【初心者向け】自宅で学べる! 不動産業者に必要なPC&ICTスキル

- PC操作やテクノロジー全般に苦手意識を抱いている不動産業界関係者は少なくない。
- PCへの苦手意識が強い人向けに、日々の業務効率に直結するOffice操作やタイピングスキルを磨くのに役立つ無料Webサイトをご紹介。
- PC操作のスキル強化から一歩踏み込み、ビックデータの収集や活用にも触れられる「ICTスキル総合習得プログラム」をご紹介。DXが進む不動産業界の行方を考える足がかりになるのでは。
DXが進む不動産業界。ますます必要性が高まるPCスキルやICTの基礎知識
他業界に比べ、アナログ業務の多い不動産業界。コロナ禍を受け、全体の約60%にのぼる不動産事業者がデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)に取り組んでいるアンケート調査(※1)もありますが、残り約40%は未実施という結果に。特に、100人以上の規模の企業では「知識・ノウハウを持っていない」「人的リソースが足りない」という理由で、53%がDXに「まだ取り組んでいない」「取り組む予定なし」と回答しています。
「自社でDXに取り組んでいますか?」全体結果【出典】株式会社ライナフのプレスリリースより
【URL】https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000046.000015549.html
また、いえらぶGROUPが実施した調査(※2)によれば、不動産会社の約8割はシステムを利用せずに紙やExcelを使って物件管理などを行っており、不動産業界向けシステム(不動産テック)を導入している企業は20%にも満たないそうです。
「不動産業務にあたってどのようなツールを利用していますか?」【出典】株式会社いえらぶGROUPのプレスリリースより
【URL】https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000077.000008550.html
こうした状況を見ると、不動産業界の中にはDXや「不動産テック」の導入を検討する以前に、PCスキルやITリテラシーの有用性が周知されていない部分も大きいと考えられそうです。
その一方で、先に挙げた調査結果でも半数以上がコロナ禍を受けて、何らかのDXに取り組んでいるという状況が明らかになっています。他業界に比べると緩やかに見えるかもしれませんが、不動産業界でも着実にDXは進んでいます。
また最近では、小規模な不動産会社であっても、自社サイトやブログ等を活用することにより、競合他社との差別化に成功しているケースも複数見られます。今後このようなITリテラシーやPCスキルの差は、ますます拡大していくでしょう。
今回はそんな、不動産テックの「手前」の段階に注目。基本的なPCスキルやICT(情報通信技術)について学べるWebサイトやサービスをご紹介します。
ExcelをはじめとするPC付属ソフトや、物件サイトを更新するための手順は把握しているが、さらにスキルアップを図りたいという方。パソコンやIoTといった言葉に苦手意識を覚えている方や、苦手だけど一歩先に進みたい、同僚に差をつけたい、という方はぜひ、読み進めてみてください。
※1 出典:株式会社ライナフのプレスリリース「DX意識調査アンケート」(2020年6月24日発表発表)
※2 出典:株式会社いえらぶGROUPのプレスリリース(2020年8月21日発表)
テレワーク中に上達できる!? 日々の業務で使える基本スキルを底上げする方法
「Office」操作スキル
PC業務といえば、WordやExcel、PowerPointといった「Microsoft Office」を連想する方は多いでしょう。書類や資料、領収書や店頭広告、間取り図など。
先の調査を実施したいえらぶGROUPも、「不動産業務に役立つExcel活用法」という記事を公開しています。
また、マイクロソフトがOffice初心者向けに無料公開している「Microsoft 365トレーニング」というコンテンツをご紹介します。
Microsoft 365 トレーニング【出典】Microsoft「Microsoft 365 トレーニング」トップページより
【URL】https://support.microsoft.com/ja-jp/training
WordやExcelの基本操作について、ビデオを使って分かりやすく基本を解説しています。Excelの「数式」がよく分からない、という方はここから一般的な数式やその使い方について、Excel形式でまとめた資料をダウンロードすることができます。基本は知っている、という方も振り返りの意味を込めて、一度覗いてみると良いのではないでしょうか。
また、プレゼンテーション用のソフトのPowerPointですが、チラシを作る際等に使うと、Wordよりも便利に使える場合があります。使ったことがない方も、余裕があれば一度は触ってみることをお勧めします。
さらにスキルを磨きたい方や、毎日Officeに触れている時間が長い方は、WordやExcelといったMicrosoft Officeの利用スキルを証明する資格「マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)」の取得に挑戦してみてはいかがでしょうか。日々の業務効率化に役立ち、自信につながるだけでなく、世界で通じる国際資格として、就職や転職の際にアピールすることも可能です。
