スマートプラグが原因で火災が発生!? スマート家電の落とし穴とセキュリティ対策

- スマートホームの入り口として安価で購入できるスマートプラグには火災の危険性により法規制がある
- スマートプラグの使い道や危険性、メリット・デメリットとスマート家電の火災事故とは
- 事業者が知っておきたいスマートホームのセキュリティ対策ガイドラインも
スマートプラグで電気用品安全法違反に?
コンセントに差し、家電と連携させることでスイッチのオンとオフが切り替えられるスマートプラグは、離れたところからも電源を入れる事が可能で人気があります。
例えばAmazonのスマートスピーカー・Alexaではスマートプラグをコンセントに差し、スマートフォンのアプリと連携させることで音声により電源を入れる事が可能です。
Amazon純正のスマートプラグ購入ページに以下のような但し書きがあるのをご存知でしょうか?
※電気用品安全法により、電気ストーブや電気コンロなどの電熱器を含む特定の電気用品は本製品に接続し音声等で遠隔操作することが禁じられています。
実はスマートプラグの音声での遠隔操作は電気ストーブや電気コンロ、こたつなど特定の電気用品での使用を法律で禁じられています。
電気用品安全法の技術基準省令
第十四条 電気用品は、当該電気用品に通常想定される無監視状態での運転においても、人体に危害を及ぼし、又は物件に損傷を与えるおそれがないように設計され、及び必要に応じて適切な表示をされているものとする。
上記の「無監視状態」には遠隔操作も含まれると考えられます。
「外出時にスマートフォンでスマートプラグを通じてストーブの遠隔操作を行い、帰って来た時には部屋が暖かくなっている」という一見便利で快適な行為は、火災の危険性があり法律違反となってしまうのです。
スマートホームに欠かせないスマートプラグ・スマート家電とは
スマートプラグとはコンセントに差し、連携させた家電をアプリやインターネットで遠隔操作することができる機器です。
スマートプラグにWi-fi機能が備わっていますので、家電と連携させることでスマート家電として利用が可能です。
スマート家電にはAlexaなどのスマートスピーカーや遠隔で照明のオン・オフができるスマート電球、エアコンや冷蔵庫などがあります。
国内大手メーカーのスマートエアコンは、専用のアプリからオン・オフが可能で、あらかじめ設定した距離を離れた時に電源が付いていると通知が来る「切り忘れ通知」などの便利な機能があります。
【画像出典】Panasonic エオリア アプリ【URL】https://panasonic.jp/aircon/app.html
しかしスマート家電は価格が高く、既に家電を持っている方には導入しづらいというデメリットがあります。
スマートプラグを使う事によって、従来の家電製品をスマート家電にすることができるため、テック業界で注目を集めています。
ただスマートプラグは基本的に電源タップのボタンと同様に、オン・オフを切り替えるもので、コンセントにコードを挿したあとに、本体やリモコンの電源ボタンを押す必要のある家電製品は操作できないという点に注意しましょう。
スマートプラグの使い道
家電製品のオン・オフを切り替えるスマートプラグは、どのような使い道があるのでしょうか?
Amazonのスマートプラグは、サーキュレーターやライト、コーヒーメーカーなどに利用されています。
購入者の声では、プロジェクターや扇風機、ヘアアイロンに使ったという意見もありますが、「スマートリモコンがあるとあまり使い道がない」という声も挙げられています。
スマートリモコンは、テレビやエアコンなど家電のリモコンを1つにまとめられる便利なアイテムで、スマートスピーカーと連携させることで音声での遠隔操作も可能です。
スマートプラグを使うか、スマートリモコンでまとめるかは利用している家電の種類や機器との相性によって意見が分かれるでしょう。
スマートプラグのメリット
スマートプラグのメリットは、スマートホーム導入への入り口となることです。
スマートプラグを購入した方の中には「スマートホームに挑戦したくなった」「スマートホームの第一歩としてはいいかも」という声があります。
スマートプラグで利便性を実感した消費者が、スマートホームへの購入を検討する可能性があります。
またスマートホームでIoT(モノのインターネット)化が行き届かない旧型の家電製品(扇風機・加湿器・除湿器)などをスマート家電にする補完的な存在ともなります。
スマートプラグのデメリット
スマートプラグのデメリットは、上記の通り火災の危険性があることです。ストーブやこたつなどの機器と接続しないよう注意喚起が必要となります。
また、製品によってはセキュリティ面が脆弱でサイバー攻撃の対象となる可能性があります。スマートプラグのみが壊れる場合には大きなダメージではありませんが、連携している家電にも影響を及ぼすことが危惧されています。
しかしPCを始め、ネットワーク接続できる機器にはサイバー攻撃のリスクがあります。また火災事故はスマートプラグに限らずロボット掃除機でも起こっています。
スマート家電が原因で起きた事故とは
経済産業省のホームページに掲載されている「2019年度 電気用品等製品の IoT 化等による安全確保の在り方に関する動向調査報告書」によると、2018 年度、東京都消防庁管内でロボット掃除機が電気ストーブを押して動かし、火災が起こる事故が 2 件発生しました。
2件とも共同住宅の1室で、ロボット掃除機が原因で電気ストーブとソファーが接触して出火していたとされる事故、机の下に置いていた電気ストーブの位置がロボット掃除機によりずれ火災が発生したとされています。
スマート家電やスマートホームは便利な一方で事件・事故に繋がる可能性があり、事業者として責任が問われるリスクがある事をおさえておきましょう。
スマートホームのセキュリティ対策ガイドラインも要チェック
2021年4月、経済産業省のサイバーセキュリティ研究会ワーキンググループは一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)スマートホーム部会と連係して、「スマートホームの安心・安全に向けたサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドライン」を公開しました。
ガイドラインには「IoT機器は出荷時や初期状態からセキュリティを確保する」「利用者に IoT 機器の使い方や使用環境をガイドする、セキュアに利用するための情報を提供する」などの対策が示されています。
スマートホームに関連する事業者向けのパンフレットもダウンロードできる
【画像出典】一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)スマートホーム部会ホームページより
【URL】https://home.jeita.or.jp/smarthome/pdf/security/guideline_for_affiliates.pdf
スマートプラグの危険性やメリットとデメリットと共に、スマートホームのセキュリティ対策についてもチェックしておきましょう。
執筆者/田中あさみ FPライター。大学在学中に2級FP資格を取得、医療系の仕事に携わった後ライターに。
金融・フィンテック・不動産・相続などの記事を多数執筆。
ブログ:https://asa123001.hatenablog.com/
Twitter:https://twitter.com/writertanaka19