他業界のDX事例からパラダイムシフトにふれる/取材後記

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他業界のDX事例からパラダイムシフトにふれる/取材後記

はじめに

新年、あけましておめでとうございます。コロナ禍の不動産業界におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)のエッセンスを紹介する、SUMAVE・DX通信の新年号です。

年明け早々に、1都3県の緊急事態宣言が発令されました。13日には、追加で7都府県が対象に。愛知、京都、大阪、兵庫、福岡のほかに、人口10万人当たりの新規感染者が急増している岐阜や、足利市のグループホームで集団感染が確認された栃木も対象です。期間は2月7日までの予定。2021年も社会(不動産業界)のこれからが気になります。思いをめぐらせたのは、その現状を突破するヒント、参考にしたいDXです。今回は、2020年の情報を振り返り、印象に残る事例をピックアップします。対象は、緊急事態措置が全国で解除された5月25日から12月31日までのプレスリリースです。なかには、「これってテクノロジー関係あるのか」「オンライン活用じゃないと思う」そう感じる情報があるかもしれません。経産省の宮本氏は、「DXは経営の話である」と話しています。わかりやすいITツールの導入やテクノロジー活用は、DXの1ステップに過ぎません。そうした、パッと見ただけでは理解しにくい事例も今回の記事には掲載しました。ぜひ、「共通しているエッセンスは何か」という問いをご自身のなかに抱えながら、このあとの一覧を眺めていただければ幸いです。

問題は、引き起こしたときと同じパラダイムでは解決できない

2021年1月12日には、株式会社空色のWEB接客ソリューション、「WhatYa」とZOZOTOWNが、ライブコマースの実証実験に乗り出すというプレスリリースがありました。

 

次は少し古い情報ですが、2014年に調査した総務省のデータによると、不動産業界のICT(地域情報化の推進)活用スコアは5.6。平均が6.7で、これをサービス業のスコアが上回りました。2014年当時でスコア7.0。不動産業界からすると、サービス業はデジタル先駆者といえます。昨年にオンライン取材を重ねてわかったのは、コロナ禍においても、小売りはDXへの取り組みが盛んだったということです。ZOZOTOWNによるオンライン接客、ライブコマース実証実験のプレスリリースも、その一つです。ライブコマースは、ライブ配信とネット通販(eコマース)を融合した販売手法のことです。コロナ禍の中国では、ライブコマースによる不動産売買の実績もありました。

国内の不動産業界を見ると、マンション販売の領域で、オンライン接客が”販売の武器”として認識されていることがわかりました。そのマインドは賃貸領域でも同じ。どちらも、リアルなサービスの代替として不動産テック(オンライン)を使っていないという点で、DXのエッセンスが共通しています。時代の変化を感じます。早ければ2021年の秋冬に施行」そう、ささやかれているのは”重説”の電磁的交付です。法案が国会を通れば、紙による重要事項説明書の交付義務がなくなります。いよいよ、不動産取引の完全オンライン完結が現実のものとなります。内閣府が民間から募っているのはデジタル庁の創設に向けたプロジェクトメンバーです。11の都府県で緊急事態措置中の現在、コロナの感染拡大は予断を許しません。2021年も、2020年につづき、先行きを見通すことが難しい年となりそうです。確かなのは、変化が不動産業界の外側からやってくるということ。

変化はつねに、対象の外側から訪れます。自然の摂理では、自然、時代、社会、組織、人はみな、外からの刺激でしか変われないとされています。もし、あなたが自社の新規事業を任されているなら、必ず社外の人とつながってください。内だけで閉じることなく、社風が違う組織の人とこそ、対話してください。内側から変わる(自ら変わる)ことは難しいのです。新型コロナウィルスという外側からの変化については、どうでしょうか。アインシュタインは、「問題は、引き起こしたときと同じ考えかたでは解決できない」という言葉を残しました。

画像出典元:https://coronavirus.jhu.edu/map.html

アメリカのジョンズ・ホプキンス大学の集計によれば、2020年5月14日時点の世界のコロナ感染者は434万8,308人、死者は29万7,232人を数えました。日本では、北海道、千葉、埼玉、東京、神奈川、大阪、京都、兵庫を除く、39県で緊急事態措置が解除された日です。それから8か月が過ぎました。

画像出典元:https://coronavirus.jhu.edu/map.html

2021年1月15日時点で世界の感染者は9,301万8,040人、死者は199万1,530人以上です。世界全体で感染者数、死者数ともに桁が増えています。国内の状況も同じです。陽性者、重症者、死者の数はじわじわと、いまも増えています。この現状で、お客さんと接する不動産会社の店舗スタッフは、つねにリスクと隣り合わせです。現在、緊急事態措置中である11の都府県の感染リスクは高いまま。昨年4月の緊急事態措置中に比べ、多くの陽性者が実際に(不動産会社でも)発生しています。経営層や役員には、事業継続の判断だけでなく、これまで以上に従業員の安全を確保する責務がのしかかるでしょう。経営者が変化をどうとらえるかは、もっとも重要です。成長やイノベーションの延長ではなく、違ったパラダイムで現実を見ることができるか。それは、ほかの産業でDXに取り組む企業のTOPに共通しているエッセンスでした。アインシュタインが残した言葉とも重なります。そんな経営陣と現場の間で、ミドル層の板ばさみが続きます。テレワークによって従来の管理マネジメントが機能しにくくなり、引き起こされるのは機能不全です。いまある多くの評価制度は、テレワークをする社員の働きかたを扱うことができません。これらを問題が引き起こされたときと同じパラダイムで対処することはできないと、アインシュタインの言葉が教えてくれているようにも感じます。話を不動産業界に戻します。

「問題を引き起こしたときと違う考えかた」を”明るい兆し”とするなら、不動産業界にとって、ライブコマースやオンライン接客などのデジタル化は、明るい兆しです。それらに対応しようとする不動産会社がいるなら、1社も置き去りにしたくありません。そのためには、兆しを「よくわからない、まぶしいだけの存在」にせず、つまびらかにする必要があります。不動産テックやDXのエッセンスを手触り感のある知った存在として、多くの不動産事業者、不動産テックを提供している企業、VC、非営利の業界団体、地方自治体、アカデミックな研究機関、ひいては官公庁やユーザー(株主)に届けたい。それは、情報発信にできることです。

その役割を一瞬でも私たちが担えることを願い、これを新年のご挨拶とさせていただきます。2021年もSUMAVEは、情報発信によって不動産会社の変容をサポートしていきます。

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