withコロナの住まい選び 日本・アメリカのデータをまとめて分析!

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withコロナの住まい選び 日本・アメリカのデータをまとめて分析!

コロナ禍で「郊外志向」が目立つアメリカ。対する日本は?

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大を受けて、アメリカではミレニアル世代を中心に郊外志向が高まっています。アメリカの調査会社The Harris Pollが2020年4月25日から27日にかけて実施したアンケート調査(※1)を見ると、都市部に住む米国成人の40%近くが人口密集地域を離れ、農村部へ移ることを検討していると回答しています(都市部以外の住民を含む回答者全体では29%)。さらに、2020年5月には郊外の郵便番号が割り当てられている不動産を検索する人が急増(13%増)したというデータ(※2)もあり、感染リスクの高い都心部から離れ、郊外の住まいを探す人々が増加していることを裏付けています。

日本でも、リモートワーク(テレワーク)の普及や、緊急事態宣言を受けての外出自粛要請などの影響により、住まいの在り方が変化しつつあります。しかし、アメリカのように分かりやすく都心部から人が離れ、郊外や地方への移住ニーズばかりが急増しているかというと、そう単純な話ではないようです。

はじめに、総務省統計局が発表している東京都の転入・転出の状況を見てみましょう。2020年5月、同省が外国人を含む移動者数の集計を開始した2013年7月以降初めての転出超過となりました。6月はまた転入超過に戻りましたが、緊急事態宣言解除後、東京都を中心に再び新規陽性者数が増加した7月は再び転出超過となっています。

東京都の転入超過数の推移(2013年7月~2020年7月)東京都の転入超過数の推移(2013年7月~2020年7月)【出典】総務省統計局ホームページより【URL】https://www.stat.go.jp/info/today/161.html

これを見ると、少なくともコロナによって人々の「都心志向」にブレーキがかかっていることが分かります。

また内閣府が発表した「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」(※3)によると、特に東京都23区在住の20歳代の若者の間で地方移住への関心が高まっているようです。彼らのうち35.4%が感染症の影響下において、地方移住への関心が高まった、と回答しており、全世代での関心度となる15%と比べ、倍以上の差があることが分かります。

では、やはり日本でも今後さらに東京都心から人が流れていき、郊外・地方への移住が進む、と言い切って良いのでしょうか?

※1 出典:The Harris Poll「Survey: Amid the COVID-19 Pandemic, Urbanites Are Eyeing the Suburbs」(2020年5月6日公開)
※2 参考:CNBC「Real estate CEO expects ‘exodus’ of central business districts to last the next two years」(2020年7月7日公開)
※3 内閣府「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」(2020年6月21日公開)

まだまだ根強い都心志向。リモートワーク普及で高まる「書斎」ニーズ

新型コロナウイルスが日本の住まい選びにもたらした変化は、単純な「郊外派」の増加に留まりません。

確かに、LIFULLが2020年9月18日に発表した「LIFULL HOME'S コロナ禍での借りて住みたい街ランキング」(※1)を見てみると、2月に公開された同ランキングに比べると、都心・近郊エリアが軒並み順位を下げており、コロナ禍前よりも準近郊・郊外エリアに注目が集まっていることは事実です。

「LIFULL HOME'S コロナ禍での借りて住みたい街(駅)ランキング」首都圏版「LIFULL HOME'S コロナ禍での借りて住みたい街(駅)ランキング」首都圏版【出典】株式会社LIFULLのプレスリリースより【URL】https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000156.000033058.html

しかし一方で、大東建託が実施した調査(※2)では、半数近く(49.8%)がコロナ禍をきっかけに「郊外の人気が上がると思う」と考えている一方で、実際に「コロナをきっかけに郊外へ引越しを考えている」人と「コロナをきっかけに都心への引越しを考えている」人の割合は共に5.3%と拮抗する結果に。同社は都心への引っ越し意向について、「テレワークできても通勤を不安に思っている」ことが要因の可能性がある、と分析しています。

さらに転職サイトを運営する学情の調査(※3)を見ると、20代のテレワーク経験者は、住みたい環境についての設問で約6割以上が「都心」と回答しており、「郊外」と回答した24.9%を35.3ポイントも上回っています。テレワーク経験のある20代は、家の快適さよりも、都心へのアクセスの良さを重視していることが分かります。

