2030年には今の7倍に!?スマートホームの世界市場規模とは

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2030年には今の7倍に!?スマートホームの世界市場規模とは

はじめに

2017年12月末に、Amazonが家庭用スマートカメラメーカーのスタートアップ企業Blinkの買収を発表しました。

Blinkは、Alphabet(Googleの親会社)傘下でホームセキュリティ製品を扱うNestの競合。Amazonは、現状自社傘下のBlink製品のみオンライン販売で取り扱っており、競合であるNest製品の取り扱いはしていません。

それらの事実は、世界最大手のIT企業がスマートホーム市場に注目している現状を表しています。そこで、この記事ではスマートホームの市場規模と、その可能性についてご紹介します。

目次

この記事で使う用語について

スマートホーム:スマートホームとは、広義では「家全体をインターネットでつなぎ、コントロールすることで、より快適な暮らしを実現する住まい」を、狭義では「Home Energy Management Systemの『HEMS(ヘムス)』を導入している住まい」を指します。この記事では便宜上、スマートホーム製品を一つでも備えている住まいをスマートホームとします。

スマートホーム製品:スマートロックやスマートカメラなどのインターネットとつながる住宅用のIoT家電などを指します。

スマートホームシステム:照明、冷暖房、セキュリティシステムなどを統合する住宅自動管理システムのことを指します。ホーム自動化システムとも呼ばれることもあります。

データからみる世界のスマートホーム市場

まずは、現在の世界のスマートホーム市場がどれくらいの規模で、この先どれくらいの成長が見込まれているのかを、データで見てみましょう。

今回は、A.T.カーニーがまとめた『The battle for the Smart Home: Open to All(スマートホーム・ビジネス 戦略構築の必須条件)』のレポートを用いてご紹介します。

A.T.カーニーは、米経済誌フォーチュンの世界企業売上高番付上位500社(Fortune Global 500)にランク入りしている企業の4分の3以上と、政府系機関やNPOを顧客に持つ世界有数の経営コンサルティングファームです。

A.T.カーニー:https://www.atkearney.co.jp/the-battle-for-smart-home-open-to-all

ドイツの調査会社Statistaの調査(Smart Home – worldwide)によると、2017年時点でのスマートホームの世界市場規模は、約3.6兆円(≒330億ドル)。市場は、今後もうなぎ上りで成長すると予想されています。具体的には、2020年までに6兆円(≒550億ドル)に。その後の5年で約5倍の29兆円(≒2630億ドル)、2030年には7倍以上の45兆円(≒4050億ドル)の規模に成長すると見込まれています。

A.T.カーニー:https://www.atkearney.co.jp/the-battle-for-smart-home-open-to-all

さらに、同レポートでは欧米・ヨーローッパ、アジアを中心に普及が加速していくだろうと言及しています。また、北米では、スマートホームが普及する土台がすでに整っていると言及しており、その理由として、

  • 消費が好調であること
  • 戸建て住宅が多いこと
  • DIY文化が根付いていること

が挙げられています。

*「Do It Yourself」の略称であり、専門業社に依頼せず、自身で修繕・改築などを行うこと

では、アジアに目を向けてみましょう。レポートでは、2020年までは日本がアジアのスマートホーム市場の拡大を牽引していき、それ以降は中国がそのたすきを受け取り、アジアのスマートホーム市場拡大を牽引していくとされています。

国民一人当たりの医療費が高く、少子高齢化の進む日本では、健康関連のスマートホーム製品の売り上げに伸び代があると言われています。一方で、中国の伸び代は、経済の成長と紐づいているようです。中国の世帯あたりの年収が2030年までに385万円(≒3万5千ドル)に上昇するという予測が出ています。同レポートは、これがスマートホームの市場拡大を後押しする要因だとしています。

ヨーロッパでは、ドイツ、イギリス、フランスの3カ国で高齢者が増えつつあり、この3カ国を筆頭に主に健康管理のスマートホーム製品の売り上げ拡大が予想されています。

スマートホームの市場は、欧米だけでなく、アジアも含め、世界全体で市場の急速な成長が見込まれている市場なのです。

アメリカのスマートホーム市場拡大の立役者は、20〜30代

Real Estate Tech News:http://realestatetechnews.com/blog/how-smart-homes-are-disrupting-the-real-estate-industry

