低コストで物件価値を向上させる! ホームステージング×IT最前線

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低コストで物件価値を向上させる! ホームステージング×IT最前線

効果は期待できるが“ハードル高め”? なホームステージング

近年、ますますストック数が増加している既存(中古)住宅。リフォームやリノベーションのほか、不動産テックを使った斬新な空き家活用法にも注目が集まり、その流通量・成約数は徐々に増加しています。

既存住宅であれば特に、「できるだけ早く」「できるだけ高く」売却したいという場合も多いでしょう。そのニーズに応えるため、活用できる物件価値を高める手段は多くありますが、今回注目したいのがホームステージング。新築よりも既存住宅が多く流通している欧米では一般的な手法ですが、日本でも認知を拡大しています。そして最近ではこれをより手軽かつ効果的に実施するための便利な不動産テックサービスが登場しているのです。

「家(Home)」を「演出する(Staging)」という意味のホームステージング。一般的には、売却予定の物件にインテリアコーディネートを施し、買手にとって魅力的な空間を演出することで、より早く・より高く売るためのサービスを指します。

物件を空室で売却する場合、殺風景な部屋をそのまま見せても、購入検討者にとっては自分がそこで暮らすイメージを持ちづらいでしょう。反対に居住中の物件を売る場合は、置かれた家具や日用品などで住んでいる人の生活感が出てしまうので、やはりそのままでは物件の魅力を活かしきれないかもしれません。ホームステージングはそんな既存物件に家具や小物などを設置したり、居住中であれば片付けを行なったりすることで、ターゲットとする購買層にとって暮らしのイメージを持ちやすい魅力的な空間に変えるためのものなのです。

実際の効果はというと、一般社団法人日本ホームステージング協会がまとめた「ホームステージング白書2019(以下、ホームステージング白書)」によれば不動産仲介の場合、ホームステージングしてから3ヵ月以内に80%の物件が成約。実施後の問い合わせ数・内覧者数・内覧時間は「大幅に増えた」と「わずかに増えた」を合わせるといずれも80%以上となっています。まだホームステージングの事例が少ない賃貸に至っては、約半数(47%)もの物件が実施後2週間以内に成約しており、問い合わせ数は「大幅に増えた」と「わずかに増えた」の合計は100%。内覧者数や内覧時間についても75%以上で増加という結果になっており、ホームステージングは一定以上の効果が見込める手法であることが分かります。

また前出のホームステージング白書で、ホームステージングを導入している不動産会社の内訳を見ると、不動産仲介と買取再販で半数以上(55%)。既存住宅の販売促進のため、特に買取再販で早期に売却するために導入する会社が増えているようです。

それでは、費用の面はどうでしょうか。後述する不動産テックを用いない場合、一般的にホームステージングを実施するには家具や小物の購入・レンタルが必要となりますが、ホームステージング白書でホームステージングにかける費用の平均金額を見ると、仲介の場合は10~20万円未満が最も多く(33%)、次に20~30万円未満(27%)、30~40万円未満(16%)と続いています。賃貸の場合は7~10万円未満が39%と最も多く、3~5万円、5~7万円が同率2位(共に22%)という結果に。賃貸の場合、家賃約1ヵ月分程度の金額をかけることが一般的なようですね。

そして、これらの費用は仲介の場合、主に不動産会社が負担(75%)し、賃貸の場合はオーナー自身が負担(50%)することが多いようです。一つの物件にかかる金額を見るとそこまで高額でないようにも見えますが、複数の物件をまとめてホームステージングしたい際などは少し躊躇してしまうかもしれません。

加えてホームステージングとは、部屋を見栄え良く整えれば良いわけではありません。きちんと各物件のターゲットを見定め、その対象にとって価値ある物件に見せるための空間づくりをする技術が必要です。また大型家具の移動や小物の設置にかかる労力や移動コストを考えると、早期売却したい物件すべてには実施できない場合もあるでしょう。

このように高い成果が期待できるものの、会社の規模や扱う物件によってはややハードルの高いホームステージング。この手法をより広く身近なものにしてくれる不動産テックサービスが存在します。

手軽に試せる! “バーチャル”ホームステージング

不動産テック業界では最新の撮影技術やVR、CGなどを使って先に挙げたようなハードルを引き下げ、安価で手軽に試せる「バーチャル」ホームステージングサービスが登場しています。

terior バーチャルホームステージング

ラストマイルワークス株式会社が手掛ける「terior バーチャルホームステージング」は、CG加工技術によってホームステージングされた部屋の写真を制作するサービス。2019年9月時点で200社以上の企業に利用されています。

