Z世代が重視する価値や体験は何か?-新たな価値観との交差点-(前編)|HOUSECOM DX Conference

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Z世代が重視する価値や体験は何か?-新たな価値観との交差点-(前編)|HOUSECOM DX Conference

ハウスコムDXカンファレンスで行われた「Z世代が重視する価値や体験は何か? ―新たな価値観との交差点―」と題して、Z世代、ミレニアル世代の登壇者と共に世代で変容する価値観について語り合う。ファシリテーターはコラムニストのりょかち氏。

◆登壇者

  • 僕と私と株式会社 代表 今瀧健登氏(以下、今瀧氏)
    Z世代に特化した企画マーケティングを行う会社の代表。
    1997年生まれの26歳になるZ世代の当事者のひとり。
  • N.D.Promotion 取締役 道満綾香氏(以下、道満氏)
    「Z総研」という組織でアンケート調査やZ世代のヒアリングを通してZ世代を研究する会社の取締役。
    ご本人はミレニアル世代。

  • ハウスコム株式会社 代表取締役社長執行役員 田村穂氏(以下、田村氏)
    カンファレンスを主催するハウスコム株式会社
    96年生まれの息子と99年生まれの娘を持つ父でもある。
  • ファシリテーター りょかち氏
    ミレニアル世代のコラムニスト。

Z世代とは?

りょかち氏:まずZ世代について皆さん自身との関わり方について教えてもらえますか?

道満氏:私どもではZ世代の中でも中高生と大学生以上、特に中高生のZ世代を研究していることが多いです。

今瀧氏:Z世代という定義だけでいうと、1990年代後半から2010年頃に生まれた世代。今で言うと中高生だったり大学生だったり、僕自身と同じ社会人3、4年目ぐらいとなります。弊社はその中でも僕と同世代の20代半ばの方をターゲットにすることが多いです。

田村氏:弊社は全体の42.3%が20代となっており、Z世代と言われる人たちが多く働いている会社です。

りょかち氏:世代間ギャップで困っているという話を聞くことはありますか。

今瀧氏:僕自身が今25歳でZ世代なのですが、ギャップで困ることはそんなに多くないです。ただ、知らない曲やドラマがあるなど、上の世代の話題についていけないというのはあると思います。

道満氏:私は92年生まれでギリギリZ世代ではないので、Z世代の気持ちもわかるけど、わからないところも出てきたりするというのはあります。日々コミュニケーションを取らないと、歌のトレンドがわからなくなってしまうことも多いかなと思います。

りょかち氏:Z世代のトレンド、とても早いですよね。Tiktokで流行っていたものが、もう流行ってないとか、すぐ流れてしまうイメージがあります。

なぜZ世代を意識する必要があるのか

りょかち氏:これから日本はどんどん人口が減っていきますが、Z世代というのは、マーケティング的にも働くことに関しても重視されている世代だと思います。Z世代を知っておかなければいけない理由は「これだ」というものはありますか。

今瀧氏:まず1つはデジタルネイティブであ ることがあるかなと思います。日本の人口は少なくなってしまっている中で、なぜZ世代をターゲットにするのかと言うと、Z世代がデジタルネイティブだからこそ、Z世代からその上の世代に広がるという拡散力や発信力が強い。Tiktokを見ている世代は結構30代40代もいらっしゃるんですけど、発信している側に焦点を当てると、Z世代であることが多い。Z世代をターゲットにすることで、そこからZ世代以外にも広がるっていうのは、他の世代と違ったメリットだと思いますね。

道満氏:私は特に中高生のZ世帯を研究していますが、お小遣いも少なく中高生はお金がない。その中で何か作ったり考えたりして発信してるって事が多いんですね。それで結構トレンドが出てきやすいというのもあって、移り変わりも早い。中高生のトレンドが1年後に大学生で流行っていたり、更に1年後に社会人で流行っていることが多いので、流行の初めの部分であるZ世代をおさえるというのは大事なんじゃないかなと思っています。

だんだん流行りが広がった具体的な例として、「キュンです」ポーズを挙げ、大人世代がやり出した頃には中高生は「今?」というような温度感があったと道満氏。最近の写真を撮るときのトレンドとしては顔を隠すことだそう。その背景には、Z世代が写真を作品として見てほしいと思っていることがあるといいます。

道満氏:スマホで顔が見えないようにして写真を撮ったりします。ミレニアル世代は、顔を盛るとか、顔を加工するっていうのが結構あったんですけど、今の子たちは顔じゃなくて、画面に映っているすべてが作品として自分のものなので、例えば顔に自信がない子も、SNSに投稿して「いいね」がもらえる、顔だけじゃないところでも創作していたり、アレンジしてるかなと思います。

田村氏:なるほど。それは全体として私を見てくださいということですか?

