相続登記のオンライン申請、必要書類や手順とは?メリット・デメリットも

2024.04.16
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相続登記のオンライン申請、必要書類や手順とは?メリット・デメリットも

相続登記のオンライン申請とは

2024年4月から相続登記が義務化となります。
不動産を取得した相続人は、相続もしくは相続による取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。

遺産分割協議で分割をした場合は、遺産分割協議が成立した日から3年以内が期限です。
基本的に登記を代行できるのは司法書士のみで、相続登記においても行政書士・司法書士など士業の専門家の代行サービスが多いです。ただし、高齢のオーナーが増えていますので今後管理会社でも必要書類や流れなどの知識が必要になってくるでしょう。
「自身で相続登記をする」という方のサポートが必要になる可能性もありますので、この記事で相続登記のオンライン申請の大まかな流れやおさえておきましょう。

相続登記は、正当な理由がないにもかかわらず、登記をしなかった場合は10万円以下の過料の対象になってしまいます。

相続登記の申請は、①法務局に必要書類を直接持参する、②オンライン、③郵送という3つの方法があります。

① は平日の開局時間に法務局に足を運ぶ必要がありますが、確実に書類を受理してもらえるというメリットがあります。
② のオンラインは平日の8時30分から21時まで申請ができ、直接法務局に行く必要がありません。
郵送は空いている時間に書類作成ができますが、訂正の手続きが煩雑というデメリットがあります。それぞれメリット・デメリットがありますが、今回は利便性が高いオンライン申請について解説していきます。

オンラインは、添付すべき情報を電子媒体で作成し、作成者の電子署名が付けると申請が可能です。具体的な流れを見ていきましょう。

相続登記のオンライン申請の手順

  1. 遺言書・遺産分割協議などにより遺産の相続人・分割割合などを決める
  2. 必要書類を集める
  3. 相続情報一覧図の作成
  4. オンライン申請の準備
  5. 提出する情報の作成・情報の添付
  6. 電子署名の付与・送信
  7. 登録免許税を納付
  8. 添付書類を郵送

1.遺言書・遺産分割協議などにより遺産の相続人・分割割合などを決める

被相続人(亡くなった方)の遺言書がある場合、基本的に遺言書どおりの相続を行います。
ただし、相続人の遺留分(遺族の最低限の取り分)を侵害している、相続人が高齢で財産を管理できないなどの事例では遺産分割協議で相続人の合意があれば遺言書の内容とは異なる相続が可能です。

遺産分割協議で遺産の相続人や分配割合を決める際には、相続人全員が出席する、未成年者もしくは認知症など判断能力が乏しい方には後見人を付けなければいけないというルールがあります。
遺産分割協議で合意できた場合には、遺産分割協議書を作成しましょう。
後の手続きで必要となります。

2.必要書類を集める

相続登記に必要な書類を集めます。
必要書類は、以下の通りです。遺言書による相続と遺産分割協議では必要書類が異なりますので注意しましょう。

<遺産分割協議の場合>

  • 遺産分割協議書
  • 遺産分割協議書に捺された印の印鑑登録証明書すべて
  • 申告者全員の住民票または戸籍の附票
  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
  • 先順位法定相続人がいないことを確認できる戸籍謄本(第2順位以後)
  • 法定相続人全員の現在の戸籍謄本

<遺言書の場合>

  • 遺言書
  • 検認済証明書(自筆証書遺言の場合)※
  • 遺言書情報証明書(法務局で保管されていた場合)
  • 被相続人の死亡が確認できる戸籍謄本または住民票(本籍・筆頭者記載のもの)
  • 申告者全員の住民票または戸籍の附票

※法務局で保管されている自筆証書遺言・公証役場で保管されている公正証書遺言を除く。検認は家庭裁判所に申し立てて行う
出典:東京都主税局「相続があったとき」

戸籍謄本は相続人・被相続人の本籍地の役所でのみ発行されます。
ただし、本籍地の市区町村で対応している場合はマイナンバーカードを使用し利用登録申請をすることで全国のコンビニエンスストアで取得できるようになります。

