賃貸物件のIoT化、メリット・デメリットとは?欧米ではスマートホーム市場が急成長

- 賃貸のIoT化とは物件にスマート家電・スマートロックワイヤレスなどIoT設備・機器を導入すること
- 入居率・家賃の上昇が見込めるというメリットがあるが、コストがかかるというデメリットもある
- 導入を検討する業者は補助金・助成金の活用を
SUMAVEでは以前スマート賃貸の主な事例をご紹介いたしました。
大手を中心に賃貸物件のIoT化・スマート化が進んでいますが、そもそもIoT(スマート)マンションとは一体どのような住宅なのでしょうか?
今回はIoTマンション・賃貸物件のIoT化とは何か、メリット・デメリット、おすすめの設備・機器をお伝えしていきます。
IoTマンション・賃貸物件のIoT化とは
IoTとは「Internet of Things」で直訳すると「モノのインターネット」となります。
家電・家・車などモノをネットワークに接続したもので、具体的にはスマートホーム・スマート家電・自動運転の自動車などがIoT製品と言えます。
IoTデバイスは近年急速に普及し、今後も市場は成長すると予測されています。
【画像出典】総務省「2021年度版情報通信白書」よりスクリーンキャプチャにて作成【URL】
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd105220.html
既存の賃貸物件にIoT設備・機器を取り入れることを「IoT化する」と表現します。
「IoTマンション」「スマート賃貸」などとも呼ばれており、入居者にとって利便性・セキュリティ性が高くなるというメリットがあります。
賃貸住宅を含めてIoTなどを活用したスマートホームの市場規模は、欧米を中心に急速に拡大しています。
【画像出典】IoTNOW「Smart Homes technology on the verge of mass adoption」よりスクリーンキャプチャにて作成【URL】https://www.iot-now.com/2016/05/16/47326-smart-homes-technology-on-the-verge-of-mass-adoption/
賃貸物件のIoT化のメリット・デメリット
賃貸物件をIoT化するメリットとして第一に入居率アップが期待できます。
スマートロック・ネットワークカメラ・ワイヤレスモニター付きドアホンの設置はセキュリティ性と利便性を向上でき、セキュリティ意識の高い入居者の評価が高くなるでしょう。
特にオートロック機能・TVモニター付きインターホンは人気設備ですので、IoT化することで他社と差別化を図ることができます。
オートロック機能は人気設備ランキングの「この設備があれば周辺相場より家賃が高くても入居が決まる」で単身者2位、ファミリー世帯3位となっています。
オートロック機能を導入する物件は多いため、スマートロックにグレードアップすることで家賃を上げても入居者が決まる可能性があります。
一方で、導入・維持にコストがかかるというデメリットがあります。
しかし一定の要件を満たすことでものづくり補助金・持続化補助金などで支援を受けることが可能です。
補助金・助成金に関して詳細を知りたいかたはこちらの記事をご覧ください。
中小企業投資促進税制・中小企業等基盤強化税制の対象になる場合は、税制上優遇措置が受けられ負担が軽減します。
賃貸物件におすすめのIoTとは
- スマート家電
- スマートロック
- ワイヤレスモニター付きドアホン
- ネットワークカメラ
1.スマート家電
お掃除ロボットやスマートスピーカーなど、スマート家電を愛用しているかたは多いでしょう。
スマートスピーカーはAIによるアシスタント機能が備わっており、話しかけるだけで音楽が流れる、天気予報を聞く、家電が操作できるなどの行為が可能となります。
お掃除ロボットは電源を入れスイッチを押すことで、自動で部屋の掃除ができます。
リモコンをIoT化したスマートリモコンは複数の電源スイッチをまとめ、遠隔操作が可能です。
スマートリモコンは壁に設置する製品が多いため、あらかじめスマートリモコンを購入・設置しておくことで部屋のニーズが高まる可能性があります。
スマート家電の導入は、日ごろからスマート家電を利用している又は利用したいと思っている入居者に適しています。
2.スマートロック
スマートロックとはあらかじめ設定しておくことで、スマートフォンで家の鍵を操作できるIoTです。
スマートフォンを持ってドアに近づくだけでセンサーが反応し、自動で鍵を開閉できる製品、スマートフォンだけではなくリモコンキー・カードなどで開閉できるタイプもあります。
スマートロックはオートロック機能が備わっていますので、セキュリティの向上にも役立ちます。賃貸住宅新聞の「入居者に人気の設備ランキング2022この設備があれば周辺相場より家賃が高くても入居が決まる」ではオートロック機能は単身者2位、ファミリー世帯3位にランクインしています。
3.ワイヤレスモニター付きドアホン
Panasonicのワイヤレスモニター付きドアホンは、モニターの親機をインターネットにつなぐとスマートフォンでリアルタイムに映像・音声で来客に対応できます。家の中だけではなく、外出先でも応対が可能となります。
見知らぬ来訪者にはドアホンが応答する機能、気象警報や自然災害警戒情報を通知するアラート機能もあります。
IoT家電と連携させると、家電の運転状況を把握することができます。
賃貸住宅新聞の「この設備がなければ入居が決まらない」ランキング2022では、TVモニター付きインターホンは単身者2位・ファミリー世帯3位と人気が高いです。
4.ネットワークカメラ
ネットワークカメラ(IPカメラ)は、カメラ本体にコンピュータが内蔵されておりインターネットへの接続が可能です。
屋外では防犯カメラとして、屋内では見守りカメラとして活用できます。
インターネットに接続することでPC・スマートフォンでカメラの映像を確認する、オンラインで録画データの保存などができます。
映像の閲覧に加え、スマホやPC・タブレットなどから操作し撮影する方向を変える・ズーム(又はズームアウト)することが可能です。
まとめ
賃貸物件のIoT化・スマート化は入居率と家賃アップが期待できます。コストがかかりますので、補助金・助成金を上手く活用していきましょう。
上記4つの設備・機器をすべて導入すると初期コストが大きくなりますので、「まずはスマートロックを1戸導入して反応を見る」などスモールスタートをおすすめします。
執筆者/田中あさみ FPライター。大学在学中に2級FP資格を取得、医療系の仕事に携わった後ライターに。
金融・フィンテック・不動産・相続などの記事を多数執筆。
ブログ:https://asa123001.hatenablog.com/
Twitter:https://twitter.com/writertanaka19