【レポート】Airbnb Day「はじまりを、ありがとう」

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【レポート】Airbnb Day「はじまりを、ありがとう」

「不動産テック×シェアリングビジネス」のキーワードを追跡取材してきたシリーズの第4弾。今回は、Airbnbが主催したイベントを取り上げます。

お届けするのは、「airbnb day」という完全招待制のイベントです。2018年6月14日に開催されました。宅宿泊事業法(民泊新法)の施行日、前日です。

イベントの内容は大きくわけると、2つありました。

  • プレゼンテーション
  • スペシャルディスカッション

オープニングプレゼンテーションには、Nathan Blecharczyk(ネイサン・ブレチャージク)氏が登場。Blecharczyk氏は、Airbnbの共同創業者兼CSOであり、Airbnb China会長を務める人物です(画像下)。スピーチは英語でしたが、会場入口で配られた同時通訳レーバーによって、日本語訳を聞くことができました。

スピーチの内容は、Airbnb10年のあゆみについてです。スピーチが終わると、Airbnb Japan株式会社で代表取締役を務める、田邉泰之氏が迎えられました。

田邉氏は、Blecharczyk氏からプレゼンテーターのバトンを引き継ぐと、Airbnb Parters(エアービーアンドビーパートナーズ)という新戦略の概要を語りました。

Airbnb Partersとは、平たくいうと、パートナーシップ制度です。今後の、「ホームシェア」「体験型の旅」の可能性を最大限に広げるための、アライアンス組織であるという説明がありました。

新戦略の概要が述べられたあとは、休憩をはさみ、スペシャルディスカッションです。第1部には、以下のようなAirbnb Parters企業が登壇しました。モデレーターは、Airbnbの田邉氏でした。

上の写真の人物を左から順に紹介します。※敬称省略

  • 山田大介(株式会社みずほ銀行/専務執行役員)
  • 澤田貴司(株式会社ファミリーマート/代表取締役社長)
  • 桑田憲吾(損害保険ジャパン日本興亜株式会社/専務執行役員)
  • 志岐隆史(全日本空輸株式会社/代表取締役副社長、執行役員)

第2部に登壇したのは、以下のAirbnb Parters企業です。

上の写真の人物を左から順に紹介します。※敬称省略

  • 齋藤精一(株式会社ライゾマティクス/代表取締役社長)
  • 井上慎一(Peach Aviation株式会社/代表取締役CEO)
  • 谷川じゅんじ(CCCクリエイティブ株式会社/代表取締役会長兼CEO)
  • 軽部政治(株式会社オレンジ・アンド・パートナーズ/代表取締役副社長)
  • 鎌田和彦(株式会社オープンハウス/取締役副社長)

第2部のモデレーターは、Airbnb Japan株式会社で執行役員を務める、長田英知氏(画像下)でした。

この記事では、スペシャルディスカッションのなかから、鎌田和彦氏のコメントに焦点を当てています。鎌田氏のコメントでは、会場から拍手が起こる場面がありました。もっとも会場が沸いたディスカッションです。

ディスカッションのテーマは、「ホームシェアリングが広がることによる、ホスト、地元コミュニティに与える影響と、それを実現するための自治体・地元企業の取り組みについて」です。テーマにそったコメントを登壇者が一人ずつ求められるなか、鎌田氏に順番が回ってきた部分を一挙にご紹介します。※以下、敬称省略。

オープンハウス鎌田和彦が「もてなし力」を語る!

鎌田:「(隣りに座る)軽部さんの話を聞いていて、思い出したことがあります。それは、「ここで話したいな」と事前に私が考えていたこととは、違う内容なんですが、思い出したことから話していいでしょうか。「もてなし力」についてです。私は、「近頃の日本のもてなしって本当に水準が高いんだろうか」そんな風に感じています。

私たちオープンハウスは、アメリカでの事業にも力を入れています。定期的にアメリカへ行くわけなんですが、向うでのパートナー企業から、高い「もてなし力」を感じるわけです。そして、こうも感じます」

鎌田:「日本に来るアメリカ人へのもてなし」よりも、「アメリカに来る日本人へのもてなし」のほうが、もてなしの水準が高いのではないか。

それをここのところ、すごく感じます。私が30年以上前に、初めてアメリカへ渡った当時。日本の「もてなし力」は、めちゃくちゃ高かったです。でも、最近の日本の「もてなし力」は、ハッキリいって以前よりも高くないですよね。いろいろな産業を比べても、アメリカのレベルのほうが高くないですか? と思ってしまいます」

「体験の交換」がシェアリングの本質

鎌田:「軽部さんの話のポイントは、シェアリングの本質を「経済的対価の交換」として理解してはいけない、ということだと思いました。本質は、「体験の交換」や「共有」であって、たぶん、シェアリングの前提にあるのは、「ゲストをもてなそう」というホスト側の気持ちなんでしょうね」

鎌田:「ついつい、経済的対価の交換的に物事を考えてしまいがちですが、「新しい対価を得られる手段としてシェアリングをやります」という姿勢で取り組むと、ホームシェアリングの文化は日本に広がらないように感じました。つまり、このままでは、ホームシェアリングという文化が国内に根付かないのではと」

鎌田:「私が非常に危機感を覚えているのは、4,000万人の訪日外国人観光客を受け入れようって話になったとき、日本はその準備が本当にできるのか? と感じる現状です。本当に、もてなそうってことになっているのかっていうと、全然、もてなそうってことになっていないように感じるわけです」

鎌田:「Airbnbさんがやろうとしているホームシェアリングを広げていくうえでは、体験を共有するという本質的な部分の理解がすごく重要なんじゃないでしょうか。少し偉そうなことをいいましたが、軽部さんの話を聞いてあらためて、そう感じました」

