【不動産業界基礎用語】AIによる不動産査定サービス

- AI不動産査定サービスで資金調達のニュース
- 自分の物件を手軽に査定できるAI不動産査定サービス
- 中古物件の流通の活性化につながると見られている
AI不動産査定サービス「HowMa」が資金調達
2021年8月17日、不動産のAI査定サービス「HowMa」を運営するコラビットが、ジャフコ グループより資金調達を実施しました。その背景には日本が抱える「空き家問題」があり、プロダクトの強化等により中古不動産の流通活性化をさらに推進すると発表しました。
「HowMa」についてはSUMAVEでも「空き家問題」の解決策になるか? 政府も支援する“空き家テック”の需要でご紹介しています。
このサービスは所有している不動産の情報を登録すると、AIがその不動産の価格を査定するというもの。マンションに加え、一戸建ての価格も算出できます。
ユーザーは不動産情報などを登録しておけば、定期的に更新される査定価格の通知が受け取れます。
不動産会社の「営業」がない査定サービス
「HowMa」は匿名入力も可能な自動査定サービス。そのため営業電話などは一切かかってきません。これまで所有不動産の相場や査定価格を知りたいときに、不動産会社の営業マンに問い合わせたり、Webサービスの一括査定を利用した際の追客の営業電話にネックを感じているような人たちにとって利用しやすい仕組みといえます。
このAIによる不動産査定は、類似物件の公示情報や過去の取引事例などさまざまなデータをもとに当該不動産の査定価格を導き出します。従来からあるオンライン不動産査定サービスなども、同じような手法で算出していましたが、対応していたのはAIではなく人でした。そのため、時間がかかることもあったのです。AI不動産査定は、これをAIで自動化し、情報を瞬時に取得できるようにしたサービスです。
【出典】HowMa【URL】https://www.how-ma.com
HowMaのようなAIを活用した不動産査定サービスはまだまだあります。例えば、SRE不動産はソニーグループのディープラーニング技術を核に不動産査定のノウハウや不動産取引のナレッジを組み込んだ機械学習ソリューションをベースにサービスを展開しています。
【出典】SRE不動産【URL】https://sre-realestate.com
またマンションに特化した形で、AIによる不動産査定を行っているのがIESHILです。約9000万件の賃貸情報、売買履歴などのビッグデータをもとに現在の価値査定を行っています。
【出典】IESHIL【URL】https://www.ieshil.com
海外でも注目を集めるAIによる不動産査定サービス
AIを活用した不動産査定、不動産ビッグデータの分析・視覚化サービスを提供するスイスの不動産テック企業PriceHubble(プライスハブル)は、革新的なFinTech(フィンテック)企業を表彰する「Swiss Fintech Awards 2021」のファイナリストにもなりました。同社では、Webで査定ができるほか、APIを用いて社内システムなどでも利用が可能。このように、日本だけでなく、海外でもAIを活用した不動産査定サービスは注目を集めています。
【出典】PriceHubble【URL】https://www.pricehubble.com/jp/
もちろん、AIによる不動産査定サービスの精度についてはまだまだ足りないところもあります。例えば、細かな周辺環境や建物の情報などは、まだ人が見なくてはわからないことも。そのためまだ当分は、人とAIのハイブリッドなサービス展開が進行していく可能性が高いでしょう。
ただ、AIによる不動産査定サービスによって、単純な情報収集や比較分析が自動化されることによるメリットはたくさんあります。例えば不動産業の事業者側にとっては、都度、査定のための調査などの手間を削減でき、結果として生産性向上が期待できます。またユーザー側にとっては、人を介さず、所有不動産の価値を迅速に調べることができ、売却などの判断材料を入手しやすくなります。
売却は面倒と二の足を踏んでいたユーザーが利用するのではという期待も持たれており、その結果、日本の不動産の中古市場が活性化する可能性もあります。注目のジャンルといえるでしょう。