不動産家主必見のセッション続々「ハウスコム25周年 家主様感謝イベント」レポート(前編)

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不動産家主必見のセッション続々「ハウスコム25周年 家主様感謝イベント」レポート(前編)

2023年7月29日、東京・新宿で「ハウスコム25周年 家主様感謝イベント」が開催されました。不動産家主向けに賃貸経営に役立つ情報を届ける内容で、7月1日の愛知・名古屋を皮切りに新宿の後は大阪・梅田(8月26日)、東京・新橋(9月23日)、東京・渋谷(11月4日)で行われます。今回は前編として2つのセッションをレポートします。

ハウスコム「ハウスコム調べ2023年度“部屋選び”に関する調査を解説」セッション

イベントのオープニングは多くの家主さんが訪れる中、ハウスコムの代表取締役社長執行役員の田村穂氏より、2023年に実施した「部屋選びに関する調査」の解説からはじまりました。田村氏は若い入居者=Z世代※1向けにどのような対策をするべきかが見えてくる、興味深い結果が出ていると語ります。
※1 Z世代は1990年代中頃から2000年代終盤までに生まれた世代とされており、この調査では調査時点で16~25歳の男女を対象にしています。

「Z世代では動画コンテンツを積極的に見る人が増えており、物件紹介動画を参考にしたい人は半数を超えています。具体的には部屋の中の動画よりも、駅からの道のり、つまり周辺の雰囲気を見ていることがわかりました。道のりを見ることでそのエリアが安心、安全か、コンビニがあって便利そうか、人が多いところであるか、といったことを判断している様子です」

物件動画を見るZ世代の人は住む「街」へのこだわりが強いと言え、『家賃が高くても好きな街に住みたい』『学校や会社から遠くても広い物件に住みたい』と考えている人が多く、平均家賃が7,450円高い結果となった。

「つまり物件動画を見るZ世代の人は住む「街」へのこだわりが強いと言えます。『家賃が高くても好きな街に住みたい』『学校や会社から遠くても広い物件に住みたい』と考えている人が多く、平均家賃が7,450円高い結果となりました」

このように、本イベントの参加者である家主さんに向け、アンケート結果の中から家賃に関するポイントを解説。どんな部屋や情報を提供していくと良いかのヒントが語られました。

昨年と比較すると、10、20代の家賃が上がってきている。20代では約1.5万円も上昇している。「昨年と比較すると、10、20代の家賃が上がってきていることもわかりました。20代では約1.5万円も上昇しています」

今年は外出する機会が増え、家での過ごし方も昨年から変化がみられた。

「今年は外出する機会が増え、家での過ごし方も昨年から変化がみられました。自分のライフスタイルに合った部屋を選びたい方に向けて、住んだ後にどういった生活ができるかを想像させてあげることで、家賃を上げることができるのではないでしょうか」

家での過ごし方の変化について、矛盾した点があると田村氏は説明を補足します。

「2022年に比べ、もう出社が必要になってきている人も多いため、交通アクセスを重視する傾向がまた増えてきている結果が出ています。一方で、さきほどお伝えした通り、動画を見るZ世代には『学校や会社から遠くても広い物件に住みたい』というニーズもあり、二極化しています」

部屋選びの際に利用したメディア調査の結果、SUUMO、HOME‘Sといったポータルサイトが圧倒的であり、まだ業界全体がポータルサイトに依存している状態であるといる。

「部屋選びの際に利用したメディア調査の結果、SUUMO、HOME‘Sといったポータルサイトが圧倒的でした。まだ業界全体がポータルサイトに依存している状態であるといえます」

ただ、部屋のスペックで条件を指定し、比較検討するポータルサイトが多くの人が利用する一方で、SNSのいずれかを利用したと回答した人は16%と存在感を示しています。

「さきほどの二極化の話にも通じますが、好まれる部屋と部屋選びの手段は今まさに過渡期であると考えています」

田村社長は、入居者側のライフスタイルと、オーナー側の資産形成というライフスタイルの両者それぞれの目線で情報をキャッチアップしながらサービスを提供していきたいと話し講演を終えた。
田村氏は、入居者側のライフスタイルと、家主側の資産形成というライフスタイルの両者それぞれの目線で情報をキャッチアップしながらサービスを提供していきたいと話し、講演を終えました。

