DX推進は補助金・助成金の活用を。国・地方自治体の制度一覧

2022.12.13
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DX推進は補助金・助成金の活用を。国・地方自治体の制度一覧

DXとは?

DX(Digital Transformation:デジタル・トランスフォーメーション)とは、スウェーデンのエリック・ストルターマン教授が2004年に提唱した「ICT(情報通信技術)の浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念が基となっています。

経済産業省が2019年に発表した「「DX 推進指標」とそのガイダンス 」によると、DXは以下のように定義されています。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や
社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務その
ものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること

AI・5G・ICT・IoT・ビッグデータなど最新技術を活用し、製品・サービス・ビジネスモデルだけではなく企業の風土・文化・業務・プロセスなどを変革する事を意味しています。

DXにはコストがかかる…それでも推進すべき理由

ソフトウェア・クラウドサービス導入やデジタル人材の育成など、DXにはコストがかかります。
しかし、コストをかけてもDXを推進すべき理由があります。

1. 業務の効率化
 システム改善・ソフトウェア導入などにより業務を効率化することで、別の業務に時間を割くことが可能となり生産性の向上を見込めます。
2. コア業務への注力
 注力したい業務へ人員を割くことができ、業績アップが期待できます。
3. 同業者との差別化
 DXにより利便性が高まる事でユーザーの満足度が上がり、同業者との差別化を図れます。
4. 2025年の崖問題の解決と業績向上
 経済産業省の「DXレポート」によると、データ活用・DX実現ができない場合、2025年以降、最大年間12兆円(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性がある(2025年の崖)
同レポートでは、「DXを実現できた際に2030年の実質GDPが130兆円超の押し上げを実現できる見込みがある」旨の記載があります。
5. 引き継ぎがスムーズに
 ITツール・ソフトウェアの導入により、社員の退職に伴う引き継ぎがスムーズになることが期待できます。
6. 業績向上で好循環
 DXにより業績が向上すると新たに設備投資が可能となり、さらに業績が向上するという好循環が生まれる可能性があります。

「コストをおさえてDXを進めたい」という企業は多いでしょう。
国や地方自治体の補助金・助成金制度活用をおすすめします。
なお補助金は申請期間が定められており申請した後に採択されるための審査がある、経過報告を必要とする制度が多いです。ただし、採択されることで企業の信頼度向上が期待できます。

助成金は補助金と異なり期間が定められていない、審査が無いものが多いですが補助金より金額は低い傾向にあります。

国・地方自治体のDX補助金・助成金制度一覧

2022年10月時点のDX補助金・助成金制度一覧です。

  •  IT導入補助金
  •  ものづくり補助金
  •  事業再構築補助金
  •  地方自治体の補助金・助成金

IT導入補助金

IT導入補助金は中小企業・小規模事業者がITツール導入の際に利用できる補助金制度です。
通常枠(A・B類型)と、デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型・複数社連携IT導入類型)、セキュリティ対策推進枠 があります。補助対象経費は主にソフトウェア購入費、クラウド利用料、導入関連費です。デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)はハードウェア購入費も対象となります。他に「複数社連携導入類型」もあります。

まずは社内で導入したいツール・ソフトウェアや業者などを決定し、IT導入補助金ホームページから申請に必要な情報を収集し、提出します。審査を経て採択されると補助金が支給されます。

IT導入支援事業者とITツールの登録申請を行う必要があります。
申請の前には、商工会議所など支援機関の窓口に相談してみましょう。

IT導入支援事業者の登録申請は2022年 11月10日が期限です。ITツールの登録申請は基本的に2022年12月9日まで、サイバーセキュリティ関連のツール 導入は2023年1月13日までとなっています。

ものづくり補助金

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ものづくり補助金)は、中小企業・小規模事業者等が、サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行い生産性の向上を目的とした設備投資などを支援する制度です。

補助対象は、日本国内に本社もしくは補助事業の実施場所がある一定規模の企業・事業者です。

2022年10月現在「一般型」と「グローバル展開型」「ビジネスモデル構築型」を公募しています。

一般型には通常枠とは別に、回復型賃上げ・雇用拡大枠・デジタル枠・グリーン枠があります。デジタル枠は、DXによる革新的な製品・サービス開発などに対して生産性向上を目指す業者に対して必要設備・システム投資などを支援します。

グリーン枠は温室効果ガスの排出削減に関する革新的な製品・サービス開発や、炭素生産性向上のための生産プロセス・サービス提供方法の改善などを図る設備・システム投資に支援を行います。

