレームデバイスのように見えるGoogle Nest Hub。基本は「Googleアシスタント」がメインで稼働する端末です。動画や音楽の再生、ネット検索からスケジュール管理まであらゆる機能が使えて、特に月額料金などもかかりません。

Google Nest HubサイトのトップページGoogle Nest Hubサイト【出典】Google Nest Hubサイトより:【URL】https://store.google.com/jp/product/google_nest_hub

肝心のスマートホームとしての機能ですが、実は日本の家電メーカーの多くが既にGoogleアシスタントの音声入力と連携しています。前述のシャープのCOCORO HOMEも一部機能がGoogleアシスタントから操作可能です。もちろんシャープ以外にも、多くの国内家電メーカーがGoogleアシスタントのパートナーとして名を連ねています。

Nature Remo

・Nature(ネイチャー)
手軽にスマート化を実現するという意味では、いかに既存の環境をそのまま活用できるか、ということも重要です。Nature Remoは家電の赤外線リモコンを一括でスマートフォンから操作・管理できるようにするためのデバイスです。大抵の赤外線リモコンで操作できる家電であれば、小型のデバイスを設置するだけで操作可能です。単純なリモコン操作に加えて、内蔵されたセンサーによって温度や湿度、照度、人の存在を感知し、その条件によって一定のルールで自動で操作することも可能。「帰宅したら電気やエアコンを自動でつける」などのルールを設定することができるのです。さらにスマホのGPSと連動して「家の最寄駅についたらエアコンをつける」といったことも実現できます。
Nature RemoはGoogle HomeやAmazon Echoといったスマートスピーカーとも連携が可能となっており、音声による操作までも実現することができます。

Nature RemoサイトのトップページNature Remoサイト【出典】Nature Remoサイトより:【URL】https://nature.global/

まとめ

今まで家電分野においても、規格の壁に阻まれて普及が進まない状況もありました。各機能やセンサーの定義が違うため、一つのプラットフォームで家電を管理することができなかったのです。

これについて、COCORO HOMEやGoogle Nest Hubなど、各メーカーを横断的に利用できるサービスはその課題を解決することになるでしょう。Nature Remoのような既存の家電を活用できるようなサービスも手軽にスマート化が実現できる一つの形です。

この先、こうした手軽に連携して導入できるサービスが増えていくことが、日本のスマートホーム普及を前進させる一手となるでしょう。
 

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