横浜市が取り組む「IoTスマートホーム」 - 未来型の住宅とは?

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横浜市が取り組む「IoTスマートホーム」 - 未来型の住宅とは?

少子高齢化が進み、高齢者世帯や高齢者の単身世帯が今後さらに増えてくると予想されています。高齢者の健康や生活の安否を、別の住居で暮らしている家族が常に管理することは物理的に困難です。

今回は、そんな社会課題を解決しようと横浜市が取り組んでいる「IoTスマートホーム」をご紹介します。

「IoTスマートホーム」とは?

2017年4月に横浜市は「I・TOP横浜(IoTオープンイノベーション・パートナーズ)」を立ち上げ、IoTを活用したビジネス創出に向けた交流・連携、人材育成等を進めてきました。2017年6月には横浜市、NTTドコモ、and factoryが共同で「未来の家プロジェクト」を開始し、IoT技術や人工知能を活用した居住者の快適な生活をサポートする取り組みを始めています。

IoTスマートホームとは、「未来の家プロジェクト」の中で用いられているIoT機器やセンサーが組み込まれたトレーラーハウスです。家の中の様々なところにIoT機器やセンサーが設置されています。鍵の開閉をアプリで行うスマートロック、カーテンの開閉や照明・空調などの各種家電がIoT機器となっており、それらをスマートフォン一つで管理することができます。

また、スマートホームは海外では積極的に取り組まれていますが、日本ではデバイス間の連携、セキュリティ、安全性などの面で課題を抱えており、普及が進んでいません。

約2年間の実証実験での狙い

2017年6月から約2年間「未来の家プロジェクト」内でIoTスマートホームは実証実験が行われています。実証"実験"ではありますが、大きく2つのことをIoTスマートホームは実現しています。

  • 健康状態の管理を手間をかけずに実現
    照明機器・センサーや体重計から得られるデータが結合されることで、睡眠時間や食事の摂取カロリーなど健康管理に関わるデータを一元的に管理ことができます。居住者は収集されたデータをスマートフォン一つで把握できます。また、使用者がデータを入力する手間を省くことにも繋がります。
  • 室内制御を様々なメーカーの機器で実現
    用いられているIoT機器やセンサーは、横浜市内の住宅メーカーやIoT機器メーカーなど中小企業のものです。多くのIoT機器に対応するOS・デバイスの開発はIoTの課題の一つですが、IoTスマートホームでは、様々なメーカーのIoT機器を結合して使用できます。居住者はIoT機器をスマートフォンで一括制御・管理ができるため、手軽に家の中の家電を操作することができます。

IoTスマートホームは住んでいる人の日常を丸ごとスキャンするとともに、IoT機器から収集した時系列データを蓄積・解析し、居住者の生活状態を可視化することで、生活者に気づきを与え、快適な室内環境作りを推進していく狙いです。

今後はさらにAI技術を活用して、収集した各種時系列データから居住者の特徴に応じ、室内環境を快適かつ健康的な状態に自動調整する"未来型の住宅"を目指しています。

「IoTスマートホーム」が生まれた背景

IoTスマートホームが活用されている「未来の家プロジェクト」の登場背景には、冒頭でも触れたように、超高齢化社会の到来という社会課題があります。

少子高齢化の進展とともに、高齢単身世帯の増加は避けられません。横浜市の人口は2019年にピークを迎え、2030年には85歳以上が100万人近くになると予想されています。横浜市では未来の家プロジェクトを通じて、高齢者の一人暮らし対策や災害時対応を推進していこうと考えられています。このプロジェクトの中で新しいアイデアを生み出そうと、横浜市のIoT活用に取り組む中小企業約6000社とも協力をして進められており、横浜市全体で社会課題に向き合おうとしていることが伺えます。

日本全体で見ても、人口減少はすでに2008年からはじまっており少子高齢化は避けられない問題になっているでしょう。

ひとり暮らしの高齢者も健康で豊かに暮らせる社会を実現するために、居住者の健康状態を把握できる「IoTスマートホーム」のような"未来型の住宅"の開発と浸透が期待されます。

 

 

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