環境やエコだけではない!万が一に備える『太陽光発電』の魅力とは

- 太陽光発電は環境に優しいだけではなく、万が一の際に役に立つ。
- 実際に被災した人たちが、太陽光発電を設置している。
- 太陽光発電導入・活用には課題もあるが、対応策も十分にある。
はじめに
万が一に備える、防災手段には色々なものがあります。
「身近に防災バッグを備えている」、「会社にヘルメットを備えた」というニュースは、毎年定期的に流れています。
また、防災の日や、震災があった時期に流れるニュースを目にした時にあらためて防災に対して考えなおす、見なおすという人も多いのではないでしょうか。
「家」に関する防災といえば、「免震構造」「耐震構造」というワードを思いつく人も多いかと思います。ですが、住居の構造や建築方法以外にも、「家」を万が一の災害に備える方法があることをご存知ですか?
耐震・免震の他にも災害に強い家がある
耐震・免震の他にも、災害に強い家があります。
それは、太陽光発電を利用している家です。
従来、太陽光発電は自家発電したエネルギーを電力会社に売電する”プチ投資”で注目を浴びていました。しかし、今では”災害に強い家”という側面でも注目され始めています。
それは、災害時や停電時であってもエネルギーを使用することができ、万が一の際の不便さが減らせるからです。
2011年8月に積水化学工業株式会社が「太陽光発電 停電時の自立運転モードの利用実態調査」を発表しています。
そこには、東日本大震災後の生活において、太陽光発電がどのように役に立ったのかが記載されています。
代表的なコメントを、以下抜粋しました。
・震災時は寒かったのでファンヒーターが使えて助かった。
・電気ポットでお湯を沸かし暖かいコーヒーを飲んで、気持ちが落ち着きほっとした。
・赤ちゃんのミルクのお湯の調達に苦労したので日中沸かせるだけ沸かしてポットなどに入れて置いた。そのほか携帯の充電等に大活躍。ソーラーをのせておいてよかったと実感した。
・大人は水くみやその他生活面で忙しく、子ども達にかまってあげられなかったため、DVDデッキにつなぎ録画したアニメを見せた。子ども達は安心した様子で見ていた。
・周りのみんなが携帯電話の充電が切れて困っていたので充電してあげてよかった。
・炊飯器でご飯を炊いた。多めにご飯を炊き、近所の子どものいる家庭に配り、とても感謝された。
・米と炊飯器を持参してもらい、近所の炊き出しに役立った。
上記からわかるように、太陽光発電は、震災後の被災地において、実に広い範囲で生活の助けとなりました。
また、2018年2月の同社による「暮らしと住まい調査」(同社のセキスイハイムに住む世帯に対する調査)で、「太陽光発電」を住み始めた後に設置したのは、被災経験なし14%の世帯より、地震被災あり24%の世帯が(+10ポイント)多いことがわかりました。
このように実際に被災した人たちが、災害時の「もしもの備え」のために、太陽光発電を現実的に導入しているのです。
太陽光発電を導入する前に知っておくべきこと
太陽光発電の導入が始まり長い年月が経過しています。
そこで、あらためて太陽光発電のメリット・デメリットをみてみたいと思います。
太陽光発電のメリット
- エネルギー自給率を高める
- 環境によい
- 電気代が安くなる
- 余った電気を売れる
- 停電しても電気が使える(有事に備えることができる)
太陽光発電のデメリット
- 設置費用が高い
- メンテナンスに費用がかかる
- 屋根への負担が心配
- 設置場所の確保が必要
メリットが多くある一方で、デメリットもあることは確かです。
しかし、デメリットが既出しているからこそ、対応することも可能です。
デメリットに対する解決策
ここで、上記のデメリットに対する解決策をみていきましょう。
- 設置費用が高い
