73.5兆円のブルー・オーシャン。不動産テックを足がかりに消費者信用産業へ挑む

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73.5兆円のブルー・オーシャン。不動産テックを足がかりに消費者信用産業へ挑む

はじめに

2019年12月19日に、リース株式会社の賃貸向け与信サービス『smeta』と、日本最大級のクラウドソーシングを強みとしているランサーズ株式会社のフリーランス向け福利厚生サービス「Freelance Basics」の連携が発表されました。この提携により、ランサーズを利用するフリーランスは、賃貸住宅を借りるときに必要な、与信や家賃保証のサービスを受けることができるようになります。

画像出典元:リース株式会社HP

この提携に代表されるような、個人の働きかた・暮しかたを後押しするような取り組みが、いま、活発です。コワーキングスペースやコリビングなどの活用により、組織や業界の垣根を越えて個人が活躍できるようになりつつあります。そんな時代に不動産テックをどう生かすのか。そのアイデアをご紹介するのが今回の企画です。取り上げるのは、不動産テックカオスマップにも掲載されているサービス『smeta』より、リース株式会社の中道康徳氏です。本記事でご紹介するのは、2019年10月7日に、株式会社セミナーインフォが開催した不動産テックイベントの内容です。当日のイベントより、中道氏のプレゼンを紹介します。

中道康徳とは

中道:はじめまして。リースの中道と申します。今日、私が皆さんにお話しする内容は、私が取り組んでいる事業のポイントです。まずは自己紹介から。

中道:私は、不動産デベロッパーグループ出身です。この会社が会社更生法をうけまして、新卒入社した会社から激動の人生を歩んでいます(笑)。1社目を起業する前は、不動産ポータルのLIFULL HOME'Sにいた経歴も。ほかに、ソニーグループにて、いわゆる、Ad Tech(WEB広告枠をリアルタイムに取引するサービスやシステムの開発)にたずさわっていました。そうした知見や技術を用いて起業したのが株式会社ターミナルです。その後、現在のリース株式会社を立ち上げました。設立は2018年9月です。当社は、設立したばかりのスタートアップ企業です。私は、不動産テックのスタートアップを2社、設立しました。2社とも、不動産テック協会が公表している、不動産テックカオスマップに掲載されているサービスを作った会社です。

画像参照元:一般社団法人不動産テック協会HP

中道:1社目で開発したサービスが、不動産情報カテゴリーに位置する『terminal(ターミナル)』、2社目となる現在の会社で取り組んでいるサービスが、ローン・保証カテゴリーの『smeta(スメタ)』です。2つのサービスを1人の人間が開発し、それが不動産テックカオスマップに掲載されたのは、まだ、私だけだと思います。

リース株式会社とは

画像出典元:https://rease.co.jp

中道:ここまで、当社を不動産テック企業としてご紹介しましたが、当社自身の認識は全く違います。私たちは、不動産テックやフィンテックのカテゴリーで勝負しているプレーヤーではなく、フィンテック×不動産テック=Credit Tech(クレジットテック)カテゴリーに挑むプレーヤーです。講演などで、丁寧に自社のことを説明する時間が私に与えられている場合、私たちは自分たちのことを次のように説明します。

金融の仕組みを生かして得られるものをCreditとして流通させるスタートアップ企業であり、個人の信用価値を最大化するCredit Techのスタートアップです

中道:現在、2つのプロダクトと2つのサービスを提供しています(2019年10月時点)。

  • smeta
  • smeta for business
  • smeta賃貸
  • ​smeta保証

中道:すべてのサービスに、スメタ(smeta)という名前がついています。どんなサービスかというと、私のオフィス移転を例に挙げて紹介します。

smetaとは

中道:「広い事務所に移動したい」私は、事務所を契約するお金も、一応ありますという状況です(笑)。ところが不動産会社を訪ねると、次のようなことを告げられます。

審査内容はいえないのですが、中道さんの与信では、お部屋をお貸しできかねます

中道:これは実話です。実際に、私が問い合わせた、ほぼ、すべての不動産事業者から、「中道には部屋を貸せない」という説明を受けました。なぜ貸せないのかというと、最大の理由は私の与信が低いからです。誤解を恐れずに平たくいうと、つまり、社会的な信用を証明できない、という状況を指しています。与信の観点から見た社会的弱者の存在は、いまの社会では非常に見えにくい存在です。注目を浴びる機会もなく、光の当たらない存在であるため、世の中の多くは、“自分には与信がない“ことに気づくことができません。彼らに光を当て、部屋を借りることができるようにしているのが、私たちの『smeta』です。私たちは、不動産テック領域にて、事前に与信を付与する仕組みを開発しました。低与信者の人に、あらかじめ与信のある状態になっていただき、それから、お部屋探しをしてもらうサービスが『smeta』です。

