岸田首相の「デジタル田園都市国家構想」は何を変えるのか?

2022.02.02
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岸田首相の「デジタル田園都市国家構想」は何を変えるのか?

デジタルで都市と地方をつなぐ「デジタル田園都市国家構想」

岸田文雄首相は過疎化や高齢化といった地方の課題にデジタルを実装することで解決する「デジタル田園都市国家構想」を掲げています。地域の「暮らしや社会」「教育や研究開発」「産業や経済」をデジタル基盤の力で変革し、「大都市の利便性」と「地域の豊かさ」を融合した「デジタル田園都市」を構築しようというものです。

狭い意味での「まちづくり」にこだわらず、さまざまなアプローチを実践しようとしており、例えばデジタル庁が例としてあげているものは以下の6つです。

1. スーパーシティ/スマートシティ型
全てのサービスに間口を広げ、総合的なまちづくりを目指す。このうち、大胆な規制改革を要するものについては、スーパーシティとして国家戦略特区指定を目指す。

2. MaaS発展型
MaaSを基礎に、それを活用した生活サービスの実ビジネス化を目指す。例えば、Shared型のサテライト・オフィスを核とした、新たなMobility生活圏の構築を目指す。

3. 地域経済循環モデル型
Sustainabilityの観点から生活サービスの再編を目指す。例えば、蓄電池を活用した新たなエネルギー需給管理や、サーキュラーエコノミーを意識した新事業モデルなど。

4. スマートヘルスケア先行型
スマートヘルス、スマート農業、生体認証ななどを 積極的に組み合わせ、高齢者が働きながら安心して暮らせるまちづくりを目指す。

5. 防災・レジリエンス先行型
多様化する災害時の対応に最適なサービスやデータ連携基盤の設計から、緊急時に強い生活サービスの改善・再設計を目指す。

6. スマートホーム先行型
次世代のデジタル家電と新しいライフソリューションサービスとが融合した住まいの再設計から見つめ直すまちづくりを目指す。

デジタルから考えるデジタル田園都市国家構想【出典】デジタルから考えるデジタル田園都市国家構想【URL】https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digital_denen/dai1/siryou4.pdf

これらを実現していく上では、データ連係の基盤などのデジタルインフラ、そしてAPIなどを通じたサービス間の連携強化が必須になってきます。

実現にあたって、政府がデジタル基盤を整備する方針を示す

政府はこうした構想を実現するため、これまでの書面提出や対面、目視を義務づける制度を改めてデジタル技術を活用できるようにする「デジタル原則」の考え方なども盛り込もうとしています。

「デジタル原則」は以下の5項目を掲げています。

1. デジタル完結・自動化
2. 機動的で柔軟なガバナンス
3. 官民連携
4. 相互運用性の確保
5. 共通基盤の利用

特に注目したいのは「デジタル完結」。これは業界における書面や対面、目視、定期点検といったルールを改めることにつながります。不動産業界でいえば、建設業法などで工事現場に特定の資格を持った人の配置を義務づけるルールなどがありますが、これらをドローンやカメラ、センサーなどで代替できるようにします。以前からSUMAVEでも取り上げている電子署名(リンク)などの延長線上にある取り組みとも言えそうです。

都市の活力と田園のゆとりの結合をめざす「田園都市国家構想の推進」を最初に掲げたのは1980年代の大平正芳元首相です。この構想をベースにデジタルで都市と地方とが物理的な距離を乗り越えてつながり、都市の資源・情報などを地方でも活用できる社会を目指すのが「デジタル田園都市国家構想」ですが、そのためには業法の変更なども多く必要となり課題も山積みです。

岸田首相は日本を周回する海底ケーブル「デジタル田園都市スーパーハイウェイ」を3年程度で完成させると言明しており、大規模なデータセンター、光ファイバー、5Gなどの組み合わせによる大容量インフラの全国整備を約束しています。インフラとなる部分が3年程度で完成できるかどうか? 構想の一里塚ともなるスーパーハイウェイの成否に注目が集まっています。

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