不動産テック関連の上場企業13社の取り組みとは?

- テクノロジーの力で不動産業務を改革/改善する不動産テック。
- 不動産テックを取り扱い上場を果たした企業が生まれていることや、上場企業の新事業としても不動産テックは注目されている。
- 注目を集めている代表的な事例を紹介する。
不動産テックの上場企業・銘柄13社をカテゴリーごとに解説
不動産テックのサービス内容は多岐にわたっていますが、代表的な企業を見ていくことで、トレンドや不動産業界の課題を発見することができます。カテゴリーごとに見ていきましょう。
不動産管理業務
事例1
ハウスドゥ
株式会社ハウスドゥ:https://www.housedo.co.jp/
2015年3月、東証マザーズに上場(現在は東証一部)。フランチャイズ加盟店向けに、実務ノウハウを基に開発した営業支援システムを提供しています。物件、顧客の管理から独自のチラシ作成、契約・売上までを一括管理し、日常業務の軽減を可能にするWebシステムや、営業スキル強化や業務効率化のためのライフプラン診断やリフォーム提案などのツールを提供し、仲介業者の営業を支援しています。
事例2
AMBITION
株式会社AMBITION:https://www.am-bition.jp/
2014年9月、東証マザーズに上場。不動産ビジネスにおける入力作業などのルーティン作業をRPAで効率化する「Re-Tech RaaS(リテックラース)」を提供しています。RPAは多くの企業などで活用されていますが、不動産に特化しコンサルティングも含めた展開をすることで差別化を図っています。仲介における物件のデータ入力作業などは、まさにRPAの得意分野でしょう。
事例3
SREホールディングス
SREホールディングス株式会社:https://sre-group.co.jp/
2019年12月、東証一部に上場。不動産事業、AIクラウド&コンサルティング事業を運営するソニー株式会社のグループ会社。ソニーが蓄積してきた情報技術、ソフトウェア技術を核にSRE AI Partnersを展開しています。AIが瞬時に高精度の不動産査定価格を提示する不動産価格推定エンジンや類似物件検索エンジン、物件マップ、賃料推定エンジンなどを提供。2021年2月より、AI査定価格を見られるサイトへ誘導することで見込み顧客の獲得をめざす販促DMを制作、送付するサービス「AIダイレクトメール」と、不動産価格推定APIの提供を開始し、AIを利活用した集客および不動産管理業務の効率を推進しています。
事例4
いい生活
株式会社いい生活:https://www.e-seikatsu.info/
2006年2月、東証二部に上場。物件および取引データを一元管理する不動産クラウド「ESいい物件One」を運用。電話やFAX、郵便を使用した不動産業務をデジタル化し、生産性向上、業務の効率化を図っています。
また賃貸管理会社向けに、「pocketpost」というコミュニケーションアプリを提供しています。入居者との電話対応にかかる“なかなか電話がつながらない”などの業務コストを減らすためのサービスや、オーナーとの郵送での書類のやりとりをアプリ上で代替できるようにしたサービスなどがあります。
事例5
プロパティデータバンク
プロパティデータバンク株式会社:http://www.propertydbk.com/
2018年6月、東証マザーズに上場。施設や不動産に関する業務をクラウドで管理する「@プロパティ」シリーズを展開。「不動産管理クラウド」「動不動産管理クラウド」「BCPクラウド(事業継続支援)」の3つのサービスラインナップで、資産管理をサポート。サービスの中にはパッケージが複数あり、例えば「不動産管理クラウド」の中には、AM(アセットマネジメント)エディションやFM(ファシリティマネジメント)エディションなどがあります。
事例6
タスキ
株式会社タスキ:https://tasukicorp.co.jp/
2020年10月、東証マザーズに上場。物件の内覧をオンラインで行うためのVR作成や、建築計画地に関する用途地域や建ぺい率などの土地情報の自動収集を行いAIが建築プランを自動作成したり、そこから事業収支をシミュレーションし提示するツールなどを提供しています。
事例7
GA technologies
株式会社GA technologies:https://www.ga-tech.co.jp/
2018年7月、東証マザーズに上場。不動産総合プラットフォーム「RENOSY(リノシー)」を運営しています。賃貸・購入のポータルサイトや、売却査定、賃貸管理、投資といった不動産に関する多くのサービスを展開しています。
