「OYO LIFE」や「ADDress」の登場で広がる多様な暮らし方

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「OYO LIFE」や「ADDress」の登場で広がる多様な暮らし方

はじめに

時代の流れとともに、人々に求められる住まいのあり方も変化しています。一つの場所に長く暮らすのではなく、いくつもの拠点を行き来して暮らす人も増えてきました。働き方や価値観が多様化していく中で、住まいに求められる条件も多様化してきているのです。

最近では、物件探しから賃貸契約までをスマートフォン一つで行えたり、毎月定額の料金を支払うことで全国さまざまな拠点で生活できたりと、「新しい形の住まい」を提供する不動産テック関連企業が登場しています。これらのサービスによって実現した次世代の賃貸住宅事情について詳しく見ていきましょう。

所有からシェアへ。変化する住まいへの意識

「将来的には戸建てを購入して、あこがれのマイホームで暮らしたい」と考える人は減少しているようです。2019年1月に公表された全国宅地建物取引業協会連合会による「2018年「不動産の日」アンケート調査結果」では、全国の持家派の割合が2013年の85.2%から80.5%に減少し、対する賃貸派の割合が2013年の14.8%から19.5%へと増加しています。

2013年度~2018年度 持家派or賃貸派のアンケート調査結果
2013年度~2018年度 持家派 or 賃貸派 :年代/地域別【出典】公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会「2018年「不動産の日」アンケート調査結果」より【URL】https://www.zentaku.or.jp/wp-content/uploads/2019/02/2018-fudousan-anke-to.pdf

マイホームにあこがれを抱く時代は変わりつつあります。1997年以降に生まれたZ世代(ジェネレーション Zともいう)が働き盛りになる頃には、後述する「OYO」や「ADDress」のようなサービスによる「効率的な住まい」が当たり前になっているのかもしれません。

すでに問題化している空き家を有効活用するサービスにも注目です。国土交通省の「平成 30 年住宅・土地統計調査」によると、2018年の空き家率は13.6%で、過去最高を記録しています。

全国の住宅総数6242万戸のうち、およそ846万戸が空き家という現状。少子高齢化による人口減少が避けられない状況の中、空き家を活用し、新たなライフスタイルを提供するサービスは今後も増加していくでしょう。

最短30分で契約できる賃貸サービス「OYO LIFE」 

そんな中、インドでホテルを運営する「OYO(オヨ)」が、日本に進出し話題となっています。2019年2月、ヤフー株式会社と合弁会社「OYO TECHNOLOGY&HOSPITALITY JAPAN株式会社」を設立し、新サービス「OYO LIFE(オヨ ライフ)」を立ち上げました。これにより、これまでの日本にはなかった、新しい形の賃貸住宅が誕生しています。
  
OYOは、2013年に設立されたインドの不動産ベンチャー。主にホテル運営を事業としており、設立間もない企業ながら、現在ではインド最大級のホテルチェーンに成長しました。インドだけでなく、中国、マレーシア、ネパール、イギリスにもホテルを有し、部屋数はトータルで20万室を超えます。 近年では、世界の名だたる企業から熱視線が注がれるベンチャーとして話題で、ソフトバンク・ビジョン・ファンド や、民泊のプラットフォームを提供するAirbnb( エアビーアンドビー)も、同社に多額の出資を行っています。
 
日本でサービスしているOYO LIFE は、前述したOYO TECHNOLOGY&HOSPITALITY JAPAN株式会社が運営するアパートメントサービスの名称です。物件探しから各種手続きまで、すべてスマートフォンから簡単に行えるとしてリリース当初から注目を集めています。
 
OYO LIFEが画期的なサービスだといわれるのには、いくつかの理由がありますが、中でも注目したいのが手続きにかかる時間を大幅に短縮しながら、入居の初期費用も抑えられる点です。

OYO LIFEでは、物件探しから入居にかかる手続き、決済まで、最短30分で完了できます。またOYO LIFEには、賃貸住宅の契約において慣例となっている敷金や礼金といったものがありません。加えて、住宅にはすでに家具や家電が備え付けられています。
 
物件の入居手続きは、OYO LIFEのサイトから行えます。2019年6月現在、物件は東京、神奈川、千葉、埼玉、大阪にあり、トップページにある検索窓に、暮らしたいエリアの名前や最寄り駅の駅名を入力すると、周辺にある物件が一覧で表示されます。入居を希望する場合は、物件の詳細ページの予約ボタンをクリックし、あとは決済を行えば手続きは完了。このように、ウェブサイトからホテルを予約するような感覚で、簡単に手続きが行えます。

「今すぐ新しい住居で暮らしたい」という希望をかなえてくれるOYO LIFE。「旅するように暮らす」というコンセプト通り、このサービスを活用することで、今日はこちら、来月はあちらと、好きな場所で好きなように暮らせるようになるでしょう。 