家具などのCGが設置された写真のほか、居住中の室内に置いてある家具を消した空室状態の部屋のイメージを作ることも可能です。また、二つのサービスを組み合わせることで、入居中の物件写真から生活感のある家具を取り除き、まっさらな部屋へ新たな家具を置き直した写真に加工することができます。これらの写真をポータルサイトやチラシに掲載することで他社との差別化を図り、Web反響率アップや早期販売が見込めます。

teriorバーチャルホームステージングterior バーチャルホームステージング【出典】バーチャルホームステージング紹介ページより【URL】https://terior.lastmile-works.com/virtual-homestaging/

Webサイトから加工したい部屋の写真をアップロードして、家具のイメージを選択するだけで利用できます。インテリアのイメージはあらかじめ用意されている「モダンスタイル」「ナチュラルスタイル」「ヴィンテージスタイル」の3種類のほかにも、専用のインテリアスタイル作成を相談することも可能。パノラマ写真の加工や360度見渡せるVR内見コンテンツを作ることもできます。

基本の家具置き・家具消しサービスは通常写真で1枚あたり8,800円(税別)から、パノラマ写真は9,800円(税別)から利用できるので、実際にホームステージングを行うよりも費用を抑えられるのがメリット。

ラストマイルワークス株式会社のプレスリリース入居中物件でもバーチャルホームステージングが可能【出典】ラストマイルワークス株式会社のプレスリリースより【URL】https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000020412.html

V2Rインテリア

「V2Rインテリア」は、バーチャル(3DやVR)からリアル(設置)までをトータルでサポートするバーチャルホームステージングサービス。

同サービスを展開する株式会社カラーアンドデコは、インテリアショップを運営する株式会社リビングハウスと資本業務提携を結んでいます。そのため、ユーザーはバーチャルステージングや家具消しなどの物件写真編集サービスに加え、リビングハウスが持つインテリアトレンドや販売データを基に、物件の購買ターゲット層に合わせたインテリアスタイルを構築することも可能。利用の際は、プロのスタイリストに家具画像の配置を任せられるほか、購買ターゲットの属性や地域性からインテリアスタイルを選択することも可能です。

料金は1枚につき5,980円からで、VR・360度などのバーチャル内覧に対応する360度パノラマ写真は1枚9,980円。居住中の物件写真から家具を消したり、明るさや歪みの調整を行ったりといった不動産物件写真編集サービスは、1枚につき300円からで、外観・室内共に利用可能です。

V2RインテリアV2Rインテリア【出典】V2Rインテリア紹介ページより【URL】https://v2r-interior.com/

また、2020年3月からはバーチャル上だけでなく、実際の家具を販売・設置するサービスをリリース予定です(2020年3月現在)。リクエストと写真を合わせて発注すると、1週間以内に設置可能な家具で構成されたインテリア3Dイメージを作成。現実の物件に家具を配置する前から3Dイメージを広告に掲載し、営業活動に活用できます。

さらに同サービスでは、カラーアンドデコとリビングハウス共同のリースプランで初期費用を抑え、月額1万円から家具を設置することが可能。他物件への移設や不要な家具の買取にも対応しているため、予算やニーズに合わせてバーチャルとリアル、どちらのメリットも享受できます。

「V2Rインテリア」サービス概要「V2Rインテリア」サービス概要【出典】株式会社カラーアンドデコのプレスリリースより【URL】https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000053045.html

「使い方を具体的にイメージさせる」ための工夫が求められる時代に

既存住宅を早く、高く売るための施策である、ホームステージング。昨今では「WeWork」が注目を集めたように、不動産をただの箱ではなく、ある目的のためにデザインされた空間としての価値を重視する傾向が見られるようになってきました。工夫次第で、立地や築年数だけでは計り知れない価値を不動産に与えることも可能なのです。

国内の中古住宅市場においても、実際の住まい方のイメージを湧き上がらせるホームステージングは今後さらにニーズが高まり、普及していくでしょう。同時に今回紹介したような不動産テックサービスが広がっていけば、予算や物件ごとに「バーチャル」と「リアル」なホームステージングを使い分け、より効率的に中古住宅を流通させることも可能になるはずです。ホームステージングの普及、そして不動産テック業界の盛り上がりによって、中古物件市場の活性化も期待できそうです。

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