第4次AIブーム到来か? 人工知能の歴史と導入のメリット・デメリット、不動産業界の事例を解説
- 2024年3月現在、第4次AIブームといわれている。1950年代の第1次AIブームから始まり、技術の進化とともにブームと冬の時代を繰り返してきた
- 2010年以降に、AIが自ら学習することで囲碁や将棋で人間に勝利するようになった
- 不動産業界でも、AI査定、不動産関連事業者向けのAIアシスタントチャットなどAI関連のサービスが続々と誕生
現在は第4次AIブーム?進化を遂げる人工知能の歴史
2022年11月に、OpenAI社が公開した「ChatGPT」が大きな話題となりました。
その後マイクロソフトやアップルなど巨大IT企業がAI開発に力を入れており、2024年3月現在は「第4次AIブーム」といわれています。
AIとは人工知能(Artificial Intelligence)の略称です。人工知能が機械学習を行うことで、画像・音声認識、データの分析・予測などができるようになり今ではChatGPTのような言語生成、自動運転など私たちの生活に関する役割を担っています。
人工知能(AI)の研究は1950年代からスタートし、ブームと冬の時代を繰り返してきました。
【画像出典】総務省「2016年度版 情報通信白書人工知能(AI)研究の歴史)」よりスクリーンキャプチャにて作成【URL】
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h28/html/nc142120.html
第一次AIブームは、1950年代後半~1960年代にアメリカやイギリスで起こりました。
コンピューターによる推論や探索などが可能となり、迷路やチェスなど簡単なゲームができるようになりました。
1980年代の第二次AIブームでは、コンピューターが推論するために必要な情報を与え問題解決を行う「エキスパートシステム」の研究・開発が盛んになりました。
エキスパートシステムとは、AIが専門分野の知識を取り込み専門家のように推論するプログラムです。しかし、現在のAIのようにコンピューターが自ら知識を蓄えることは不可能でした。
日本では、政府により1982年から「第五世代コンピューター」というプロジェクトが推進され数回にわたって国際会議が開催されましたが、1992年にプロジェクトは終了しました。
第三次AIブームは、2000年代から始まりました。2010年以降はAIが自らインターネット上の情報など大量のデータ(ビッグデータ)を学習・推論する「ディープランニング」による「機械学習」が可能となりました。
2012年にはAIがプロの将棋士に、2016年にはプロの囲碁棋士に勝利します。
2022年11月の「ChatGPT」の出現により、AIは再び注目を集め現在は第4次AIブームといわれています。
ビジネスにAIを導入するメリット・デメリット
AIチャットボットなどAIをビジネスに導入することで、時間や場所を選ばず迅速な対応が可能になります。
また、事務処理業務のうち単純作業をAIに担わせることで業務の効率化が期待できます。
業務が効率化されると、人件費の削減や労働力不足への対応が可能となるでしょう。
クレーム対応といった感情労働の一部をAIに任せることで、従業員の精神的な負担が減るというメリットもあります。
ビックデータの分析と今後の予測ができる点もAI活用のメリットです。
一方で、2024年3月現在AIを活用できる人材が少ないという課題があります。
現段階では従業員を雇うよりも、AIの活用はコストが大きいという事例もあるでしょう。
不動産業界でのAI導入事例3選
- AI温度検知システムを体育館に導入
- AI査定
- ChatGPT搭載のAIチャットボット
1. AI温度検知システムを体育館に導入
住友不動産エスフォルタ株式会社は、2021年に運営する体育施設に日本コンピュータビジョン株式会社のAI温度検知ソリューション「SenseThunder(センスサンダー)」を導入しました。
「SenseThunder」は、AIを活用した顔認識技術と赤外線サーモグラフィーにより、発熱の可能性がある人物を検知するシステムです。新型コロナウイルスやインフルエンザなどの水際対策強化として導入されました。
新型コロナウイルス感染症に関しては、2023年11月に京都大学 がAI 技術で新型コロナウイルスの進化メカニズムを分析しヒトの行動とウイルスの進化は複雑に関連している可能性が示唆されたことを発表しました。
2.AI査定
AI査定とは物件名など必要な情報を入力するだけで、過去の取引事例などを元に算出された成約の予想価格が表示されるサービスです。
取引事例(ビックデータ)を学習したAIが、成約価格を推測します。
さまざまな不動産会社のサイトにおいて無料で利用できますが、勧誘の電話がかかってくるサービスもありますのであらかじめ利用規約を確認しておきましょう。
3.ChatGPT搭載のAIチャットボット
株式会社 Realty Bankは、不動産関連事業者向けのAIアシスタントチャット「不動産AIチャット」を提供しています。不動産AIチャットは、不動産関連事業者が抱える課題を解決することを目的に開発されたAIアシスタントチャットツールです。
具体的には入居者対応、不動産売買・不動産投資の相談、AIアシスタントなどに活用できます。
まとめ
AIの歴史と導入のメリット・デメリット、不動産業界の活用事例を解説してきました。
さまざまな企業がAI開発に力を入れていますので、今後ますますAIはビジネスや日常生活など私たちの生活に身近となり利便性を高めてくれる存在になっていくかもしれません。
執筆者/田中あさみ FPライター。大学在学中に2級FP資格を取得、医療系の仕事に携わった後ライターに。CFP(R)相続・事業承継科目合格。全科目合格に向けて勉強中。
金融・フィンテック・不動産・相続などの記事を多数執筆。
ブログ:https://asa123001.hatenablog.com/
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