OYO LIFEサイトトップページのキャプチャ
OYO LIFEサイト【出典】OYO LIFEサイトより【URL】https://www.oyolife.co.jp/

住まいのサブスク「ADDress」で低コスト多拠点生活が実現

一方で、サブスプリクションサービスによって新たな暮らし方を実現するのが「ADDress」です。株式会社アドレスは、毎月定額の料金で全国どこでも(ADDressの登録拠点に限る)住み放題という、まったく新しいサービスを開始しました。
 
好きな住まいにいつでも住み替えられるという点ではOYO LIFEと類似する部分がありますが、ADDressはそれとはまた異なる特徴を持っています。株式会社アドレスが打ち出した「多拠点コリビンク(co-living)」とは、平たくいうと、コワーキングスペース付きのシェアハウスを定額で利用できるサービスです。
 
空き家問題が課題となっていますが、遊休不動産など活用されていない不動産についてオーナーから申し込みがあると、ADDressが審査。そして、無事審査に通過すると、空き家や別荘をシェアハウスとして会員が利用できるようになります。
 
各拠点には、「家守」と呼ばれる管理人が置かれるため、物件オーナーは、自身で物件を管理する必要がなくなります。家守は、物件の清掃やゴミ出しといった基本的な管理業務だけにとどまらず、地域の人々と交流し、コミュニティを作る役割も担います。

オーナーは、使用していない戸建てや別荘をADDressに提供するだけで、管理の手間なく家賃収入を受け取ることができるようになる仕組みで、オーナーにももちろん、住まいを探している人にも利点の多いサービスです。
 
ADDressを利用するための料金は、月々4万円(年会員)または5万円(月会員)と、都内の一般的な賃貸住宅の家賃 と比べ安く、しかもこの利用料金には、水道光熱費やインターネット回線の使用料も含まれています。OYO LIFE同様、敷金や礼金も必要ありません。キッチン、浴室、トイレといった住宅設備も共同で利用でき、さらにアメニティまで用意されています。

ADDressの利用方法はOYO LIFE以上に簡単です。まずはADDressの会員登録を行い、会員専用サイトから利用したい拠点を予約します。予約が完了したら、あとは予約日に拠点に向かうだけ。ADDressは短期間で流動的なライフスタイルを前提としており、一度の予約で同じ拠点に連続して滞在できる日数は7日と、OYO LIFEと比べてとても短いのが特徴です。
リモートワークが中心のビジネスパーソンであれば、その時の気分で住まいを変えつつ働き続けることも可能。シェアハウスでさまざまな人と知り合い、見聞や人脈を広げることもできます。シーズンごとに拠点を変える暮らしや、都会と地方を行き来する暮らしにあこがれているのなら、ADDressを活用しない手はないでしょう。

ADDressサイトトップページのキャプチャ
ADDressサイト【出典】ADDressサイトより【URL】https://address.love/

「豊かさ」に対する意識の変化が住まいの選び方にも反映

住宅情報メディア「SUUMO」を運営する株式会社リクルート住まいカンパニーは、住まい領域における2019年のトレンドとして、都市と地方など、役割の違う二拠点の住まいを持つライフスタイル「デュアルライフ(二拠点生活)」を挙げました。(リクルート「2019年のトレンド予測」より)これによると、二拠点生活に興味がある人は推計で1100万人にも及ぶそうです。

多拠点生活へのあこがれの背景には、人々がモノや財産を所有することで得られる物質的な豊かさではなく、心の豊かさを求めるようになったことが背景にあると考えられます。趣味を満喫したい、自然に癒されたい、ふるさとに貢献したい、のびのび子育てがしたいなど、その目的はさまざまですが、都心部では得られない豊かさをその他の拠点に求めているようです。

旅するように暮らす賃貸住宅OYO LIFEや、多拠点コリビングADDressのような、手軽に住まいを提供できる不動産テックビジネスの広がりにより、多拠点生活の市場は今後さらに活気を増していくことでしょう。

まとめ

これまで、住宅は買うか借りるか、大きく分けてその二択しかありませんでした。そもそも住まいは「一つの拠点で長く暮らす」ためのものであり、尚且つ通勤の利便性を加味して選定する場合が多いものでした。
 
しかし現在では、働き方改革やリモートワークが推進されるようになり、毎日かならず同じ職場に通勤するという人ばかりではなくなってきています。多様化するライフスタイルに合わせて、従来の賃貸契約とは異なる形での住まいのニーズは、今後さらに増えていくことでしょう。住まいにおけるシェアリングエコノミーを実現するにあたり、不動産テックサービスの役割はより重要なものとなっていくのではないでしょうか。 

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