賃貸の新しいライバル? ホテルに住むという新しいライフスタイル各社続々

- コロナ禍の影響でホテルの利用方法に変化が生まれる
- 長期滞在向けのプランが続々登場
- 快適に過ごすことができる環境整備にも注目
泊まるのではなく ホテルに「住む」というライフスタイル
コロナ禍の影響で旅行者が減少する中、各ホテルが新たなプランとして次々に発表しているのが長期間の滞在プランです。帝国ホテル東京は「帝国ホテル サービスアパートメント」という月額36万円で滞在できるサブスクリプション方式のプランを発表。当初は2021年7月までの滞在プランでしたが希望者が多いということで2022年3月まで実施することを発表しています。駐車場も1台無料で利用でき、ホテルライクなサービスを受けられ、この価格帯は東京では割安感があります。
今まで賃貸というとマンションやアパートが代表的な不動産でしたが、ホテルの長期滞在プランも賃貸の新しい形と言えるのではないでしょうか。これまでも「サービスアパートメント」という言葉がありホテルのようなサービスを受けることができる、マンションやアパートはありましたが、ここで紹介するのはホテルそのものでの長期滞在についてです。泊まるだけではなく、ホテルに「住む」という新しいライフスタイルに注目していきます。
期間中拠点を移しながらの利用も可能なアパホテル
【出典】アパホテル 「マンスリープラン」
【URL】https://www.apahotel.com/monthly/
帝国ホテル東京が一カ所であるのに対して、全国にある100以上のアパホテルに泊まり放題だというのがアパホテルの「定額マンスリープラン」です。これは連続する30日間の宿泊が、9万9000円で利用できるというもの。同じホテルで長期間滞在することも可能なほか、通常の定額プランとは違い宿泊するホテルを1泊から選ぶことができるので、毎日違うアパホテルを利用することもできるというわけです。
テレワークやリモートワークの拠点としてホテルステイするほか、週末は少し郊外や観光地のホテルを利用するなどフレキシブルに利用することができそうです。
宿泊中は1日3食の食事も提供「ホテルニューオータニ」の長期滞在プラン
【出典】ホテルニューオータニ 新・スーパーTOKYOCATION
【URL】https://www.newotani.co.jp/tokyo/stay/plan/staytokyoeattokyo-long/
ホテルニューオータニが販売しているのが30連泊までの長期滞在プラン「新・スーパーTOKYOCATION」です。このプランでは滞在中の食事もオールインクルーシヴ。約40種類のメニューから1日3食自分で選んだ食事が提供されます。また、滞在中はランドリーやホテル内の会議室、eバイク(電動自転車)も無料で利用できるので自宅以上に快適に過ごすこともできそうです。
30泊する場合は75万円からですが、ほかにも6泊プランや12泊プランを選ぶことも可能。日常生活とは少し違うホテルならではの時間を過ごせます。
コワーキングスペースも充実し暮らすように滞在できる「ハイアット ハウス 金沢」は中長期滞在型ホテル
【出典】ハイアット ハウス 金沢 プレスリリース
【URL】https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000058398.html
2020年8月に開業した「ハイアット ハウス 金沢」は当初から中長期滞在型に注目をしているホテルです。キッチンの付いた部屋をマンスリーマンションのように30泊滞在できる「31 Day Resident」プランを29万8000円で販売しており、ただホテルに滞在するだけでなく利用者にとってホテルをもう一つの「ハウス」のように感じてもらうことを目指しているということです。
さらに今年5月からは施設のラウンジスペースやバーカウンターがコワーキングスペースとして活用できるようになりました。フロアの様々な場所にコンセントやUSBポートが備わっており、飲食を利用することでこのエリアを自由に使うことができ、リモートワークの普及やワーケーションを意識していることがわかります。
幅広いライフスタイルが生まれホテルも不動産業界も領域が曖昧に
テレワークの普及など多様なライフスタイルが生まれる中で、ホテルはもはや宿泊するだけの場所ではなくなってきています。既存のホテルが提案する長期滞在プランのほか、長期滞在をより快適に過ごせるよう共有スペースを充実させるホテルも登場し、利用者もそれぞれのライフスタイルに合わせて選ぶことができます。
不動産業界でも以前取り上げた「NOW ROOM」は1ヶ月から賃貸できる家具付き物件を取り扱っています。利用者にとってはホテルや賃貸というだけでなく、便利に暮らすために選択肢が増えていると言えるでしょう。住まいの領域が曖昧になってきているこの動きは、不動産業界とホテル業界のどちらにも影響を与えそうです。