グラフを見てみると、スマートホーム製品を所有しているアメリカ人の半分近くが、若年層で構成されていることがわかります。では、どのような背景からこうした結果が出ているのかを見ていきましょう。

若年層に特に人気があるのは、家の間取りを読み込めるロボット掃除機など、利便性を重視したスマートホーム製品。彼らは、Amazon-EchoやGoogle Homeなどの音声操作が可能で、音楽をかけたり、テレビとつないだりできるエンターテイメント性の強い製品にも関心を示しています。

Real Estate Tech News:http://realestatetechnews.com/blog/how-smart-homes-are-disrupting-the-real-estate-industry

しかし、もう一つの見逃せない数字は、スマートホーム製品所有者の4人に1人が55歳以上の高齢者であり、決してスマートホーム製品は若年層だけのものではないということ。若年層がエンターテイメントや利便性重視なのに対し、高齢者たちは遠隔からスマホでチェックできる監視カメラ等のセキュリティ強化に関する製品や、家庭のエネルギー消費を効率化する省エネに関する製品の導入に積極的です。

2016年に行われたアメリカの国勢調査によると、アメリカ人の65歳以上の約3人に1人の女性が、そして約5人に1人の男性が単身で住んでいることも報告されています。そして、彼らの6割以上は、たとえ自分一人で生活を送れなくなっても、通いの介護士を雇うなどして単身で自宅に住み続けたいのだそうです。

米国の市場分析会社Strategy Analyticsの調査によると、そうした世代を親に持つ子供たちの3人に1人以上の人が、単身で住んでいる親の見守りサービスに興味があり、そのサービスにお金を払うことをいとわないと答えています。こうした親世代とその子供世代の両方のニーズを叶える可能性を、スマートホームは秘めているのです。

もしかすると、子供世代が単身で住む親の安全と快適性を考えて購入・導入している結果が、スマートホーム製品の所有者の4人に1人が55歳以上という数字に現れているのかもしれません。

このように、「自分で使う」「親のために購入する 」という2つの選択肢を持った若年層がスマートホーム製品に利便性を感じ、導入にも前向きです。これからも、スマートホーム製品は注目を浴びそうです。では、実際にアメリカではスマートホーム製品はどのように活用されているのでしょうか。

出典: 「APPLAUSE 79% Of U.S. Consumers Already Own A Smart Home Device」、「Coldwell Banker Coldwell Banker Real Estate Survey Finds Nearly Half of Americans Will Have Smart Home Technology by the End of 2016」、「Essence Who is Buying Connected Home Solutions Today? 」より

アメリカの高齢者向けスマートホーム事例

2017年12月にCox Communicationsが、一人で住む高齢者と通いの介護を受ける高齢者向けに、モデルルーム(モデルハウス)を開きました。

Cox Communicationsは、このモデルハウスを使って、今すでに市場に出ている最新鋭のスマートホーム製品や技術を組み合わせ高齢者の自立した生活を支えることができるのはないかという実証実験を開始。

例えば、キッチンのゴミ箱には、パッケージを捨てるときにバーコードを読み取るだけで自動追加注文のできるスマートホーム製品を設置。そのほかにも、時間になると愛犬に自動でえさやりをしてくれる機器や、薬の飲み忘れを防ぐアラート付きのスマートピルケースなど。多種多様なスマートホーム製品が組み込まれています。

さらに居住者の健康状態の管理はリモートで行われており、体調がすぐれないときに、テレビ電話で医師の診察を受けることのできる遠隔医療システムまで導入されています。その際、血圧や脈拍を医師に伝えて診てもらうことができます。そのほか、テレビ電話面談で、栄養士から食生活のアドバイスを受けることやセラピストからエクササイズに関するアドバイスを受けることも可能です。