道満氏:作品として見て欲しいというか。顔に自信がない子でもそうじゃない子でも、いろんな子たちがSNSを楽しんだりできるようになっているのかなと思います。

今瀧氏:数年前に画像加工が一気に加速して、単純に目が大きく見えるとか美肌に見えるだけじゃなくて、例えば頭に耳がつくようなフィルターができたり、加工がどんどん主流になりました。それが行き過ぎて、逆に加工しすぎじゃないかという意見が出るようになったというのも背景にあると思います。一気に広がったオープンのSNSがクローズドになって、友人と身内で楽しむものにもなってきたりするので、画像加工じゃなくて等身大で表現するというのも手法としてあるんじゃないかなと思いますね。

田村氏:世代で見せ方とか伝え方が変わるということですか。

今瀧氏:世代によってやっていること自体は大きく差はないと思うんですよ。例えば釣りや料理という趣味自体は世代によって変わらなくて、それを縦型動画で撮るのか、YouTubeに公開するのかといった発信方法は変わるけれども、やっていること自体は変わらない。加えて、それを受け止める側の考え方も変わっているなと思っていて。推し活とかがその例ですよね。昔からアイドルは一定数いて、一定数そのアイドルが好きな人がいる。僕らと上の世代で違うのは、それが例えば「痛い」と思われる発言があるか、「その人はその人でいいんじゃない」っていう受け止め方をするかだと思っています。僕らの周りで「痛バッグ」って言われるような、バッヂやキーホルダーを大量に付けた人を見ても、僕は個性としか思わないですが、多分数年前は若干それが(公の場では)持ちづらいというところはあったりする。表現の仕方と表現されて受け止める側の姿勢の違いはあると思います。

Z世代の特徴とは?

りょかち氏:Z世代はそういう多様性を許容するイメージがすごくあります。Z世代って世代論で語られがちですけど、割とバラバラだと感じる時もあるんです。ミレニアル世代のときは、「ミレニアル世代ってこういう人」という感じだったんですけど、Z世代はそう捉えてはいけないような気もして、多様すぎてどう考えていいのかなって思っているんですよね。どういう風に考えれば良いでしょうか。

今瀧氏:僕自身のイメージだとZ世代は一言で言うと、括れないデジタルネイティブだと思っています。他の世代と比べて自分らしさとか多様性って話がありましたが、世代という括りで一番括れない世代っていうのが特徴かなと思います。デジタルネイティブだからこそ、例えば普段からスマホを使って消費をするとか、Instagramが日常に当たり前にあることで、会わなくても普段の投稿から(他人がどんな仕事や生活をしているか等の情報を)受信できる状態なので、そこから価値観に変化が生じたりします。括れない部分で言うと、シンプルに教育によるものだと僕は思っています。個性を重んじる、他者理解というものが義務教育の中できちんと備わっていて、それを持った中で、デジタルネイティブだからこそ、さらにもっといろんな人が現れて、その人たちに対して「他は他、自分は自分」じゃなくて、「そういう人もいるし自分はこう」なんだなっていう多様性を受け入れるって言うところはあると思いますね。

りょかち氏:良い意味で、同調圧力みたいなものが無い世代なのかなと感じますね。

今瀧氏:(同調圧力が)無いので、それが世代間ギャップとして大きく生まれているのかなと思っています。30〜40年ほど上の人と考え方が多分大きく違うんですよ。僕らの「人それぞれでいいよね」っていうところと、「大企業に入るのは当たり前」みたいな価値観のギャップの溝が結構大きい。僕らZ世代からZ世代の人を見ても何も思わないんですけど、違う世代の人からZ世代を見るとZ世代は全然違うように感じてしまうっていうのはあると思います。

りょかち氏:人と違っても大丈夫って、勇気ある世代だと思います。

今瀧氏:逆もしかりですね。勇気あるZ世代もいれば、人と違うことがありすぎるがゆえに自分の自己肯定感が低かったりする人も一定数いらっしゃるので、一長一短ですね。

りょかち氏:世代論で語れないのがZ世代なんですね。道満さんは毎月いろいろ調査されていて、Z世代の共通点や傾向はどのように見えていますか。

道満氏:自分の「好き」という気持ちをすごく大事にしているなと思っています。今はSNSとか、いろんな自分の居場所がある。昔だとオフラインで人に会うしかなくて、そこのコミュニティに入れなくなっちゃったら、他でコミュニティを作るのは難しかったりするじゃないですか。彼らはいま、Twitter(X)やInstagramなど、いろんなところにオンラインでコミュニティを持っていて、自分のスキルを発信するところがたくさんあるし、「好き」を大事にしても受け入れてもらえるような場所がいっぱいあるなと思います。もし合わなくても、そこは合わなかったと思って次があるという感じ。そこが「好き」を大事にできる彼らの特徴かなと思います。

