【不動産事業者向け】2024年省エネ性能表示制度で何が変わる?

2024.01.10
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【不動産事業者向け】2024年省エネ性能表示制度で何が変わる?

2024年、省エネ性能ラベルの表示が努力義務化へ

政府は2050年カーボンニュートラルの実現に向けてCO2排出量全体の約3分の1を占める住宅・建築物についてさらなるエネルギー消費・CO2排出の削減を求めている。そのため重要な一歩として、2024年に省エネ性能ラベルの表示が始まる。これは住宅・ビルなど、建築物の販売・賃貸に従事するすべての人が担い手となる制度だ。

住宅・建築物のゼロ・エネ化のために必要なのは誰もが「省エネ性能で建物を選べる」ようにすることを国は目指しており、2024年4月から住宅・建築物を販売・賃貸する事業者に省エネ性能ラベルの表示が努力義務となる。

本制度の中で努力義務が課せられているのは建築・不動産の販売・賃貸事業者(売主、貸主、サブリース事業者含む)。2024年4月1日以降に建築確認申請を行う新築建築物、およびその物件が同時期以降に再販売・再賃貸される場合が対象となる。それ以前に建築確認申請を行った物件の場合、表示は任意となる。

住宅としては分譲一戸建てや分譲マンション、賃貸住宅、買取再販住宅等が対象、非住宅でも貸事務所ビルや貸テナントビルも対象となる。例外として販売または賃貸する用途でない建築物(注文住宅やウィークリーマンション)などがある。

努力義務範囲は限られるが省エネ性能情報の伝達ではすべての事業者が関わる

省エネ性能ラベルは販売事業者や賃貸事業者が努力義務となっているが、それが消費者に伝達されるまでには多くの事業者を経由することになり、すべての事業者に関わる内容といっていい。

例えば販売では販売事業者が努力義務として省エネ性能ラベルの発行をした場合、その物件を消費者である買主に届けるまでに仲介事業者などが介在するのであれば、この事業者も省エネ性能ラベルについて理解しておく必要がある。

同じく賃貸の場合も同様だ。賃貸事業者が省エネ性能ラベルを発行した場合、消費者である借主と契約をするにあたり、賃貸管理事業者や仲介事業者を経由する場合、同じく省エネ性能ラベルについて理解しておく必要がある。

基本的には、販売・賃貸事業者が省エネ計算をしラベルや評価書を発行、仲介事業者に伝達する。そして、仲介事業者はそれを入稿する。情報が来ていない場合は、販売・賃貸事業者に連絡をする。SUUMOなどの広告媒体ではその省エネ性能情報をわかりやすく掲載していくことがのぞまれる。要は消費者が省エネ視点で物件の比較検討ができることを目的としているのだ。

「省エネ性能ラベル」の要素は住宅と非住宅で若干異なる

省エネ性能ラベルには項目があり、住宅と非住宅で異なる。まず住宅から見ていこう。9個の項目がある。

  1.  エネルギー消費性能
    国が定める省エネ基準からどの程度消費エネルギーを削減できているかを見る指標(BEI)を星の数で示す。

  2. 断熱性能
    「建物からの熱の逃げにくさ」と「建物への日射熱の入りやすさ」の2つの点から建物の断熱性能を見る指標。

  3. 目安光熱費
    住宅の省エネ性能に基づき算出された電気・ガス等の年間消費量に全国統一の燃料などの単価を掛け合わせて算出した1年間の光熱費の目安。記載がない場合もある。

  4. 自己評価・第三者評価
    省エネ性能の評価が販売・賃貸事業者による自己評価か、評価機関による第三者評価を示す。

  5. 建物名称
    省エネ性能の評価対象がわかるように物件名を示す。必要に応じて棟名や部屋番号も掲載。

  6. 再エネ設備あり/なし
    再エネ設備(太陽光発電・太陽熱利用・バイオマス発電等)が設置されている場合に「再エネ設備あり」と表示できる。

  7. ZEH水準
    エネルギー消費性能が★3つ、断熱性能が5以上で達成のチェックマークがつく。

  8. ネット・ゼロ・エネルギー(ZEH)
    ZEH水準の達成に加え、太陽光発電の売電分も含めて、年間のエネルギー収支がゼロ以下で達成のチェックマークがつく。ここは第三者評価(BELS)の場合のみ表示。

  9. 評価日
    評価された省エネ性能がいつ時点のものかを示す。

「4.自己評価・第三者評価」だが、省エネ性能ラベルとエネルギー消費性能の評価には、文字通り自己評価と第三者評価がある。自己評価は販売・賃貸事業者が自ら国が指定するWebプログラム、もしくは仕様基準に沿って建築物の省エネ性能の評価を行うことを指す。第三者評価は、第三者の評価機関に依頼し、建築物の省エネ性能を評価することを指す。

Webプログラムは以下のサイトから利用できる。


「住宅に関する省エネルギー基準に準拠したプログラム」【出典】https://house.lowenergy.jp/

非住宅では、7個の項目がある。住宅における「2.断熱性能」「3.目安光熱費」「7.ZEH水準」がなくなり、「ZEB水準」が加わる。

ZEB水準
エネルギー消費性能が事務所などの用途は★5つ、病院等の用途は★4つで達成となる。国の誘導基準でもある。

関連リンク:
【不動産業界基礎用語】「ZEB(ゼロ・エネルギー・ビルディング)」とは?(https://www.sumave.com/20210420_21159/

今後省エネ性能を高めていくことが必須となっていく時代へ

こうした動きの背景にあるのは、住宅・建築物の省エネ対策を強力に進めるための「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律」が令和4年6月17日に公布されたことがある。同改正は2050年のカーボンニュートラルに向けて行われ、全ての新築住宅・非住宅に省エネ基準適合を義務づけ、省エネ性能表示の推進などが盛り込まれているのだ。

東京都政府や京都府、京都市などの地方自治体は、特定の規模の建築物に対して太陽光パネルの設置を義務付ける条例を改正しているが、これらの条例も、建築物のエネルギー効率向上に貢献するものだ。

関連リンク:
「曲がる太陽光パネル」が再生エネルギー業界にもたらすパラダイムシフト(https://www.sumave.com/20230816_23205/

日本は住宅および不動産セクターにおいて、エネルギー効率と持続可能性を統合しようという強いコミットメントを示している。このため今後関わるすべての人たちが省エネについていっそう理解をし、対応していくことが求められそうだ。

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