タイピング練習
先にOfficeについて触れましたが、そもそもキーボードを使ったタイピングが苦手、キーボードを見ずにタイピングする「ブラインドタッチ」ができない、という方もいるのではないでしょうか。近年では、若者の中にもスマートフォンの「フリック入力」や音声入力を常用しているため、キーボード操作が苦手という層が増えてきています。
PC操作とは切っても切り離せないタイピング速度は、日々の業務効率に直結します。自信のない方はソフトの使い方よりもまず、正しいキーボードの打ち方ができているかを見直すことで、思わぬ生産性向上が見込めるかもしれません。
タイピングの練習ができるサービスサイトは複数ありますが、代表的なものに「e-typing(イータイピング)」があります。
e-typing(イータイピング)【出典】「イータイピング」トップページより【URL】https://www.e-typing.ne.jp/
「ビジネス」や「長文」「テンキー」など、バラエティに富んだジャンルの例文が用意されており、ブラウザ上で手軽にタイピング練習を行うことができます。
会員登録をすると、過去の成績や苦手なキーなど、様々なデータを閲覧できるようになるので、より効率的に練習を進めていくことができます。これまでは自己流の方法で打ててきたという方も、こうしたWebサイトで腕試しをしてみると、全国平均と比べた際に自分はどのくらい速い(遅い)のかが分かります。試してみると、意外な発見があるかもしれません。
「IoT」で「データを集める」ってどういうこと? 「不動産テック」の土台を学ぶ
ここまで、日々の業務ですぐに使えるタイピングや、Officeソフトの操作スキルの向上サイトをご紹介しました。
次にもう一歩踏み込んで、「IoT」や「ビッグデータ」といった不動産テック基礎用語の理解を深められる、総務省がICTを利活用できる人材の育成や普及啓発のために作成・公開している「総務省 ICTスキル総合習得プログラム」をご紹介します。
総務省 ICTスキル総合習得プログラム【出典】総務省「総務省 ICTスキル総合習得プログラム」ホームページより
【URL】https://www.soumu.go.jp/ict_skill/
このWebサイトには、ICTの基礎知識や基礎技術が学べる教材がまとめられています。コースは「データ収集」、「データ蓄積」、「データ分析」、「オープンデータ・ビッグデータ利活用事例」の4つで、各コース5講座の合計20講座で構成されています。ただし、技術的な内容を扱っている教材も多いため、全て読み込もうとする必要はありません。
はじめてICTについて学ぶ方は、まず以下の教材を上から順にざっと読んだ後で、他に学んでみたい講座があれば適宜開いてみることをお勧めします。
コース1(データ収集)
・1-1 IoTとデータ利活用の全体像
・1-2 データ収集技術とウェアラブルデバイス
・1-3 位置情報の活用とxR
・1-4 現実世界へのフィードバックとロボット
コース2(データ蓄積)
・2-1 データ蓄積用サーバとしてのクラウド
コース3(データ分析)
・3-1 ビッグデータの活用と分析に至るプロセス
コース4(オープンデータ・ビッグデータ利活用事例)
・4-1 オープンデータの利活用
特に「コース1(データ収集)」は、「モノのインターネット」と呼ばれる「IoT(Internet of things)」の基本概念から機器の事例、センサーによって収集されたデータの使い道や、日本が目指す「Society5.0」について解説されています。さらにVRやAR、位置情報の活用事例やロボットについて等、近年身近になってきた技術や概念が写真と共に紹介されており、ざっと眺めていくだけでもIoTの概要を把握することができます。
【出典】総務省 ICTスキル総合習得教材[コース1 データ収集]「1-2 データ収集技術とウェアラブルデバイス」より
【URL】https://www.soumu.go.jp/ict_skill/
「各講座の概要一覧」にあるアクセス情報に掲載されているQRコードを読み込めば、スマートフォンやタブレットから簡単に教材PDFへアクセスすることもできます。扱いに慣れた端末を使い、すきま時間にこれらの教材を眺めておけば、データの「収集→蓄積→分析」という一連の流れと、その利活用の仕方についての概要を把握できるでしょう。
売買でもIT重説が解禁。加速する業界のデジタル化
IoTやAI、データの利活用に関する人材育成・普及啓発の重要性は、2016年12月に制定された「官民データ活用推進基本法」や、2017年に5月に閣議決定された「世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」においても示されています。「アナログな業界」と言われてきた不動産業界も、パソコンやICTと無関係ではいられません。
2020年10月12日には、国土交通省が不動産「売買」時の重要事項説明について、テレビ電話など非対面でも可能とする方針を決めたことが報じられており、業界のデジタル化がますます促進されることは必至。
今はテクノロジーに苦手意識があるという方も、一歩を踏み出すのに遅すぎるということはありません。まずは日々の業務で使うパソコン操作で引っかかっている部分をおさらいしてみたり、今回紹介したWebサイトなどに触れてみてはいかがでしょうか。