家と冒険「Z世代/ミレニアル世代に寄り添ったライフスタイル賃貸で勝ち組に」セッション

「物件スペックよりもスタイル、検索よりもビジュアル、ポータルサイトよりもSNSというのが令和に生きるZ世代/ミレニアル世代の行動。平成や昭和の時代とは様変わりした今、彼らに寄り添う新しい賃貸経営が求められています」

そう話すのは「家と冒険」取締役の柏木孝文氏です。ハウスコムの田村氏が解説した「部屋選びに関する調査」でも解説されたZ世代をターゲットにした企業です。

「家と冒険」の柏木孝文取締役。ハウスコムの田村穂代表取締役社長執行役員が解説した「部屋選びに関する調査」でも解説されたZ世代をターゲットにした企業。
「私ども家と冒険は、賃貸のスタートアップと捉えていただければと思います。事業内容としては、スタイル型リノベーションというものを行なっているのと、今後部屋探しのポータルサイトの立ち上げを予定しています。今朝、ハウスコムの田村氏が話されていたZ 世代の“部屋選び”に関する調査の結果を拝見して、家と冒険の事業を行うなかで感覚的に持っていたものが結果に出ていて、まさにそうだなと思いながら聞いていました」

「まず、ライフスタイルですね。賃貸において求められているのはスペックではなく、スタイルだということ。もう一つは部屋を動画で探すような人、つまり部屋の中とか雰囲気にこだわる人はお金を多く払う——平均家賃 7000円超多く払っているという話でした。そしてSNS。これはもう言うまでもなく、20 代の方は本当にメールも使わず、下手すると LINE も使わなくて、Instagramのダイレクトメールでやり取りしています。彼らの使うツールも住まい選びのポイントも以前と比べて大きく変わってきているわけです」

「Z世代/ミレニアル世代に多いのは、気に入った部屋が見つかったら引っ越すというパターンです。これまでは転勤等で引っ越しを急がれている方が、住まい選びをしていることが多かった。後者の場合、転勤先などによって駅や家賃を考えないといけませんでした。しかし、前者は部屋がなければ引っ越さないけど、気に入った部屋があれば引っ越すよというパターンです。更新のタイミングでSNSなどで探していい場所があれば引っ越す。そんな人が増えています。気に入れば住むので、先ほどのデータにもありましたが家賃は少し高くても住んでくれます」

「ここであらためてZ世代/ミレニアル世代の特徴は何か確認したいと思います。大きく3つあります。1つは「インターネットとSNS 」で、これを本当に駆使しています。彼らは小学生の頃からLINEに親しみ、大学の卒業論文をスマートフォンで書いたりする。私たちの想像を超えるデジタル感性をもっています。2つめは「自分らしさ」を重視する点。自分に合っていると感じれば何でも柔軟に受け入れますが、そうでなければ受け入れない。3つめは「モノより体験」ということ。私は昭和世代なのでモノにこだわってしまうところがありますが、彼らは体験を重視し、そちらへお金を払う。好きなミュージシャンのライブやスポーツの試合を見るために何万円払っても惜しいとは思わない」

彼らに対して不動産業界がアプローチをする場合、やはりこれまでとはやり方を変えていく必要があると柏木氏は言います。

「例えばこれまでのようなポータルサイト依存ではなく、ブランドのサイトだったりSNSを活用したり、他の方法が必要になってくる。また、画一的な部屋でなく、その人の自分らしさを表現できるような部屋を用意してあげる必要もでてきます。その場所だからできる体験を、部屋を通じて提供していかなければならないでしょう」

