企業の運命を分ける!不動産テックでビッグデータはどう活用できるか

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企業の運命を分ける!不動産テックでビッグデータはどう活用できるか

 

はじめに

ビッグデータとはなんでしょうか。

正確な説明はできなくても
・非常な大きなデータの集まりで、有益な効果が得られるというのは知っている。
・新聞やニュースで話題にはなっているが他業界の話だろう。
・興味はあるが、うちの会社にどう活用できるのか見当がつかない。
そう思われる方もいるのではないでしょうか。

実際、筆者が思い浮かぶのは数年前にあきんどスシローが食品ロスを削減したという話です。
同社は提供している寿司情報・顧客の情報を年間10億件保有しており、

蓄積された40億件のデータを分析してこの様な効果を出したそうです。

今まで解決できなかった問題が新たな切り口で解決したこと、廃棄量75%削減ということが強く印象に残っています。

ビッグデータとは

ビッグデータとは何か?
と調べようとしたら以下のような様々な検索結果が出てきます。

『従来企業が扱ってきたデータと比べ、処理が難しい複雑かつ膨大なデータ』
『構造化データだけではなく、非構造化データ(音声、映像、メール、webサイトのログ、バックアップ等)も含まれる』
『そのため更新頻度が高いものがある』
『その特色をまとめると以下の3点といわれている。
 1.データ量が多いということ
 2.データの種類が多いということ
 3.データの変化する頻度が多いということ(リアルタイムに更新されていく)』

実は、ビッグデータについての共通の定義はないらしいのです。
ですので、一言
「ビッグデータとは?」と調べると上記のような専門的なデータの解説や、その活用事例等が紹介されています。

 

しかしここであえてビッグデータとはなにか?をまとめるなら

迅速、適切な判断を導くデータ」といえるでしょう。

 

 

 

それは”ビッグデータの性質を生かした活用をすること”に答えはあります。

私たちの暮らしの中にIT化が進んだ今、さまざまなデータが日々、毎分、、、毎秒更新されどんどん降り積もっています。

 例えば、
・エアコンは何時に何度に設定するか
・今日の気温・天気だとどんな商品が売れやすい
・ニュースはこの時間の閲覧が多い、
・この道路はブレーキが踏まれやすい等、
スマホ、Iot、pos、GPS等により消費者の実質の生活に沿って、目に見えない情報がデータとして蓄積されているのです。

『ビッグデータ』という言葉が聞かれ始めた2011年ごろ、IT技術も膨大なデータを扱えるほどに発達し、この蓄積されたデータの有効利用に乗り出しました。
 同時期に米国の経営誌ハーバード・ビジネス・レビューで「今世紀でもっともセクシー(魅力的)な職業はデータサイエンティスト」と発表しています。
 この「データサイエンティスト」とはビッグデータを扱う人ということだそうです。

そもそも、この大量のデータ群は上述したとおり、(人に着目してみれば)スマホのデータであったり、GPSであったり、posデータであったりと実生活に基づいたリアルな行動データの集まりです。
従来行われてきた、ヒアリングベースのアンケート調査に基づくデータより、精度も即効性も高いのです。

ある課題に対し、精度が高く+リアルタイム性がある情報があれば、効果的で迅速な判断が可能です。

ですので、ビッグデータは「迅速、適切な判断を導くデータ」なのです。

 

このビッグデータの活用は業界を問わず大きく市場を賑わせています。
ビッグデータ/アナリティクスソフトウェア市場規模は2016年において、2,282億6,000万円、前年比成長率8.0%の高成長とIDC Japan株式会社が発表しています。
また、2016年から2017年にかけて『官民データ活用推進基本法』の制定や『改正個人情報保護法』の全面施行などといった法整備がなされました。
総務省のHPでは今年は「ビッグデータ利活用元年の到来」と言われ、今後も本市場は大きな成長が期待されています。


 

ビッグデータと不動産業界

もちろん、不動産業界でもビッグデータの活用は始まっています。とくに不動産テック元年と言われた2014年から活発な動きを見せています。

不動産業界のビッグデータを利用したサービスは以下のようなものがあります。

1.不動産価格サイト


 膨大な売買・賃貸履歴などのビッグデータを活用し、不動産査定価格の提供、各物件の価格推移を明示するサービスです。
 
 不動産テックでビッグデータと言えば、価格査定サイトでしょ!と思い浮かぶ人も多いのではないかと思います。
 日本で不動産テックが聞かれ始めたころ不動産業者と一般消費者がもつ情報の非対等であると言われました。
 
 近年、消費者はネットを利用しある程度の知識を得てから行動することが多くなっています。不動産という高額なものが対象である場合、更に慎重に行動したいと考えるはずです。

不動産の価格はどう調べるのでしょうか?
立地、広さ、階数、築年数、設備等すべての条件が合致する不動産はありません。そのため類似物件の情報を参考にするのが一般的ですが、一消費者が調べるには限界があります。
 ですので、今までは不動産の価格が知りたい思った場合は不動産業者へ依頼するしか方法はありませんでした。
 そこでビッグデータの活用により、条件の近い取引実績や、賃貸相場の情報をもとに、参考価格を表示するサービスが実現しています。
これにより消費者が透明性の高い物件価格を自ら得ることができ、消費者自身で判断し行動しやすくなりました。