20代の仕事観・転職意識に関するアンケート調査、住みたい環境についてテレワーク経験者の6割以上が「都心」に住みたいと回答【出典】株式会社学情「20代の仕事観・転職意識に関するアンケート調査(住宅・働く環境について) 2020年7月版」より【URL】https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000543.000013485.html

こうした調査を鑑みると、現状日本ではコロナ禍により郊外志向「だけ」が急速に高まったというよりは、コロナ禍を受けて働き方・住まい方の選択肢が広がったことで、公私共に充実した生活を送るための「選択肢の一つとして」郊外暮らしを視野に入れる人が増えてきた、ということだと考えられるのではないでしょうか。

先に触れた通り、コロナ禍によるライフスタイルの変化は、人々の住まいに関する考え方そのものを変える契機となりました。すむたすが実施した意識調査(※4)でも、新型コロナウイルス感染拡大を契機に「住まい」への考え方に変化があった人は約3割で、テレワーク経験者に至っては約5割と、より顕著な結果が明らかになっています。

新型コロナの影響による住まいへの考え方調査結果新型コロナの影響による「住まい」への考え方の変化(n=516)【出典】株式会社すむたすのプレスリリースより【URL】https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000014.000038198.html

加えて、テレワーク前提で物件を選ぶようになった人は1割弱、そのうち約7割が「都市部から郊外に引っ越しても良い」と答えています。とはいえ、コロナの影響を受けて既に引っ越し済み、もしくは引っ越しを予定・検討している人は全体の約2割(16.9%)と、実際に行動している人はそう多くありません。リフォームやリノベーションを計画している人が6.8%存在することも併せて考えると、やはり選択肢の一つとして、「郊外」が目に入るようになってきた、と考えた方が良さそうです。

新型コロナの影響を受けて引越しする予定についてのアンケート結果新型コロナの影響を受けて引越しする予定はありますか?(n=516)【出典】株式会社すむたすのプレスリリースより【URL】https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000014.000038198.html

また、具体的な意識変化に関する設問では「家の中で過ごす時間が増え、快適な住環境づくりをした」、「テレワーク対応のために家にワークスペースや書斎を作った」等といった声が挙がっていることからも、職住一体の暮らしをベースとした環境づくりに関心が高まっていることが分かります。

和田興産が実施した「コロナ禍を経たマンション事情に関する調査」(※5)によると、新型コロナウイルス感染拡大を踏まえ、自宅で模様替えまたはリフォームしたい場所について最も回答数を集めたのは「リビング(34.2%)」。2位の「個人の部屋(13.8%)」と「キッチン(13.8%)」の倍以上の差をつけており、理由には「リビングで仕事をしているので過ごしやすくしたい」等の声が挙がっています。

模様替えまたはリフォームしたい場所ランキングアンケート結果模様替えまたはリフォームしたい場所ランキング/マンションの間取り・住戸内で欲しいものをお答えください(複数回答)【出典】和田興産株式会社のプレスリリースより【URL】https://www.value-press.com/pressrelease/247984

リモート会議をする場所についての設問では6割以上が、同居家族がいる人にとってはやや仕事の場所としては不適な「リビング(64.0%)」と回答していたり、コロナ禍前と比べマンションの間取り・住戸内で欲しくなったものについての設問では「遮音性に優れた部屋が欲しくなった(23.6%)」が上位に入っていたりすることからも、住まいを「職住一体」型の暮らしに適応させたいというニーズがあることがうかがえます。

リモート会議をする場所アンケート結果リモート会議をする場所をすべてお答えください(複数回答)【出典】和田興産株式会社のプレスリリースより【URL】https://www.value-press.com/pressrelease/247984

学情の調査(※3)を見ても、約半数がテレワークをしてみて「デスクを置くなど仕事をする環境を整えようと思った」と回答。23.3%が「自宅以外のシェアオフィスなどで仕事をしたいと思うようになった」と答えている、つまり「現状の住まいでは今後の働き方に不適」と考えている(考えていた)人が一定数いるということになります。

