需要増加!賃貸に外国人を受け入れる際のトラブル事例と回避方法・注意点とは?

- 入国制限緩和で外国人の入国者数が急増、労働者数も増加している
- 外国人からは需要が高く条件の悪いアパートなどでも入居を見込める一方で、ゴミ出し・騒音問題などトラブル事例も
- 専用のポータルサイトの利用・アプリの導入などDXがトラブル解決のヒントに?
SUMAVEでは以前「増える外国人の賃貸需要。言葉や文化の課題を解決するサービスを紹介!」という記事で、外国人入居者に対応するためのサービスを紹介しました。
近年ますます外国人労働者は増加傾向にあり、入国制限の緩和で外国人入国者数も伸びています。
需要の高さが見込める外国人入居者ですが、トラブルが気になる方は多いのではないでしょうか。外国人を賃貸住宅に受け入れるメリット・デメリット、トラブル事例・対処法についてお伝えしていきます。
外国からの入国者数が急増、労働者も増加傾向
2020年6月以降、日本政府は新型コロナウイルス感染症の水際対策として入国制限を行っていましたが、2022年10月11日から制限を緩和しました。2021年1月から2023年2月までの外国人の入国者数を見てみましょう。
【画像出典】総務省統計局「出入国管理統計」より筆者作成【URL】https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00250011&tstat=000001012480
入国制限が緩和された2022年10月以降は、入国者数が急増しています。
2023年5月8日以降は臨時的な措置を含む水際対策を終了する予定ですので、今後ますますの増加が予測されます。
2023年1月の外国人入国者は、総数1,567,402人で内訳は短期滞在者1,351,478人(86.2%)と最も多いです。しかし、日本人または永住者の配偶者がいる者・日本の永住者・定住者・特別永住者を合わせると72,083人に上ります。
厚生労働省の調査結果を見ると、外国人労働者の数も年々増加している事が分かります。
【画像出典】厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(2022年10月末現在)産業別外国人労働者数の推移」よりスクリーンキャプチャにて作成
【URL】https://www.mhlw.go.jp/content/11655000/001044543.pdf
業種別では製造業が最も多いです。国籍別にみるとベトナムが多く、外国人労働者数全体の25.4%を占めています。都道府県別の外国人労働者数を見ると東京都が27.4%、愛知が 10.4%、大阪が 6.8%となっています。
2015年の国勢調査によると在留外国人のほぼ半数の世帯が、賃貸住宅を住まいとしています。
【画像出典】国土交通省「外国人の民間賃貸住宅入居円滑化ガイドライン」よりスクリーンキャプチャにて作成
【URL】https://www.mlit.go.jp/common/001265423.pdf
外国人の入国者を賃貸住宅に受け入れるメリット・デメリット
外国人入居者は、需要が高く空室率の低下が期待できます。日本に住む外国人は増加していますが、外国人を受け入れる賃貸住宅は多くないという現状があります。
過去 5 年間に日本で住む家を探した経験のある外国人2,044 人に対して調査を行った結果、「外国人であることを理由に入居を断られた」経験のある人は 39.3%に上ります。
【画像出典】公益財団法人人権教育啓発推進センター(法務省委託調査研究事業)「外国人住民調査報告書」よりスクリーンキャプチャにて作成
【URL】https://www.moj.go.jp/content/001226182.pdf
さらに「日本人の保証人がいないことを理由に入居を断られた」人の割合は41.2%です。
積極的に外国人を受け入れると、入居者の層が増え外国人のネットワークで口コミが広がり新たな入居者につながる可能性があります。
また、外国人労働者は日本人ほどグレードの高い部屋を求めない傾向にあります。3点ユニットバス・木造の物件など条件の良くない物件でも入居が期待できます。
外国人を受け入れるデメリットは、生活習慣・文化・価値観の違いによるトラブルや多言語への対応です。既に日本人の入居者がおり、外国人入居者に抵抗を感じる場合は退去してしまう恐れがあります。また入居者同士のトラブルも想定されます。