2.不動産投資用物件の価値を予測するサービス


ビッグデータをAIに学ばせて価値が高い投資用物件情報を提供するサービスです。

不動産投資の際に重要なことは「この物件でどれくらいの収益が得られるか」ということです。
そのための調査は、複数の物件に対して築年数や立地条件、設備、周辺環境、想定される利回り等調べ更に比較・検討することが必要であり、労力と時間がかかります。そのうえ、その判断も難しく実際運営をはじめて想定通りにいかないこともあります。
そこで、ビッグデータをAIに学ばせて、「物件がどれくらいの収益を得られるか」を予測します。

 

物件に対する収支表、利回りなどもAIが予測して作成し、膨大なデータをもとに分析することから情報の精度が高いのも特徴です。

価値の高い投資用物件を顧客に紹介するサービスであったり、消費者自身がサイト上で条件を入力することで物件情報を得ることができたりとその形はさまざまです。
また、このサービスは時間をかけずに希望に沿った物件候補を挙げることができるため、不動産会社の業務効率につなげることも可能です。


3.不動産営業支援

ビッグデータは不動産営業の効率化にも役だっています。

賃料査定システム『スタイルレント』

賃貸物件の賃料は立地、築年数、仕様などから決められます。多くの知識をもつ経験者であれば査定は難なく進むかもしれませんが、すべての担当者がそうであるとは限りません。
そこで、ビッグデータを利用して適切で迅速に賃料を査定するサービスが始まっています。ウェブサイト上で賃貸物件の賃料査定が行えます。
また、賃料査定だけではなく、ビッグデータの分析結果から空室物件に悩む物件オーナーへ改善提案することも可能です。

・大量の顧客データを可視化で、営業マンの最適な最適な提案をサポートする活用
 Cocolive株式会社の「KASIKA

 自社ホームページに訪れた顧客のデータをビッグデータとして活用し、潜在ニーズや適切な営業のタイミングを教えてくれるツールです。 "どんな人に"、"どのくらい"、"どのページを"、"どんな頻度で"閲覧されているか知ることができます。
さらに、 "どんな物件を検索したか"、"送ったメールをいつ開封したか"、"メール開封後どのような行動をしたか" などあらゆる情報を営業マンにリアルタイムで通知することもできます。
潜在ニーズや適切な営業のタイミングを知ることにより
・顧客へのアプローチ精度の向上により、素早く確実に商談を成立させる事ができる
・分析したデータを社内で共有する事で、短時間で効率的な情報共有ができる
・顧客一人ひとりに担当を付ける必要がなくなり、コスト削減につながる
ことが期待されるサービスです。

出典:Cocolive株式会社プレスリリース

 

・その他、今後期待したい部屋探しの方法

現在展開されているサービス以外にも、ビッグデータ、そしてAIが不動産業界で進化していけば期待される物件サービスの形も変わるかもしれません。
従来の条件マッチングの検索では「新宿でワンルームを探している人」には新宿駅周辺の物件しかリストアップされません。
しかし「新宿でワンルームを探している人は、紆余曲折を経て新宿駅に1本で行ける近隣駅の物件に契約する事が多い」という傾向が大量のデータから割り出せれば、周辺駅の物件も候補としてリストアップする事が可能になります。
このようにビッグデータを使って、またAIを掛け合わせ様々な活用が期待されます。

 


ビッグデータの課題


しかしながら、ビッグデータにもいくつか課題があります。

・どこからビッグデータを取得するのか?


 より多くのデータを集めようとすると、そのための仕組みを作らなければなりません。仕組みを作るとなると、時間もコストもかかり取りくみにくいでしょう。
ですので、情報を得ることが目的であれば既存のプラットフォーム運営企業から提供を受ける事は選択肢の一つとして考えられます。
 最近のIotの普及でより実態に近い消費者の行動データも取得できるようになりました。
そういったIot事業者と協力するのも手段のひとつです。
 

・分析方法をどうするか?

膨大なデータの処理・分析を自社でするか、外注するかという課題もあります。
また、各々のそのコストはどれくらいかかるものなのか。
ビッグデータが出てきた時には分析に関するコストがかかるという問題も聞かれました。
しかしながら、現在は活用事例は多くみられ、分析目的や方法を選ぶことによりそれほど大きな額にならないかもしれません。

 

まとめ


ビッグデータという言葉が扱われはじめて数年間で大きく変わりました。
総務省ではビッグデータ利活用元年の到来と言われています。
2016年末から2017年にかけて、官民データ活用推進基本法の制定や改正個人情報保護法の全面施行などといった法整備がなされました。今後も活用がどんどん進むでしょう。

何からどこから手を付けるべきかと悩むなら、ビッグデータがあるのか。目的を見つけてビッグデータでその解決ができないかという切り口で取り組むのもあるのかもしれません。

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