不動産業界では省エネ住宅やZEHを建設・管理する場合に対象となる可能性があります。

事業再構築補助金

事業再構築補助金はウィズコロナ・ポストコロナの時代の経済社会の変化に対応するために新分野展開・業態転換・事業や業種の転換・事業再編など事業再構築の意欲がある中小企
業などを支援する補助金制度です。

通常枠と大規模賃金引上枠、回復・再生応援枠、グリーン成長枠、緊急対策枠があります。

通常枠の場合、一定期間の売上が減少している、新分野展開・業態転換、事業・業種転換、事業再編を行う、認定経営革新等支援機関と事業計画を策定するという3つの要件を満たす必要があります。

補助金の額と補助率は以下の通りです。

補助対象の経費は建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費です。

大規模賃金引上枠とは多くの従業員を雇用し継続的な賃金引上げに取り組みながら、従業員を増やして生産性を向上させる中小企業などの事業再構築を支援します。

最低賃金引上げの影響を受け、資金の確保が困難で業況の厳しい企業の事業再構築を支援する「最低賃金枠」もあります。

新型コロナウイルスの影響により業況が厳しい事業者、事業再生に取り組む企業の事業再構築を支援する回復・再生応援枠、原油価格・物価高騰など経済環境の変化の影響を受けている事業者の再構築を支援する緊急対策枠もあります。

地方自治体の補助金・助成金

多くの地方自治体では、独自にDXの助成金・補助金制度を設けています。
一部の自治体のプロジェクトをピックアップしました。

  • 東京都:DXリスキリング助成金(対象:都内にある中小企業など)
    • 概要:従業員が民間教育機関のDX講座で受講した(eラーニング含む)場合の経費の一部を助成 ※期間の定めあり
      • 助成率 2/3、上限額 64万円
  • 神戸市中小企業DX推進支援補助制度
    • 概要:神戸市内に主な事業所を有する中小企業に対して、DX推進に必要な経費を補助する ※公募期間は終了しました
      • 補助金:通常枠 補助率: 1/2以内
      • 補助上限金額:1件あたり100万円まで
  • 徳島県:DX・GXによる経営転換促進補助金
    • 概要:徳島県中小企業向け融資制度の融資を受けることが前提。融資により設備投資を行い労働生産性の向上が見込める中小企業者 ※募集期間は20221228日まで
      • 補助金額:10万円~200万円
      • 補助率:1/10以内
        • 補助対象経費が2,000万円を超える場合補助金額は200万円。補助対象経費が100万円未満の事業は補助金の対象とならない

DXは補助金・助成金以外の支援も充実

経済産業省では、地域企業・産業のDXの実現に向けてデジタル人材の育成を推進するため、実践的な学びの場としてポータルサイト「マナビDX (デラックス)」を2022年3月に開設しました。

※マナビDX
https://manabi-dx.ipa.go.jp/

2021年にはDX人材育成に向けたプログラムを無料で受講できるプロジェクトを実施しました。「マナビDX」ではオンライン上でもデータサイエンス・AI・クラウドなどの講義を受ける事が可能です。

大阪府は「大阪DX推進プロジェクト 」として、専門家(DXアドバイザー)無料派遣・DX人材育成などの取り組みを行っています。主に大阪の中小企業が対象ですので、興味のある担当者はメールでの無料相談を 申し込んでみましょう。

東京都では「DX社会実装プロジェクト」と題して、スタートアップ企業のDX製品・サービスの普及・実装に向けてイベントを通じて民間企業とのマッチングを図る企業を展開しています。
イベントに参加するこ とでスタートアップ企業のDX製品・サービスの説明を聞き、質問や相談ができます。

まとめ

上記に挙げた国・地方自治体の補助金・助成金制度を活用する事で、DX推進のコストをおさえることができます。

申請書類の作成・手続きには手間と時間がかかりますが、窓口に相談する・メールや電話で質問する、商工会議所への相談など無料の支援をフルに活用していきましょう。
オンライン講座や人材育成などのサービスと併せて利用していきましょう。

執筆者/田中あさみ FPライター。大学在学中に2級FP資格を取得、医療系の仕事に携わった後ライターに。
金融・フィンテック・不動産・相続などの記事を多数執筆。
ブログ:https://asa123001.hatenablog.com/
Twitter:https://twitter.com/writertanaka19

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