メタバース×接客の活発化でアバター同士の商談が実現!不動産業界の導入事例とは?

- 総務省「2022年版情報通信白書」では世界のメタバース市場の売上高は2030年には6788億ドルと予測
- メタバース商戦が活発化する中で、メタバースでの接客サービスも増加
- 不動産業界では野村不動産・大和ハウスがメタバースの接客サービスを展開
SUMAVEでは以前アメリカで起こったメタバース上の不動産取引の事例をご紹介しました。
メタバースの人気が若年層を中心に高まっていることから、さまざまな企業がメタバース商戦を活発化しています。アバター(自分の分身)としてメタバースで接客する事例も多数存在します。
不動産業界でも野村不動産・大和ハウス工業などが、メタバースで住宅の内覧や接客サービスを導入しています。
メタバース上の接客が活発化。アバターで相談ができる時代に
メタバースとは「Meta(超越した)」と「Universe(世界)」を組み合わせた造語で、インターネット上の仮想空間を意味します。
近年メタバースを利用するかたが増えたことから、メタバース上にバーチャル店舗を出し接客する事例が増えています。メタバースでは「アバター(分身)」として自分のキャラクターを設定しアバター同士でコミュニケーションができます。
例えば世界最大級のVR(仮想現実)イベント「バーチャルマーケット」では、メタバース上に存在する会場で、3Dデータ商品・現実世界での商品(洋服・PC・飲食物など)の売買が可能です。
2022年夏に開催されたバーチャルマーケットでは、セレクトショップ大手のビームスやみずほ銀行・JR西日本グループなどがバーチャルショップを出店しました。
総務省の2022年版情報通信白書によると、世界のメタバース市場規模(売上高)は2030年には6788億ドルと予測されています。
【画像出典】総務省「2022年版情報通信白書 世界のメタバース市場規模(売上高)の推移及び予測」よりスクリーンキャプチャにて作成【URL】https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r04/html/nd236a00.html
「メタバース」と聞くとゲームなどエンターテインメントのイメージを抱くかたが多いかもしれませんが、近年はビジネス活用の場面が増加しています。
メタバースでアバターとして販売や接客を担う人材の育成に乗り出す会社もあり、2年で3000人の稼働を目指しています。2021年のバーチャルマーケットでは171名のスタッフが「アバター接客」を行いました。
不動産業界のメタバース接客・サービスの事例3つ
- 野村不動産のメタバースサロン
- 大和ハウスの業界初「メタバース住宅展示場」
- JIBUN HAUS.とスパイラルセンスの協同開発バーチャルモデルハウス
1.野村不動産のメタバースサロン
野村不動産ではオンラインで家探しが出来る「プラウドオンラインサロン」を展開しています。2022年11月11日からはメタバース空間を設置し、予約不要で相談できる新しいサービスをリリースしました。
【画像出典】野村不動産株式会社「報道関係者各位プレスリリース」よりスクリーンキャプチャにて作成【URL】https://www.nomura-re.co.jp/cfiles/news/n2022110902126.pdf
メタバースサロン内ではアバターとして入室しチャットで会話が可能です。環境が整っている場合はマイクも利用できます。
アバターは既に用意されているものから選ぶこともできますし、メールアドレスを登録し自身で作成することも可能です。
メタバース内では物件情報を閲覧する、担当者(アバター)との音声会話・チャットなどが可能です。
オンラインサロンや通常のモデルルームへの来場は事前予約が必要ですが、メタバースのサロンは予約が要りません。匿名のアバターとして、個別で住まいの相談ができるというメリットがあります。
2.大和ハウスの業界初「メタバース住宅展示場」
大和ハウス工業株式会社は、2022年4月からメタバースで住宅展示場を見学できる「メタバース住宅展示場」を業界で初めて公開しています。家づくりの情報収集ができるサイト「LiveStyle PARTNER」 にてマンション・戸建て住宅・併用住宅をメタバースで見学できます。
大和ハウス工業株式会社ニュースリリース「オンラインを活用した戸建住宅の販売を強化します」よりダウンロード画像【URL】https://www.daiwahouse.com/about/release/house/20220420132807.html
大和ハウスのスタッフとアバター同士でコミュニケーションを図ることも可能です。
仕事や家事で忙しいかたでも、時間や場所に縛られることなくスタッフと共に内部を見学し暮らしを疑似体験できるというメリットがあります。
さらに、大和ハウスグループの株式会社コスモスイニシア・株式会社コスモスホテルマネジメントは、2022年10月に客室全てに「メタバースルーム」を日本で初めて設置しました。
3.JIBUN HAUS. とスパイラルセンスの協同開発バーチャルモデルハウス
JIBUN HAUS.株式会社とスパイラルセンス株式会社は、2022年3月にバーチャルモデルハウスの提供を開始しました。
バーチャルモデルハウスでは、ゲームコントローラーを使って家の中や外を自由に歩き回るなどメタバース上で暮らしの疑似体験が可能です。
6月のアップデートでは複数人による同時接続が可能となりました。メタバース内のJIBUN HAUS.の住宅に、夫婦や子どもなど家族構成に応じたアバターが複数人同時に入ることができます。
【画像出典】JIBUN HAUS.株式会社「メタバース住宅事業展開へ向けバーチャルモデルハウスにアバター導入(動画)」よりスクリーンキャプチャにて作成【URL】https://youtu.be/buoe7vEhJto
アバターは身長の異なる4種類から選択でき、自身に近い視点で暮らしを体験できます。
住宅の壁紙の色を変える、天気や時刻を変更するなど現実世界の住宅展示場では体験できないシミュレーションが可能となっています。
ユーザーにとってはメタバースでの生活を疑似体験しながら、理想の家づくりを目指せるというメリットがあります。
接客には対応していませんが、同社は2022年6月に神奈川県でバーチャルモデルハウスを内覧する一般公開体験イベントを開催しました。
JIBUN HAUS.株式会社とスパイラルセンス株式会社はバーチャルモデルハウスをメタバースで販売する「メタバース不動産事業」の展開を検討しているという報道があります。
今後のメタバース×不動産の可能性とは
メタバース商戦が活発になる中で、不動産業界では野村不動産や大和ハウスなどメタバースでの接客サービスをリリースしました。
2022年12月現在、野村不動産のようにメタバース内にサロンを設置しスタッフと住まいの相談などができるコミュニケーションがメインのものと、大和ハウスのようにバーチャル住宅展示場の中でスタッフとも会話できる併用タイプがあります。
JIBUN HAUS.株式会社とスパイラルセンス株式会社のように、メタバース上の不動産取引に意欲を見せる企業もあります。
今後も進化するメタバース×不動産に注目していきましょう。
執筆者/田中あさみ FPライター。大学在学中に2級FP資格を取得、医療系の仕事に携わった後ライターに。
金融・フィンテック・不動産・相続などの記事を多数執筆。
ブログ:https://asa123001.hatenablog.com/
Twitter:https://twitter.com/writertanaka19