Z世代が重視する価値や体験は何か?-新たな価値観との交差点-(後編)|HOUSECOM DX Conference

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Z世代が重視する価値や体験は何か?-新たな価値観との交差点-(後編)|HOUSECOM DX Conference

ハウスコムDXカンファレンスで行われた「Z世代が重視する価値や体験は何か? ―新たな価値観との交差点―」と題して、Z世代、ミレニアル世代の登壇者と共に世代で変容する価値観について語り合う。ファシリテーターはコラムニストのりょかち氏。

前編はこちら:Z世代が重視する価値や体験は何か?-新たな価値観との交差点-(前編)

Z世代の働く価値観

りょかち氏:田村さんは実際にZ世代と一緒に働かれていて、Z世代の特徴にはこういうところがあるなと思われることはありますか。

田村氏:人それぞれなんだなっていうのはすごく感じますね。全体論でこんなにいい制度だよって言っても、個々人に刺さるかというとそうでもない。昔の世代は、拡散するとみんながそうだと思ってくれたので、そういう意味では違います。これまでの話 を聞くと、ある程度ターゲットを絞って、そこからの拡散も考えるということですよね。

りょかち氏:本当に多様性がキーワードなのかなと思うんですけど、Z世代が働くにあたって持っている価値観について、上の世代と違うなと感じるところはありますか。

道満氏:自分の好きっていう気持ちを働く時にも大事にしています。その気持ちを把握しながら、マネジメントするのが上の世代から見て大変なところです。Z世代の気持ちをくみ取って、それならまずはこれをやってみようという形で歩み寄るみたいなところがキーワードなんじゃないかなと思っています。

りょかち氏:Z世代がこれをやりたいって言っても上の世代が「まだ若いんだからできないに決まってるだろう」と言うと、辞めてしまうという悩みを聞いたことがあります。

道満氏:上の世代は出社が当たり前だったのが、Z世代はリモートワークから始まったので、それもギャップが生まれるところです。別にサボりたいわけじゃなく、効率よく仕事ができるのでリモート勤務がしたいという彼らと、出社するのが当たり前だった上の世代とで、小さな溝ができる。その溝で辞めてしまうとか、会社に行きたくないと思ってしまう子もいたりします。

田村氏:時間の使い方、時間の概念も違いますか?

道満氏:合理的だなとは思います。効率よく仕事するために会社に行かずに家でやるとか、打ち合わせに行くんじゃなくてオンラインでやるとかも、時間を短縮できると思うんです。でも会うからこそ人となりがわかったり、仲良くなったりと良いこともある。ただ、未経験だからそれがわからない。

りょかち氏:彼らはSNSで多くの合理的な働き方を見ていますし、会って仕事をする良さを経験していないことを上の世代も理解して、お互いの思っていることを話すことが重要なのかなと思いました。

道満氏:話しかけづらい、相談しづらいと思われてしまうと、なかなか垣根を越えられない。なぜ出社すべきなのかということを一緒に喋(しゃべ)って、自分ごと化してもらうことができると、たぶん同じ方向に向いてくれると思います。

りょかち氏:巻き込み型リーダーシップが良いという感じですね。実際にそういうリーダーシップで成果を出されている方などはいらっしゃいますか?

田村氏:そうですね。店のミーティングでも、本当に君たちのことがわかっているというマネジメントの方が、お客さんからの評価が高いチームになったりします。自分が全部フォローするからっていうほうが逆にダメだったりする。時間でも、例えば特定の日が忙しいとわかっていると、昔の人たちはその日は絶対自分の(プライベートの)予定を入れないようにしていた。待ち合わせの時間も何かがあると困るから、前後に余白を入れていた。今の若い世代は絶対にその時間にそこに到着するように考えて業務のオペレーションを組むので、時間の使い方が全然違うなと思います。

りょかち氏:お互いを尊敬して調整するようなコミュニケーションなんですかね。

道満氏:そこも合理的だなと思います。良い意味で、昔は昔で、そういう忙しい日は頑張ろうというのが良かったと思うのですが、今は自分の好きなことがいっぱいあるので、仕事は仕事で終え、自分の好きなことをやることによって、また明日仕事頑張ろうというような考え方が強くなっているのかなと思います。

新社会人としてのZ世代

今瀧氏: Z世代は1990年代後半から2010年頃に生まれた世代で、あたりまえですが今から5年たつと5歳年をとって、30年たつと30歳年をとります。つまり若者のことをZ世代と言うわけではなく、今のZ世代が若者であるという考え方になります。何が言いたいかというと、新社会人としての課題とZ世代の課題が混在してしまっているという気がします。彼らはいま新社会人で最初はコミュニケーションが苦手なのも当たり前だし、報連相が苦手なのも、仕事に不満を持つのも当たり前。学生と社会人のギャップは明らかにあるので、そこにハレーションやストレスが生まれるのは、仕方がないことです。それはZ世代だからというわけではない。

りょかち氏:Z世代に限った特徴だと何かありますか?