遺産分割協議書は相続人が作成します。法務省民事局が公開している以下のテンプレートを参考にしましょう。

【画像出典】法務省民事局「登記申請手続のご案内(相続登記①/遺産分割協議編)」よりスクリーンキャプチャにて作成【URL】https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001392977.pdf

3.相続情報一覧図の作成

不動産の登記申請では、登記原因証明情報を添付します。
登記原因証明情報とは,登記の原因となった事実や法律行為に基づき権利の変動が生じたことを証明する情報です。戸籍謄本や遺産分割協議書などが該当しますが、全てスキャナで取り込み署名を付与して添付すると手間と時間がかかってしまいます。
相続登記は相続が登記の原因ですので、被相続人と相続人の関係を示す「相続情報一覧図」を作成することをおすすめします。

相続情報一覧図は、法務局のホームページに記載例がありますので、参考に作成しましょう。ファイル形式はPDFです。
相続情報一覧図は他のファイルとは異なり一度送信すると修正できませんので、送信する前に複数人で確認しましょう。

4.オンライン申請の準備

オンライン申請の準備として「登記・供託オンライン申請システム」のサイト内で申請用総合ソフトをダウンロードし、インストールを行います。
登記申請は2024年3月22日現在、スマートフォンには対応していません。
相続登記を申請する際には、マイナンバーカードに加えマイナンバーカードに署名用の電子証明書を付与する必要があります。マイナンバーカードを交付されていない人は、署名用電子証明書を付与したマイナンバーカードを申請します。
既にマイナンバーカードを交付した人は、役所で電子証明書を記録してもらいましょう。
マイナンバーカードを読み取るためのICカードリーダライタも必要です。

準備するもの
・PC(スマートフォンは不可)
・マイナンバーカード(署名用の電子証明書入り)
・ICカードリーダライタ

ソフトをインストールした後は、氏名・住所・ID・パスワードなど申請者情報を登録しておきましょう。

5.提出する情報の作成・情報の添付

オンラインで申請書(申請データ)を作成し、送信します。
まずは、インストールした申請用総合ソフトを起動し、ID・パスワードを入力し、申請書様式の選択を行う画面「登記申請書(権利に関する登記)(4)所有権移転登記(相続)署名要」を選択します。
画面の案内に従い、所定の情報を入力していきましょう。
不明な点がある場合、操作手引書(不動産登記申請)【簡易版】のうち、「1-6 申請情報作成例(5)【所有権移転登記・相続(遺産分割協議)編】」の「STEP1 申請情報の作成」と「STEP4 添付情報の添付」を参考にしましょう。

6.電子署名の付与・送信

電子署名は、処理状況表示画面で該当する申請を選択し、画面上部の「署名付与」をクリックします。
今回はマイナンバーカードに電子証明書を付与して申請を行いますので「ICカードで署名」をクリックし、マイナンバーカードをICカードリーダに差し込みOKボタンを押します。

7.登録免許税を納付

申請情報の送信が完了した後は、登録免許税を納付が必要です。
申請用総合ソフトから、ATM・インターネットバンクなどによって電子納付が可能です。

8.添付書類を郵送

オンラインでは添付できない情報もありますので、添付できないものは書面を法務局に郵送します。

まとめ

オンライン申請は利便性が高い方法で「平日法務局に行く時間が無い」「プリンターがないのでできればオンラインで済ませたい」といったケースにも対応できます。

この記事でオンライン申請の方法や流れ、メリット・デメリットについて知り今後に活かしていきましょう。

 

執筆者/田中あさみ FPライター。大学在学中に2級FP資格を取得、医療系の仕事に携わった後ライターに。CFP(R)相続・事業承継科目合格。全科目合格に向けて勉強中。
金融・フィンテック・不動産・相続などの記事を多数執筆。
ブログ:https://asa123001.hatenablog.com/
X:https://twitter.com/writertanaka19

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