テレワークをしてみて「自宅」に関して感じた変化のアンケート結果テレワークをしてみて「自宅」に関して感じた変化【出典】株式会社学情「20代の仕事観・転職意識に関するアンケート調査(住宅・働く環境について) 2020年7月版」より【URL】https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000543.000013485.html

最近では自宅のテーブル等に立てて使用する卓上型のパーテーションや、リビングに半個室空間を作れる組み立てデスク等も販売されています。しかし今後は、住まい選びの時点で「書斎」として使える部屋の有無等、公私を切り分けられる間取りか否かが重視されるようになってくるのは必至です。

パナソニックのプレスリリースより「KOMORU(コモル)」簡単に約1平米の半個室空間を作れる「KOMORU(コモル)」【出典】パナソニックのプレスリリースより【URL】https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000003895.000003442.html

※1 株式会社LIFULL「LIFULL HOME'S コロナ禍での借りて住みたい街ランキング(2020年9月8日発表)
※2 大東建託株式会社「新型コロナウイルスによる住まいの意識変化やテレワーク実施状況」(2020年7月9日発表)
※3 株式会社学情「20代の仕事観・転職意識に関するアンケート調査(住宅・働く環境について) 2020年7月版」(2020年7月22日発表)
※4 株式会社すむたす「コロナ禍における『住まい選び』に関する意識調査」(2020年6月25日発表)
※5 和田興産株式会社「コロナ禍を経たマンション事情に関する調査」(2020年7月9日発表)

「持ち家派」VS「賃貸派」にも新展開?選択肢の増加で複雑化する日本の住まい選び

さて、住まい選びといえばそもそも日本では「持ち家派か賃貸派か」という根強い議論が存在しますが、こちらもコロナ禍による変化が起きているようです。

読売広告社の調査(※)によると、コロナ前後の住まいの考え方についての変化では「戸建て」「子育て」への意識が上昇。エリア・立地の考え方についても変化が見られます。また、住宅購入意欲についても上昇度は約3割、減退度は1割半ばと、コロナ禍の中でも意欲が高まっていることが分かります。

住まいのエリア・立地の考え方アンケート結果エリア・立地では「買い物」「医療」がTOP3入り、「住民サービス」「自然の豊かさ」が3つ以上順位を上げている【出典】株式会社読売広告社のプレスリリースより【URL】https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000043.000006104.html

購入意欲の上昇理由には「コロナ流行に伴う変化で、現住居の不満が顕在化した」等の回答も一定量見られたとのことで、ライフスタイルの変化によって住み替えを検討する人が増えてきたことを示しています。上図の通り、「インターネット環境の良い家に住みたい」というニーズが高まっていることからも、在宅時間が増えたことによって住まいに求める役割に変化が出てきたことがうかがえます。

また、変化したライフスタイルに合った住まいという点で言えば、コリビングやワーケーションも選択肢に入ってきます。先にも引用した学情の調査によると、20代のテレワーク経験者の半数近くが、旅行をしながら旅先で仕事をするワーケーションに興味があると回答しています。若者を中心に、より柔軟な働き方が広がっていく可能性が感じられますね。

20代の仕事観・転職意識に関するアンケート調査、ワーケーションについて約半数がワーケーションに「興味がある」と回答【出典】株式会社学情「20代の仕事観・転職意識に関するアンケート調査(住宅・働く環境について) 2020年7月版」より【URL】https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000543.000013485.html

加えて最近では、賃貸住宅として一定期間家賃を払い続けると持ち家にできる譲渡型賃貸住宅「家賃が実る家」のような斬新なサービスも登場し、住まいに関する選択肢はますます増えてきています。

株式会社Minoru「家賃が実る家」サービスサイト家賃が実る家。運営のMinoruは内閣府地方創生推進室主催の「地方創生SDGs官民連携プラットフォーム」にも参加している【出典】株式会社Minoru「家賃が実る家」サービスサイトより【URL】https://minoru-ie.jp/

人々のライフスタイルが大きく変化したことで、住まいに求められる役割も変化しています。何か一つのタイプに人気が集中するというよりも、既存・新規問わず多様な選択肢の存在に目が向けられるようになったことで、住まい方はよりいっそう細分化していくように思えてなりません。

※株式会社読売広告社「『首都圏住宅購入意向者』への緊急調査」(2020年8月27日発表)

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