今瀧氏:デジタルネイティブであること。これによって他の人の働き方が見やすくなったり、簡単に転職先を探すことができるようになった。もうひとつは、人生100年時代になったこと。僕らの世代は、寿命が100歳超えると言われていて、でも年金はどうなるかわからない、自分もいつまで生きられるかわからないという中で、社会に出て将来に不安を覚えるのは少なからず起きうること。その中でいろんな人が転職したりするのをSNSで見てしまうと、転職してもいいとか、転職ありきで就職するという考え方が生まれてくる。こういう考え方は他の世代とは違うと思います。

組織への帰属意識

りょかち氏:今、すごく転職しやすくて、リモートでコミュニケーションも少ないという話をよく聞きますが、組織への帰属意識を作るのが難しいなと思います。組織への帰属意識を作るのに、どういう工夫をされていらっしゃいますか。そもそもその考え方は古いでしょうか。

道満氏:帰属意識というのは何年か働かないと生まれないものだと思うので、あまり考えないようにしています。帰属意識を持て、というのではなく、年次が上がると仕事を頑張りたいとか、結婚したいなど、キャリアに対する考え方が変わっていくので、それぞれのタイミングできちんと一個人として話をして、彼らがどう生きたいかをしっかり見る。そして、それにあった仕事量の調整、目標を設定していって、入社して4年くらいたったところで、やっと帰属意識が生まれてくると思っています。

今瀧氏:転職があると、帰属意識は低くなる。僕は会社として帰属意識はあったほうが良いと思っているんです。そのほうがモチベーションにもつながりますし、会社としても一緒に取り組みやすくなるので、あった方がいいものの、難しくなってきている。僕の会社では入社した時にそれぞれのプロフィルのイラストを弊社のイラストレーターが作っていて、全員分の顔がある。それをSlackやメールのトップ画に設定する。そこで初めて「ぼくわた」(僕と私の株式会社)の一員だって思ってもらったらと考えています。

上の世代の強みとZ世代の強みを生かすには

りょかち氏:Z世代と上の世代が一緒に働くことでシナジーを生むのがいいのかなと考えています。Z世代と組み合わせると最強だと思う上の世代の強みはありますか。

道満氏:上の世代の経験値はZ世代に足りないもの。ネットで調べることはできても、実際に起きた事象に対して判断をする経験はない。上の世代の先輩と一緒にやっていくことで、仕事というよりも人としての成長が期待できると思います。

りょかち氏:文書化されていないノウハウは結構ありますもんね。

今瀧氏:上の世代はやっぱり経験と信頼です。Z世代は年齢的に若い人たちが多いので、上の世代より経験が圧倒的に浅い。ググってでてこないことにどう対応するのかというと、経験上なかなか難しいので、そこの経験値っていうのは圧倒的にあるかなと思います。そこは時間という壁もあって、どうしても追いつけない。逆にZ世代は上の世代よりデジタルネイティブという強みがある。例えばリサーチしたり、どう伝えるか発信を考えたりといったデジタル領域は若い人に任せるようにすると、上の世代の方よりは少し慣れていたり時間が早かったりすると思います。つまり得意領域を分けて組み合わせていくことがシナジーを生み出す。


りょかち氏:時間が迫ってきましたので、一言ずついただいてもよろしいでしょうか。

道満氏:リアルなZ世代でそれこそ経営者目線でいろいろやられていて勉強になりました。このような機会をいただき、ありがとうございました。

今瀧氏:Z世代というと、遠い存在と像が思い浮かばない人も一定数いる。ただ、会社の新卒の子たちもZ世代です。彼らを思い浮かべてほしい。世代ではなくて人で見るのがZ世代の理解につながると思います。ありがとうございました。

田村氏:今日は最高の日でした。共通言語とかルールを作っていくということですよね。相手を理解するために、こちらも歩み寄り、言語を作っていくというのが大切。でもZ世代だから、という話ではない気もするので、ちゃんと整理をして向き合っていけば、良いコミュニケーションと良い仕事ができるという風には思いました。

りょかち氏:お二人は経営者でもあるので、若い人たちと働く上でのコミュニケーションを聞けてすごく勉強になりました。ありがとうございました。

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