外国人入居者を受け入れる事で想定されるトラブル事例と注意点
- ゴミ出し・騒音問題など入居者同士のトラブル
- 言語が理由で意思疎通が上手くできない
- 連帯保証人が条件と合わない
- 家賃滞納のリスク
1.ゴミ出し・騒音問題など入居者同士のトラブル
外国人入居者の母国と日本のゴミ出しのルールが異なり、ゴミ出しを巡って入 居者同士または近隣住民とトラブルになるケースは多いです。
外国人入居者が仲間を集めてパーティーをした結果、騒音問題に発展する事例もあります。文化や生活習慣が異なるため、他の入居者や近隣住民とトラブルが起こると推測されます。
2.言語が理由で意思疎通が上手くできない
契約時や入居中に外国人入居者と会話をしても、相手によっては日本語を理解してもらえず意思疎通が難しいという現状があります。
入居中も設備点検の故障などやり取りする機会がありますが、言葉が通じないと立ち会い時に家にいないなどのトラブルが起こるリスクが生じます。
3.連帯保証人が条件と合わない
上記の外国人住民に対するアンケート調査で「日本人の保証人がいないことを理由に入居を断られた」人の割合は41.2%に上ります。
管理会社にとって、日本に知り合いがいない外国人を入居させるのは不安に感じられるかもしれませんが外国人にも対応している保証会社を利用するという方法もあります。
4.家賃滞納のリスク
管理会社として避けたいトラブルの代表は「家賃滞納」と言えるのではないでしょうか。
外国人入居者の場合、急に母国に帰ってしまい連絡が取れず家賃が回収できないというリスクが想定されます。
外国人を賃貸住宅に受け入れる際のトラブル回避方法4つとは
- 入居時にルールや重要事項を丁寧に説明する
- 国土交通省のガイドラインを参考にする
- 外国人専用家賃保証システムを利用する
- 多言語に対応できるサービスの活用などDXの推進
入居時にゴミ出しや騒音などマナー・ルール・重要事項について丁寧に説明する事で、日本文化への理解が深まりトラブルが回避できる事例があります。
入居希望者の日本語理解レベルに合わせた対応を心がけましょう。
国土交通省のホームページでは、オーナーや不動産事業者のための「外国人の民間賃貸住宅入居円滑化ガイドライン」やガイドブック、外国人入居者向けの住まい方ガイド(動画)などを公開しています。
ガイドラインを参考に外国人入居者に動画を見せるなどの方法で、日本の住まいについて学んでもらいましょう。
家賃滞納については、全保連株式会社が2018年にサービス提供を開始した外国人専用家賃保証システム「SUMAU-すまう- 」や、外国人も契約できる保証会社があります。
家賃未収のリスクを回避するために、活用を検討してみましょう。外国人向けの不動産サポートをする法人も存在します。
外国人向けの部屋探しポータルサイトも多数存在します。
2023年1月 には、株式会社いえらぶGROUPと株式会社KACHIALがポータルサイト「Mooovin(ムービン) 」と「いえらぶBB」の連携を開始しました。
「Mooovin」は、海外に住む外国人の入居希望者にオンライン内見・外国語で重要事項説明・電子契約などのサービスを提供しています。「いえらぶBB」との連携により「Mooovin」では、業者間プラットフォーム「いえらぶBB」からワンクリックで物件の連携ができるようになりました。
言語の問題については、マンション・アパート内に掲示するお知らせや、設備故障時のやり取りなど、管理会社と入居者との間で発生するコミュニケーションをアプリで行えるサービスがあります。
外国人入居者に専用アプリをダウンロードしてもらうことで、アプリ上で一元管理が可能となりスムーズな賃貸管理が期待できます。
AI・IoTなどの最新技術を駆使したDX(デジタルトランスフォーメーション)で、外国人入居者の受け入れに対応していきましょう。
執筆者/田中あさみ FPライター。大学在学中に2級FP資格を取得、医療系の仕事に携わった後ライターに。
金融・フィンテック・不動産・相続などの記事を多数執筆。
ブログ:https://asa123001.hatenablog.com/
Twitter:https://twitter.com/writertanaka19