不動産業界に続々とリリースされるタッチレス(コンタクトレス)サービス

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不動産業界に続々とリリースされるタッチレス(コンタクトレス)サービス

ホテルやオフィス、マンションにまで拡大するタッチレス(コンタクトレス)

新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大で、タッチレス(コンタクトレス)が注目を集めているのは、以前「密」回避のコンタクトレス・テックでご紹介した通りですが、不動産業界ではより具体的な取り組みが拡大しています。

三井不動産は2020年11月25日、東京都内の水道橋に開業したホテル「シークエンス水道橋」で、顔認証システムやQRコードでチェックインや入室などができる仕様にしました。チェックアウトも室内のタブレット端末で可能になり、一連の作業は非対面で完結します。

オフィスでは、体温測定機能付きの認証システムなどが登場。イーバイピーは手のひら をかざすだけで、会社の出退勤やイベントの入場者の管理と体温測定ができる「パオンセーフ」を2020年12月にリリースしました。

入室管理だけでなく、オフィスでは全体的にコロナ禍を経てニューノーマル(新常態)に沿った設計がトレンドになりつつあります。2020年12月3 日、東急不動産ホールディングスグループの東急Re・デザインは、東京都世田谷区の用賀オフィスをコロナ禍時代に対応した働き方ができる「ライブオフィス用賀」として改装し、オープンしたことを発表しました。顔認証入館管理システムはもちろん、タッチレス水栓や自動ドアを用意したり、室内の空気を殺菌したりする装置や抗菌効果のある建材・塗装を導入しました。


「ライブオフィス用賀」の全体像「ライブオフィス用賀」の全体像。


「ライブオフィス用賀」入館管理・非接触「ライブオフィス用賀」は入館管理はもちろん、出入り口は自動ドア、水栓もタッチレス。

東急Re・デザイン「ライブオフィス用賀」抗ウイルス対策室内の空気を殺菌したりする装置や抗菌効果のある建材・塗装も導入している。
【出典】東急Re・デザイン「ライブオフィス用賀」特設Web サイトより【URL】https://www.spacepartners.jp/liveoffice

このように非接触・非対面のタッチレス(コンタクトレス)は入居者たちの安全を守るため、ホテルやオフィスで徐々に増加傾向にあり、その波はマンションにも来ています。日鉄興和不動産は、2021年11月下旬に横浜市で完成予定の新築分譲マンションに、フジテックの非接触エレベーター「エクシオール」に搭載されている非接触ボタンを分譲マンションで初めて導入。これは、赤外線ビーム式のセンサーを用いた非接触ボタンに手をかざすと、エレベーターを呼んだり行き先階を指定したりできます。

近鉄不動産では、2023年1月下旬竣工予定の名古屋市の新築マンション「(仮称)ローレルタワー藤が丘」で、エントランス、エレベーターホール、エレベーター、各住戸玄関の4カ所のセキュリティロックすべてに非接触キーの採用を発表。阪急阪神不動産も、12月から同社が分譲したマンションエントランスの自動ドアを、スマートロックなどを手がけるビットキーの技術を使い、非接触で解除できる顔認証システムを用いた実証実験を開始します。この実証実験は、大阪で開発が進むニュータウン国際文化公園都市(彩都)における、スマートシティ実現のためにも活かされるといいます。

コロナで戸建ての人気高まる一方、マンションは付加価値向上が求められる

コロナ禍で戸建て需要が増しているのは多くの報道にある通りで、住宅ローン借り入れ可能額判定サービス「モゲパス」を提供するMFSの調査によると、首都圏の住宅購入希望者のうち、戸建てを希望する割合が20%近く増えたこともわかりました。

調査は新型コロナの感染拡大前(2020年2月まで)と、コロナ禍以後(2020年3月以降)の調査結果を比較。対象は東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の物件の希望者。コロナ前と比べて、価格の高い駅近や都心部のマンションよりも、価格も抑えられ広い住戸も多い郊外の戸建てニーズの高まりを指摘しています。


コロナ禍前後における希望物件種別の変化。MFSのプレスリリースよりコロナ禍前後における希望物件種別の変化。
【出典】MFSのプレスリリースより【URL】https://www.mortgagefss.jp/pressrelease/1193/

こうした消費者のニーズ変化もあり、マンションのオーナーらが新システムに興味を持ちはじめていることも、タッチレス(コンタクトレス)システムの導入が加速している要因と言えそうです。マンションは立地以外の間取りなどでの差別化が難しくなってきており、新システムを導入することで他と比べて物件の魅力を向上させたい狙いがあります。つまり、タッチレス(コンタクトレス)の導入は他物件との違いを打ち出しやすいツールの一つでもあるのです。

不動産テックのスタートアップであるライナフは、スマートロックとそれを管理するサービスなどを提供していますが、新たに検温機能つきAI顔認証エントランスシステムを開発。AIによる顔認証技術を活用して、マスク着用時でも高精度な認証を可能としました。

マンションなどの共有建物におけるエントランスでは、退去者などの間で鍵のコピーがされてしまうリスクなどから鍵の更新が必要となり、管理コストがかかっていました。同社のサービスは既存のオートロック機器に設置するだけで、スマートフォンや顔認証などで入室できるようになります。これにより、エントランスのあるマンションなどで、入り口で鍵を使う必要もなく顔認証のみで入室ができるというわけです。

タッチレス(コンタクトレス)は不動産テックのスタンダードとなるか

タッチレス(コンタクトレス)に対して抵抗のある世代やタイプもいるかもしれませんが、安全面だけでなく以前紹介したIT重説などの進行を見てもわかる通り、不可逆な変化と捉える人が多いようです。

タッチレス(コンタクトレス)のメリットは一般的に言われる利便性だけではなく、これまで対面で得られなかったデータの蓄積がデジタルを通じて得られること。先ほど紹介したライナフのサービスでも、訴求ポイントの一つとして入居者の入退室のログを蓄積できることを挙げています。顧客行動の把握や分析がやりやすくなることは、企業にとっては今後の事業開発をしていく上でも魅力的です。

不動産・住宅関連でいえば、現地調査が当たり前だったリフォームにもタッチレス(コンタクトレス)の動きがあります。住宅リフォームのリフォニアが、2021年1月からリフォームの見積もりや注文を、スマートフォンで完結できるサービスを始めると発表しています。これは担当者がオンラインで指示をし、顧客が現場を撮影、それを見た上で詳細な見積書を出すというものです。

不動産だけでなく社会のいたるところでタッチレス(コンタクトレス)が増えていく中、非接触・非対面が当たり前になり、直接会うことが珍しくなる可能性もなくはありません。マンションの付加価値施策として、また新しい事業モデルの参考として、タッチレス(コンタクトレス)サービス動向をチェックしておきたいところです。

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