Cox Communicationsは企業単位で動いた例ですが、より手軽に個人単位で高齢者の自立した生活をサポートしている例も見受けられます。あるアメリカ人の男性は、視力が下がってきて大好きな読書をできなくなった母親に、オーディオブックを聴けるようにと、Google Echoを贈ったそうです。

このように、最新のスマートホーム製品は生活をより便利にするだけでなく、高齢者の生活の質を担保するためにも使われ始めています。

国内のスマートホーム市場

内閣府:http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2017/zenbun/29pdf_index.html

アメリカで着々と導入の進むスマートホームですが日本では、まだまだ一般の人のスマートホームに対する興味・関心が薄いのが現状です。2014年に、株式会社クロス・マーケティングが全国47都道府県に在住する20〜69歳の男女を対象に行った調査によると、「スマートホームに興味があり、住宅購入の際にはそうした設備の有無にこだわる」と答えたのは全体のたったの10%ほどでした。

スマートホームの普及が進まない一方で、少子高齢化は確実に進んでいます。内閣府によると、2030年に日本人の3人に1人、2050年には約半分(43%)が65歳以上になるそう。少子高齢化によって、国内の高齢者に向けたスマートホーム製品の需要は高まることは、容易に想像できるでしょう。

政府は、昨年「未来投資戦略2017 ―Society5.0の実現に向けた改革―」を打ち出しており、遠隔診療や介護ロボットの導入を促しています。IT企業やハウスメーカーが続々とスマートホーム製品やスマートホームシステムの独自サービスを打ち出しているのも、今後のスマートホーム市場拡大を裏付けていると言えるでしょう。

昨年末には、「スマートホームの今。IoT家電は不動産物件を探せるのか」でもご紹介したGoogle Home、Clova Wave(LINE)、Amazon Echoなどのスマートピーカーの発売が開始。また年明けからは、ハウスメーカーの大和ハウスが「Daiwa Connect」、アキュラホームが「MIRAI ZEH – NEO」というサービスの提案を開始しました。

Daiwa Connectは、昨年末に発表され、2018年1月6日から始まった新しい注文住宅の形です。大和ハウスがこの新サービスで提案するのは、Google Assistantを搭載したGoogle Homeによる「コネクテッド・ホーム」。朝起きたときに「おはよう」と声を発するだけで、自動でカーテンが開き、照明がつき、コーヒーメーカーが作動。そのほか、「いってきます」「シアターモードにして」「おやすみ」などそれぞれの声に家が反応し、自動でエアコンやお掃除ロボットのオンオフもしてくれます。

もちろん、セキュリティも充実。留守中は、センサーが家を見守ります。スマホからは、いつでも家族の帰宅と安全を、映像で確認が可能です。

ZEHとは、Net Zero Energy Houseの略で、自家発電と、住まいの断熱・省エネを組み合わせることで、自宅で消費するエネルギーよりも、自宅で創出するエネルギーのほうが多い状態を作ることを指します。

アキュラホームは「MIRAI ZEH – NEO」で、スマートスピーカーによる家電操作と外出先からスマホで家の状態を確認できるサービスに加え、このZEHを標準搭載した家づくりの提案をしています。

大和ハウスは、日本語認識力が他の製品よりも優れているからとしてGoogle Homeを制御用デバイスとして採用したとのこと。しかし、今後は提携先拡大していく方針を示しており、今後のスマートホーム製品の競争激化にも注目が集まっています。

まとめ

スマートホームの世界市場は、2020年までに現状の約倍、その後も爆発的に成長することが予想されています。IT先進国のアメリカでは、すでに高齢者のスマートホーム需要に目がつけられ、実際に導入と運用が始められています。

デジタルネイティブなどの比較的若い世代が潜在顧客だと思われがちなスマートホームですが、少子高齢化が進む日本においても潜在顧客の影の主役は、若年層ではなく、高齢者かもしれません。

介護業界では、人手不足が叫ばれています。少子高齢化に伴って、単身で住む高齢者が増えることも避けがたい事実でしょう。そうした時代の流れを鑑みると、日本でも必然的にスマートホームの需要は高まっていくと見られます。

確実に成長する市場と少子高齢化。日本のスマートホーム市場も今、大きなチャンスを迎えています。

 

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