りょかち氏:良い世代ですね。だからオタクは最近浸透してきたんですかね。

今瀧氏:SNSがあるから「好き」の共通項を見つけやすいと思っています。自分が好きなものを他の人が好きかどうかは話題に上がらないとわからなかったのが、いまはSNS上で「○○さんがフォローしています」と出るので、DMで連絡することができる。その「好き」の共通項を、SNSによって可視化されるようになったなと思いますね。

田村氏:「好き」っていうものの括りでやっていくんですよね。反対に「嫌い」というのは無視するとか、それともあんまり意識しないとかあるのでしょうか。

今瀧氏:「嫌い」の意識は薄まっている気はしています。なぜかというと、いま単純に情報過多の状態で、良い商品が増えている。わざわざ嫌いな商品に向き合う必要がなくなるぐらい情報が多くなっている。かつ、SNSのアルゴリズムがすごく改善されていて、好きなものを見ていると、基本的にタイムライン上には好きなものとか趣味嗜好にあったものしか流れてこない。嫌いなものに触れ合う時間はすごく減っていると思います。

田村氏:それは視野が狭くなるとは違う?

今瀧氏:視野が狭くなる可能性もあると思います。ただ、SNS自体が色々な人と繋がっているので、他の人はこういうのが好きなんだというのも見ることができます。
しかしコロナ禍で学生のうちに友人関係をしっかり育めずに社会人になった時に、(SNS上で他人を)見る候補がとても狭まる。そうなってくると視野が狭まってくるという可能性は、ここから5年後とかに現れてくると思いますね。

例えば今の大学4年生は、大学に入っていきなりコロナがあって、サークルがなくて授業がオンラインで、飲み会も全然経験してない。そういう方々が社会人になった時に、人との比較もしづらいですし、どうやって働けばいいんだと困るものはあると思います。サークルに入っていないと先輩がいないので、先輩の意見を聞くっていうこともしづらい。やっぱり情報の偏りというのは生じてしまう可能性はあると思いますね。

コロナ禍の影響

りょかち氏:ここ数年で、Z世代において、コロナの影響で既にこんな変化があったということはありますか。

今瀧氏:5年前を思い浮かべていただきたいんですが、台風が来ると、電車が止まるかもしれないから、みんな早めに出社しようって概念だったと思うんですよ。良くも悪くもコロナによって、台風が来るならリモートにするっていう選択肢が生まれたというのが社会的にはあると思っています。それを、Z世代の中でも新社会人の人たちは、入社してすぐにコロナが来て、リモートもオフラインも両方経験しているわけです。僕は2020年入社なので、入社と同時にちょうどコロナが来て、いきなりリモートワークになった。最初の1年はリモートワークの比率の方が高いんですよ。上の世代の方々はオフラインがメインでずっとやってきた。リモートがいい(もしくはそれしか経験がない)人、オフラインに慣れた人が混ざるような社会になってきたわけです。働き方が多様化し、自分にあっているかどうかを重要視する時代になったように思えます。

りょかち氏:確かに、各社リモートにするかどうか迷われていますよね。やっぱりZ世代はリモートの方が嬉しいのでしょうか。

今瀧氏:一概には言えないと思います。オフラインが好きな方は好きで人にもよりますし、職種にもよる。オフラインでブレインストーミングや商品開発をしたり、お客さまの顔を見なければいけない職業もあれば、コンサルティングやSNSのデジタルプロモーションやマーケティングであれば、オンラインでも完結できてしまうところもあります。そのため(就職先は)自分にあったところを探すのが大切なのですが、いまはそれを探すのにも情報が溢れていて(情報を得ることができる)友達関係も片寄ってしまっていると、影響があるんじゃないかなと思います。

Z世代へのアプローチ

りょかち氏:マーケティング観点からすると、これまではF1層というように切って、マスでアプローチすれば良かったものが、Z世代は結構バラバラで、アプローチするのが難しいと思っています。Z世代にはどのようにアプローチすれば良いとアドバイスされていますか。