賃貸に関するサービスのひとつに、セルフ内見型の賃貸サイト「OHEYAGO(オヘヤゴー)」があります。これは不動産会社へ来店することなく、オンラインで内見予約をし、当日はスマートフォン内のスマートキーを利用し物件の施錠が可能なため、一人で内見を行うことができるというサービス。不動産会社向けにスマートキー10万個を無料配布するなどし、システムの拡大に力を入れています。
電子入居サービス
事例8
日本情報クリエイト
日本情報クリエイト株式会社:https://www.n-create.co.jp/
2020年7月、東証マザーズに上場。仲介業者、管理事業者向けにITソリューションを開発・提供しています。2021年2月には日本賃貸住宅保証機構株式会社とともに、入居申込をオンラインで完結する「電子入居申込サービス」のデータを活用した、家賃保証サービス申込に関する提携を発表しました。これにより手書きでの保証申込書作成の手間や記載漏れの確認などが不要な、スムーズな保証審査が可能となります。
ローン・保証
事例9
アルヒ
アルヒ株式会社:https://www.aruhi-corp.co.jp/
2017年12月、東証一部に上場。住宅ローン専門金融機関。自宅にいながら住宅ローン審査を行うことができます。「家探し前クイック事前審査」では運転免許証をスマートフォンからアップロードするだけで、借り入れできる金額がわかります。この時間が最短1分ということもあり、不動産会社の店頭で接客ツールとしても使用されています。また住宅ローンの不正利用関知システム「ARUHIホークアイ」をHEROZ株式会社と共同開発も行い運用しています。
オンライン販売・仲介業務
事例10
ツクルバ
株式会社ツクルバ:https://tsukuruba.com/
2019年7月、東証マザーズに上場。リノベーション住宅仲介サイト「カウカモ」を運営。不動産ベンチャーとして上場しており、リノベーション済みの中古物件を売買できるプラットフォームサービスを展開しています。
事例11
ランディックス
株式会社ランディックス:https://landix.jp/
2019年12月、東証マザーズに上場。港区、渋谷など東京・城南6区を地盤に、富裕層に特化した住宅用不動産の販売を行っている不動産売買・仲介業者。自社サイト「SUMUZU」は、顧客が自分好みのデザイナーやハウスメーカー、建築施工業者を選択(マッチング)できるプラットフォームにもなっています。また、サービスのひとつである「SUMUZU相場ウォッチャー」は、販売中の土地や過去に販売された土地のデータを分析し、過去の坪単価の変化推移をグラフで可視化するなど、土地探しに必要な相場感を知ることができるよう“見える化したデータ”として提供しています。
投資・クラウドファンディング
事例12
アジアゲートホールディングス
株式会社アジアゲートホールディングス:https://asiagateholdings.jp/
1995年6月、JASDAQ(ジャスダック)に上場。展開している事業のひとつに、全国の空き家を対象に投資家とのマッチングを行うコンサルティング事業があります。
また、1万名以上の不動産投資家の顧客データベースを基に開発された「Re:Camp Gate」は、不動産の購入・運営・売却の際に必要となる数値を算出し、物件の空室リスクや賃料変動を分析したり将来の収益性の予測ができるシミュレーションツール。登録すれば無料で利用できるクラウド型アプリケーションで、PC、スマホ、タブレット、どの端末でも利 用が可能です。
事例13
ロードスターキャピタル
ロードスターキャピタル株式会社:https://loadstarcapital.com/ja/index.html
2017年9月、東証マザーズに上場。中規模ビルを中心に不動産投資(コーポレートファンディング、仲介・コンサルティング、アセットマネジメント)とフィンテック(クラウドファンディング)の2つ事業を展開しています。注目は「OwnersBook」という不動産投資クラウドファンディングサービス。2014年に国内で初めて不動産投資に特化したクラウドファンディングとしてリリースされ、2020年12月に累計投資額が200億円を突破しています。
不動産業界における不動産テックは急速に導入が進んでいる
ここまで紹介してきた上場企業の事例を見ると、これまで可視化されにくかったものを可視化するサービス、また日常業務を一元化し簡便にしていくサービス、非対面での営業や接客を可能とする動きが目立ちます。今回ご紹介した上場企業以外でも、不動産テックの導入は進んでいます。SUMAVEでは今後もこうした企業の紹介をしていきます。