画像出典元:https://rease.co.jp/smeta

中道:私たちは、家賃債務保証サービス『smeta保証』も、はじめています。不動産賃貸向けのサービスです。このサービスは、家賃をお支払いできなくなった入居者様に代わり、当社が、家賃を立て替えます。ここで発生する債券の回収までをやる、というビジネスです。

画像出典元:https://sguarantee.jp

低与信者とは

中道:当社が光を当てている低与信者とは、自身の与信(信用を提供すること)を証明することが困難な人たちを指します。これは、与信力がない状態です。個人事業主、勤め先がないフリーランス、私のような起業家、引退された高齢者などが該当します。彼らが部屋を探し、入居したい物件を決めたあと、管理会社や家賃債務保証会社によって行われているのが、入居審査です。ここで低与信者は、確かな信用を提供することができない=低与信であることが理由で、入居審査に落ちてしまいます。彼らが、自分の希望する物件に入居できない、契約できないのはそのためです。

中道:管理会社や保証会社の名誉のために付け加えますが、不動産関係者は、低与信者に意地悪をしているわけではありません。入居希望者の社会的な信用を客観的に判断することが彼らの業務なので、マニュアル通り、機械的に処理をしているに過ぎません。問題だと考えているのは、低与信者が賃貸借契約を交わせない従来の審査手法であり、現在の業界構造そのものでもです。部屋探しから賃貸借契約締結までのフローには、多くのステークホルダーが登場します。仲介会社、管理会社、物件所有者、家賃債務保証会社、保険会社などです。彼らが、裏側で密接にかかわりあっている状態です。この構造を変革するために、『smeta』の普及に私たちは取り組んでいます。積極的に低与信者にサービス提供しているのも、そのためです。『smeta』の最大のポイントは、低与信者が部屋を借りるための十分な与信を確保できる点です。私たちは、“低与信者を確実に部屋を借りることができる”という状態にします。一般的な家賃債務保証会社と違い、当社は自ら引っ越し希望者を集客していて、『smeta』によって与信を付与できる点が強みです。

Credit Techの世界観とは

中道:smetaのビジネスモデルは、不動産会社様から送客料をいただくものです。パートナー不動産会社様に引っ越し希望者を私たちが送客します。『smeta』は、あくまで、当社が目指すCredit Techサービスの1つです。今後も複数のプロダクトやサービスを提供します。

中道:家賃は、個人支出の約1/3を占める非常に大きな項目です。貸金業であればクレジットカードなどの支払い履歴を見ることができます。ところが、家賃の支払履歴を見るという仕組みは、存在しません。この状況は、個人の消費能力の全体像を正確につかむことができない状況を表しています。

この人は、あと、どのくらい消費できるのか?

中道:それを把握することができず、個人へ営業をする側の視点に立つと、

次の営業が、しにくい

中道:そんな構造です。この構造を改善するためには、金融領域と同じようなクレジットヒストリー(信用の履歴や歴史)を不動産テック領域で蓄積する仕組みが必要です。

中道:「この人が支払った」という履歴を積み上げることで、「その人は支払能能力が高まっている」という事実=与信を積み上げられる状態を生み出せます。これにより、低与信者が本来持っていて正当に評価されるべき、顕在化していない信用力の見える化を実現します。

マーケット規模について

中道:当社が見据えるマーケットサイズは巨大です。クレジットカードやキャッシュカード利用の裏側では、大量のデータが流通し、その総額は約73.5兆円にのぼります。現在は、キャッシュレス化の波によるスマホ決済や、後払い決済の台頭により、従来は取得することができなかったデータ量や種類の数が膨れ上がっています。このデータボリュームが約73.5兆円という額にアドオンすることで、マーケットサイズはさらに巨大化するとされています。

中道:当社はすでに1,000を超える契約データを保有していますが、その数を数年以内に数百倍に増やす計画です。いずれは、保険や貸金の領域へと進出し、その巨大化するマーケットに挑むという成長戦略を描いています。

 

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