道満氏:全員にアプローチをするよりも、どういう人にアプローチしたいかターゲットを細かく絞ってアプローチするというのが大事だなと思っています。私たちは中高生にアンケートを取っているんですけど、中高生の中でも韓国アイドルが好きな子がいたり、漫画が好きな子がいたりして、アンケート回答が全然違う。例えば中学3年生で漫画が好きな子、のように小さなコミュニティで熱量が高い子たちにピンポイントで狙っていくことが大事なんじゃないかなと思っています。そのような形でないと、結局買ってくれなかったり、興味を持たなかったりと意味がなくなってくる。

今瀧氏:僕は、Z世代マーケティングを専門でやらせていただいていて、今までのマーケティング理論から見ると、とてもマーケティングしづらい世代だなとは思っています。おっしゃるように、本当にバラバラなんですね。僕は金魚すくいマーケティングと呼んでいるんですけど、今までその魚群があったところに網をパってかけてすくっていたのが、金魚すくいと一緒で一気にすくおうと思うとポイが破れちゃう。一匹一匹を丁寧にすくっていかなければならないアプローチ方法になっていると思います。

一部のインサイトを定量的に取っても良いんですけど、いまは1人の人が特徴を5つ6つ持ってしまっているんです。そこで定量調査しても、この5〜6個中3個当てはまったりとか、人によって当てはまる数もバラバラで、ちゃんとしたデータが取りづらくなったりすると、やっぱり定性で掘り下げていくやり方が重要になってきます。アプローチ方法で言うと、1人の人、あるいは1つのコミュニティといったところに焦点を当てて、掘り下げて、伝えていくというやり方になると思います。

田村氏:いろいろインタビューしていきながら獲得するという感じなんですか。

今瀧氏:アプローチするためのインサイトを探る方法で言うと、インタビューみたいなものになるんですけど、そこからアプローチして広がる方法が、少し他と違っています。今まではテレビを使って、一気に広がっていたものが、テレビもあればYouTubeもあればTiktokもあるというようにバラバラになってしまっていて、媒体が増えると単純にオペレーションコストが増えたり、上の世代では学生時代にTiktokなどなかったことから、SNSが課題になるケースが多い。全部の媒体を利用するのは予算的にも難しいとなった時にどうすればいいかと言うと、1人の人に当てて、その人が何人に広めるかとか、何人にシェアして口コミを生んでくれるかといった形のアプローチ方法になるんです。熱量の高いコミュニティや1人の人にアプローチすることで、その人が5人に広めるといった拡散を起こしていくやり方が、いま重要になってきます。

そこからちゃんと拡散が起きるかという狙いを持たなければいけない。例えば水を売りましょうとなった時に、この人がどう喜んでくれるかだけではなくて、この人がどう喜んで、誰に、何というセリフで伝えているのか。僕はそれを「エモコミュニケーション」と呼んでいるんですけれど、そこのコミュニケーションがどういう風に生まれているのかまで考えないと、買って終わりになってしまう。不動産でいうと、そこの不動産屋良かったっていう口コミをどれだけ生むかとか、良かったから他の人に紹介しようっていうのを強めていかないといけない。どうしてもSNSでお金かけていきましょうと言ってもいくらあっても足りなくなってしまうので、口コミだったりシェアだったりという拡散を起こすための仕掛けというのは必要になってきます。それがデジタル上だとしやすいというお話です。

りょかち氏:「エモ」って、ミレニアル世代にも言われてたりしたんですよ。今瀧さんが考える「エモ」ってどういうことなのでしょうか?

今瀧氏:語源で言うと、「エモーショナル:情緒的な」とか、古語の「えもいわれぬ:何とも言い表せない」。ただ「エモ」って結構ふわっとしていて抽象的じゃないですか。それを分解したときに、僕は「経験×ハッピー×コミュニケーション」という3つが成り立っていると思っています。

分かりやすく言うと、“ハッピーな共感”なんですけど、その人が経験したことがあるかないかによって、そもそも自分ごとにできるかっていうのは変わってくるんですよ。他人は他人でしょってなってしまうと、経験してないとその人の気持ちがわからないので。

