止まらぬ建設テックの投資、国内企業も投資が集まる

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止まらぬ建設テックの投資、国内企業も投資が集まる

建設テックの投資が増加傾向へ、求められる建設業の変革

スタートアップ企業やベンチャーキャピタルなどの動向を調査・分析する米CBインサイツのデータによると、2020年7月〜9月期の大企業などによる建設テック(ConTech)関連のスタートアップ投資件数は過去5年間で最高水準になったことがわかりました。

不動産テックの情報を発信するSUMAVEですが、その不動産を建設する側においてもテックの波は及んでいます。日本の建設業界(土木・建築)は国内での都市開発や維持・修繕などで需要の高まりもある他、海外展開も加速しており、事業規模は拡大が続いています。

課題は人材不足で、就業者数は2017年度、約500万人。ピークであった1997年の約685万人からおよそ7割まで減少しています。結果として建設業は依然高い有効求人倍率が続いており、人手不足を解消するためにITの利活用やDXが不可欠になりつつあります。建設テックはそこに登場するべくして登場したジャンルと言えるでしょう。

国内建設業は常態化する人材不足をDXでどう変えていくかが喫緊の課題

コロナ禍で事務職などではリモートワークが進んでいますが、建設現場などでは職人がいなくては業務が進まず、その上、一人ではなく異なる職種の職人が、同じ現場で同時に働く必要も多々あります。リモートワークの難しい「現場」をいかにデジタルを活用し、リスクを低減しながら効率を高めていくのか? コロナ禍への喫緊の対応策としても建設テックのニーズは高まってきました。

そんな中、国内でよく知られているのは建設業者向けプロジェクトマネジメントサービスの「ANDPAD」ではないでしょうか。2020年7月には、シリーズCで3,730万ドル(約40億円)の資金調達をしたことが報じられました。そして、10月のシリーズC追加ラウンドで1,880万ドル(約20億円)を追加で調達しています。

ANDPADは行程表の管理やチャット、営業管理など業務全体をデジタル化できる強みがある。
【出典】ANDPADのページより【URL】https://lp.andpad.jp/features/

ANDPADはスマホやタブレットを通じて現場で働く職人や管理者、発注者などが情報を共有できるインフラ的な役割を果たします。図面や工程表などのデータをクラウド上に保存して、登録した関係者が内容を確認できるというもの。これによって職人と管理者などが、直接顔を合わせなくても相互に進捗を報告・確認しあうことが可能になります。

特に、現場を複数見ている管理者などが、移動せずに一元管理できることは大きなメリットです。コロナによる移動制限などがあった際に、こうしたオンラインでのコミュニケーションの重要度は増しました。以前は図面を開きながら現場で職人と管理者が顔をつきあわせながら打ち合わせをするといったイメージのあった建設現場も、変化が起きているのです。

このANDPADに積極投資をしているのが、米セールスフォース・ドットコムのセールスフォース・ベンチャーズです。

国内建設テックの投資はほかにも

国内企業では他にも中古建設機械の販売サイトを運営する「SORABITO(ソラビト)」が、2019年5月住友商事と伊藤忠建機(現・伊藤忠TC建機)から約9億円の出資を受けています。

また建設業の人材マッチングアプリを手掛ける「助太刀」も、2019年7月シリーズBの追加ラウンドで未来創生2号ファンドから約5億円の資金を調達しています。助太刀では、職人同士のメッセージや建築・建設・エンジニア用の3D設計・モデリングソフトを手掛ける機能などもあり、人手が足りない場合は、現場の情報を公開して応援職人を募集することもできます。そこからビジネスを横展開させ、助太刀利用の職人が給料をチャージして使うプリペイドカード「助太刀カード」や、働いた分の給料を即日受取できる「助太刀Pay」のサービスも提供しています。


助太刀は工事会社と職人をマッチングさせる事業をベースにさまざまな事業を展開。
【出典】助太刀のページより【URL】https://suke-dachi.jp/app/

中小建設業もDX推進、BIMの普及進む

こうしたスタートアップの台頭だけでなく、デジタル化が遅れがちといわれてきた中小の建設業でもコロナ禍を受けてDX(デジタルトランスフォーメーション)に舵を切る企業が増えてきており、そこであらためて注目を集めているのが、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)です。BIMの導入企業は増加しており、その中で中小の建設業での導入も進んでいます。

BIMはコンピューターを使って3次元で建築物のデジタルモデルを設計し、施工や維持管理などの建築における一連の製造・管理運営などの情報をデータとして蓄積、建築ビジネスの業務を効率化していくワークフローです。単なる設計図ではなく、3次元の建物のデジタルモデルにコストや仕上げ、管理情報などの属性データを追加した建築のデータベースで、これを設計から施工、維持や管理にいたるまで利用していくというもの。2019年6月には国土交通省が建築BIM推進会議を設立し、BIM活用によって以下をテーマとして掲げました。

(1)高品質、高精度な建築生産、維持管理の実現
(2)高効率なライフサイクルの実現
(3)社会資産としての建築物の価値の拡大

このBIMに注力しているのが、建築や建設用の3D設計・モデリングソフトを手掛ける米オートデスクです。同社のコーポレートベンチャーキャピタルは建設業界全般に資金を投じており、建設テックスタートアップの買収件数も多く、建設業界のDXをけん引する役割を担いつつあります。

大手ゼネコンも魅力向上へ乗り出す

建設テックの動きに合わせるかのように大手ゼネコンも動き出しています。2020年10月、鹿島建設、清水建設、竹中工務店の大手ゼネコン3社は建設業界全体の生産性および魅力の向上を促進するため、ロボット施工・IoT分野での技術連携に関する基本合意書を締結したと発表しました。すでに各社はロボット施工やIoT分野での技術開発は行っていますが、3社で組むことにより加速化・効率化させることが狙いです。

3社がどのような連携を行っていくのかは未定ですが、各社にはコンクリートの仕上げロボット「NEWコテキング」(鹿島建設)や、天井や床材といった内装の施工を行う多能工ロボット「Robo-Buddy」(清水建設)などが開発されており、これらを組み合わせることで、建設現場のDXが推進されることが期待されます。

セールスフォースやオートデスクなど、ソフトウェアを中心とした会社が建設テックの投資を進めるのは、それにより建設業界のビジネスを変革していこうという思いの表れです。建設業界も、ほかの業界とおなじくコロナ禍でさまざまな課題に直面しました。こうした新たな課題を解決していく上で、デジタルの力は今後ますます必要となりそうです。

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