「実際にここ5年くらいのGoogle検索のワードをGoogle Trendで見ても、「賃貸+おしゃれ」とか、「賃貸+ペット」といった賃貸+自分らしさを加えた検索が急激に増えてきているのがわかります」


「彼らのようなライフスタイル派はどんな部屋の探し方をするかというと、SNSなどを通じて「自分らしい」を「実現」できる部屋を継続的に探します」

同氏は外資系企業の勤務経験も豊富で、サンフランシスコの不動産を見ていた時に、多様な部屋の数々に感銘を受けたといいます。

「築 80 年とか 90 年のような建物もいっぱいあるのですが、そこに工夫があり、ライフスタイルに沿った部屋が多様にありました。みんなが豊かに暮らしている。日本の賃貸はとても綺麗ですが、面白味はもしかしたら少し足りていないのではないかと思いました」

「そんな時、ちょうど私が家主の一室が3ヶ月空き室の状態になってしまいました。最初は新築で入居率も良かったのですが5年くらいすると入居率が悪くなっていく。そこでリノベーションで部屋の世界観を変えてみようと思ったわけです。そうしたら、即日内見、即日申し込みで家賃も少し高くても入居が決まりました」

「私どもは部屋のリノベーションスタイルを4つに分けています。ブルックリン、カリフォルニア、インダストリアル、ボタニカル。この4つのどれかに、多くの人の好みはあてはまります。これを確立させた後、リノベーションを推進していきました。次にお見せするのは築20年のお部屋ですが、ブルックリンスタイルでこのように変わりました。家賃相場は 8万4000円でしたが、それが 9万7000円で決まりました」

「私も不動産の家主でもあるのでよく分かるのですが、築年数が重なって人が入らなくなると仲介業者さんにそろそろ高齢者様も受け入れられては? と提案されることもあります。でも、もう少し若い人を応援するような不動産経営をしたいという気持ちもあります。私と同じように思われている方は、一度私どものリノベーションサービスをご検討していただく価値はあると思います。次も築30年以上のアパートでしたが、ボタニカルスタイルでリノベーションを行いました」

「このようなリノベーションの取り組みを 3 年ほどやってまいりまして、今回、新たにポータルサイトを作ろうという流れになりました。田村氏のセッションでもポータルサイトの依存度は高いことがわかりましたが、一方でライフスタイル派を呼び込むためには、従来型のポータルサイトでは満足されない懸念があります。そのため彼らが納得できるポータルサイトを創ろうというのが狙いです」

「今の不動産ポータルサイトの多くは、築年数などを10年以内、20年以内のように絞れますよね。そうするとここで見せたような築30年超のリノベーション物件は残念ながら表示されなくなってしまう懸念があります。駅にしても、徒歩15分を指定すると、徒歩16分の物件は出てこなくなってしまいます。こういうスペックで物件が見えなくなってしまうのはもったいないと考えました」

「私たちが考えるポータルサイトは、入居者さんから見た時に、このスライドのようなステップになります。最初にまず部屋を選んで契約してもらう。その上でリノベーションをかける。例えば、インダストリアルな部屋にしてほしいといった依頼を受けて行うわけです。その後、住んでいただくという仕組みです。大家さん側から見ると入居者が決まってからリノベーションをかけられますし、費用を家賃に組み込んで募集をすることができますから、リスクを抑えられます。入居者は自分が好きなスタイルの部屋に住むことができます」

つまりリノベーションに100万以上かけるから、家賃はプラス1万円くらいアップしておこうというように大家側は経費を家賃に一部載せることも検討可能となります。家と冒険ではこのサービスをまず関東中心に展開していく予定で、セミナー後に参加していた家主さんたちの質問に答えていました。

 

レポートの後編では、全保連による「保証会社独自のデータと対応事例でみる家賃滞納」と、「ハウスコムの店長たちに聞いてみた満室経営への道」をお届けします。

「ハウスコム25周年 家主様感謝イベント」はこの後、東京・新橋(9月23日)、東京・渋谷(11月4日)で行われます。

▼詳細はこちら
https://owner.housecom.jp/housecom25th/

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