りょかち氏:実際に自分が不動産屋さんに行った、みたいなのが大事ってことですか。

今瀧氏:そうです。初めて一人暮らしする時のプロモーションでいうと、部屋を借りるのが面白かったっていうよりは、部屋を初めて借りた時にフォークとかも自分で揃えるのが楽しいみたいな。経験してわかるというところと、その経験の時の感情がハッピーである。これがいい思い出という部分になると思うんです。そのいい思い出が、誰かと誰かの会話などの繋がりというコミュニケーションが生まれることで連鎖が起きる。エモコミュニケーションを思い出させる、思い浮かばせることができれば、その人から他の人に繋がっていくという考え方になります。「エモ」をハッピーな共感、経験×ハッピー×コミュニケーションで定義するのは、今のZ世代マーケティングとかデジタルの時代においては重要になってくると思っています。

りょかち氏:Z世代は小さいクラスターがたくさんいて、そのぶんロットが小さいからシェアされやすいという部分もあると思うんですが、小さいクラスター1個を狙うのか、それとも複数のクラスターを狙うのがいいんでしょうか? 実際のオペレーションはどういう感じで進めていくんでしょうか。ターゲットを狭くしてしまうことに勇気が出ないという方は多いのではと思っていて、どうアドバイスされているのかをお聞かせください。

今瀧氏:僕の場合は、クライアントのほとんどがいわゆる大企業と言われる会社です。そういった会社は、今まで大きなマスを狙っていたので、Z世代自体がニッチで、その中でさらにニッチな市場を責めるのは、だいぶ勇気がいることだと思うんです。

でもひとつだけ考えを改めるとすれば、もう大きくは囲えないという前提を早く理解しなければいけない。ニッチを狙い、それを足し算かけ算していくというような考え方をしなければいけないと思います。もちろん一気に大きく刺すってこともできなくはないです。1つのプロモーションをYouTubeだったりTiktokだったり、デジタルだけじゃなくオフラインも同時多発的に大きくプロモーションを打つことができれば、理論上はできます。ただ莫大なお金がかかる。

今はまだZ世代はニッチですが、30年後には彼らが40代・50代になって、消費の中心になる。そのやり方に慣れておかないと、30年後、50年後を考えると経営のリスクになりうるというのはあります。

りょかち氏:具体的には、細かく絞ったターゲットの中から思い切ってひとつに決めてやっていくという感じですか。

今瀧氏:そうですね。そこを決めてそこからSNSで広がっていくというやり方になります。もちろん予算があれば、クラスターを複数選んでやっていくこともできるので、どう広めていくかが大事です。


クラスターごとに興味関心のあることは異なると思いきや、共通項も多いと話す今瀧氏。

例えば釣り好きな人も料理好きだったり、趣味を複数抱えているケースがあるので、幅広く釣り好きな人に向けても広がらなかったりするんです。その場合、例えば本当にコアな釣り好きの人をメインターゲットにしてみたりする。数は少ないかもしれません。ただ、ライトな釣り好き層は彼ら(コアな釣り好きの人)をチェックしていることも多いので、そこから二次的な波及(拡散)が起きていく。

りょかち氏:なるほどこれは今までと全然違いますね。

今瀧氏:だいぶやり方が難しくなっていると思います。Z世代の当事者ですら、マーケティングが難しいと思うので。Z世代というより、やはりSNSによって、マーケティングのやり方が大きく変わってしまった。僕はショッピングに行ってこの商品がいいなと思っても、Amazonで買ってしまう。持って帰るのは面倒くさいし、明日には届く。レビューもチェックできる。Amazonで買うという消費行動が生まれ、買い物の仕方が20年前とは全然違っている。商品の見つけ方も、インプットの量が莫大に増えている。見つけ方も買い方も価値観も違うので、今までのマーケティングの型に当てはめていると、追いつかなくなってくるというのはありますね。

りょかち氏: Z世代に対するマーケティングを知っていれば、α世代とか、もうちょっと上の世代とかも応用できるのかなと思いました。

今瀧氏:結論、そうだと思います。例えば24歳のZ世代と28歳の方の消費行動は、多分そんなに差は無いと思います。では今の24歳と中高生が違うかっていうと、これは違うと思っています。なぜなら、社会に出たことがあるかないかの違いが大きいからです。ただ一方で、20代という枠で見ると、意外と近しい部分があると思います。最近は30代でもSNSは当たり前になってきているので、Z世代と括るよりも、デジタルネイティブと大きく括った方が、マーケティングが圧倒的にやりやすく、市場も広がると思います。ただ誰もがSNSを持っているけど、どこまで慣れ親しんでいるのかの段階分けが必要にはなってきている。マーケティング上は、ここでフィルタリングしたほうがやりやすさはあると思います。

りょかち氏:Z世代に対するマーケティングは、デジタル時代のマーケティングという風に考えても良いということなんですね。ありがとうございます。

後編に続く

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