コミュニティが侵される? ホームシェアリングを阻むもの

鎌田:「ひるがえって、ここで話そうと思っていたこと、私たちがいわなきゃいけないことを話させてもらいます。

「ホストの充実が重要」「4,000万人以上の観光客を迎えたい」といっているにもかかわらず、「重要なホストの充実」がまったく追い付いていないのが、現状です。

この状況は、規制によって生み出されています。規制をどう克服するのかということをやってかないと、全然ダメなんじゃないかなって思うわけです。最大の問題点は、日本の政府自身が、4,000万人の訪日外国人を迎えたいと宣言するわりに、ホームシェアリングの事柄1つを規制でがんじがらめにしている点ではないでしょうか」

鎌田:「私たちオープンハウスは本社を東京に構えています。「東京に、家を持とう。‎」ということでやらせていただいている会社です。外国のかたをお迎えするにあたっても、「東京だと、どこにお迎えするのがいいかな」と考えます。安直かもしれませんが、最初に思い浮かぶのは「谷根千」みたいなエリアです。

谷根千エリアなら、「文京区、台東区」がいいかなと思っても、規制のために土日しかダメなんですよ。ありえないことだと私は思います――」

(※ここで、一部の聴衆から拍手が送られる)

鎌田:「(拍手への相づちとして)ですよね! 地域住民のお一人おひとりは、日本を選んで来てくれている外国のかたがたを「もてなしたい」と、思っているわけですよ。心あるかたがたは。でも、現状は、「訪日外国人をもてなそう」という機運に対して、まったく逆の法規制を加えています。

さらに、マンションでホームシェアリングということになると、そのほとんどは嫌われています。誰もやりたがらないですし、マンション管理組合もみんな反対するような状況です。「積極的にやろう」という、伝統的な資本系の企業もありません。なぜかというと、「コミュニティが侵される」と思っちゃうわけですよ」

鎌田:「シェアリングが、価値観の共有であり、体験の共有だということは先ほど申し上げました。一緒になって所有するということなのに、「あちらのコミュニティ」「こちらのコミュニティ」というような感じになってしまうわけですよね。このあたりが、私は最大の問題だと思います。

問題を乗り越えるために、Airbnbさんには本当に頑張ってもらいたいです。そのためには、「合弁したほうがいい」というのが私のアイデアで笑。ぜひ、オープンハウスと合弁でAirbnb日本をやろうよ、と――。なんで俺は、ここでこんなことをいってるんだ笑。すいません、話が飛躍して」

鎌田:「いずれにしても、ホームシェアリングを前提にした住宅をオレンジ・アンド・パートナーズさんやAirbnbさんと一緒に開発させていただきたいですね。ぜひ、本来の「高い水準にある日本のおもてなし」ができるような、物理的なプラットフォームをAirbnbさんには作っていただけたらなと思っておる次第です」

Airbnbの日本のホストは、非常にクオリティが高い

長田:「1つお話をしておくと、Airbnbの日本のホストさんは、非常に、世界的にもクオリティが高いです。スーパーホストと呼ばれる、非常に優秀なホストさんの数も多い。Airbnbにおいて、アジア地域のなかでは、日本がゲストにもっとも選ばれています。

私たちは、日本のホストさんの高いクオリティに、どれだけ助けられてきたことか。ここまで市場を広げてきた大きな要因なのではと考えています」

長田:「明日、6月15日は、住宅宿事業法が施行される日です。新しい法律ができて、進んでいけるというところは、Airbnbも歓迎していますし、喜ばしいことだと思っています。

ただし、喜んでばかりもいられません。いま、多くのホストさんが、届け出のところで大変な思いをされている現状も理解しています。私たちAirbnbが、できる限りのサポートをすることで、そうした事柄を乗り越えていきたいです」

長田:「伝統的だったり革新的だったりする文化を体験できて、かつ、安心安全な体験をご提供できる土壌が日本に根付くよう、Airbnbは取り組みます。目指しているのは、たくさんの訪日外国人の皆さんが、ホームシェアリングを体験できる社会です」

まとめ

スーパーホストとは、Airbnbが優良ホストに与えている称号です。スーパーホストの認定基準が書かれたサイトによると、以下のような基準があります。

  • 総合評価4.8以上(※5段階評価)
  • 返答率90%
  • 宿泊実績10件以上
  • キャンセル0

上記のAirbnb基準をクリアした優良ホストが日本に多い、というが長田氏の解説です。Airbnbの日本ホストは、高い「おもてなし力」を備えている証である、という補足なのだと感じました。

鎌田氏が言及したのは、「総合的な、日本とアメリカのもてなし力の差」でした。自身の体験と、「訪日外国人旅行者を受け入れよう」と宣言しながら、規制によって矛盾を作り出しているような国内の現状から、ホームシェアリングの未来を気にかけていました。

このイベントは、完全招待制で、一般に公開されたものではありません。プライベートなコミュニティでの発言を公のコメントとして取り上げることには、違和感を覚えます。何がいいたいかというと、この日の鎌田氏のコメントだけで、鎌田氏やオープンハウスという企業を判断するのは違う、ということです。

当日は、ディスカッションのあとにコンタクトをとれなかったので、鎌田氏本人に、発言の意図を確かめることもかないませんでした。

今回の記事が、不動産業界にかかわる読者の皆さんにとって、民泊新法を考える機会となることを願っています。同時に、記事で紹介した内容を「物事のとらえかたの1つ」として受け止めていただけると幸いです。

※以下、「不動産×シェアリングビジネス」をキーワードにした追跡取材の一覧です。テキストリンクになっています。

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