太陽光発電を設置すると自治体から補助金を受けられるケースがあります。補助金の制度や金額は県・自治体によって変わります。例えば、福島県会津若松市で太陽光発電システムを導入する場合、県からは1kWにつき40,000円、市から1kWにつき10,000円(ともに上限あり)の補助金が設けられています。(2018年3月時点)
設置に関しても、「業社に依頼して、工事が必要で、コストがかかりそう」と想像する人が多いかもしれません。しかし、現在はネット販売や、ホームセンターなどで太陽光パネルが手に入り、自作で太陽光発電を備えることができます。
業社に依頼するよりも気軽にスタートできるので、自宅に必要な太陽光発電を、少しずつ増やしていく計画もできるのではないでしょうか。
- メンテナンスに費用がかかる
太陽光パネル自体は非常に丈夫であるため、メンテナンスはほぼ不要と言われています。その一方で、太陽光パネルで作られた電気を家庭で使えるよう変換する「パワーコンディショナー」にメンテナンスが必要です。
メンテナンスは、メーカーにより異なりますが、およそ20年間で30万円ほど必要と概算[内訳/パワーコンディショナーの交換費用:20万円(メーカー保証期間内はゼロ)、定期点検:10万円(2万円の有料点検を4年に1回実施)]されています。年間1.5万円は、メンテナンス費用として積立をしておくことが必要です。
メンテンナンスに費用はかかりますが、エネルギー自給率を高める、電気代が安くなる、電力会社へ売電する等のメリットで負担は軽減されるのではないでしょうか。
- 屋根への負担が心配
屋根への負担はあまりないとされています。しかし、既存の屋根が心配であればあらかじめ強度のある屋根に変更するなどの対策ができます。
また、2018年からテスラジャパンが日本でも販売を開始した「ソーラールーフ」を利用することも方法のひとつです。「ソーラールーフ」とは、屋根一体型の太陽光発電システムです。
従来であれば、屋根の上にソーラーパネルを設置していましたが、「ソーラールーフ」であれば、「ソーラールーフ」のみを屋根として取り付け太陽光発電が可能です。
- 設置場所の確保が必要
太陽光発電といえば、広い土地に並べたり、屋根の上に大型パネルを設置するイメージがあります。しかし、最近では「DIYソーラーパネル」「ベランダ発電」等の言葉があります。上述したとおり、太陽光発電は、ネット販売・ホームセンター等でソーラーパネルを購入し、自分で製作することができます。
そうすることで、戸建・持家の屋根がなくても、分譲・賃貸マンションの日当たりのよいベランダ等を発電場所に利用することも可能です。
災害時に利用する場合の注意点
災害時に備えるためには、いくつか注意点があります。上記で述べた「太陽光発電 停電時の自立運転モードの利用実態調査」においても
(抜粋)
●使用できた機器、できなかった機器、要望等
PVの自立運転で使えた機器と使えなかった機器があります。携帯電話とラジオは使用できなかった例はありませんが、大型テレビが映らなかったケース、炊飯器も1升だと炊けなかった事例、洗濯機も脱水時に止まってしまうといった事例が報告されています。
また、自立運転で創った電気を夜も使えたらという意見も多く、今後の蓄電地への期待の高さが伺えました。
※PV:太陽光発電システム
と記載されていました。
このことから太陽光発電を備えていても、電力には限りがあり、使用電力の量によっては使えなかったり、また太陽がでていない夜間時には使用できない問題等があるのがわかります。そこで、次の点に気をつけることが必要です。
太陽光発電を効率的に利用する
作られるエネルギーの量には限界があります。有事の場こそ、限界があるエネルギーを効率的に利用しなくてはなりません。
どの家電がどれだけのエネルギーを消費するかを把握し、エネルギー利用が集中することを分散させる、代替え機にする、太陽の光がある日中に利用をするものを決める、等、方法はあります。また、省エネといわれる家電を利用する等も必要です。
夜間にもエネルギーを利用するために
太陽光発電は太陽の光がある日中に発電をし利用できます。そのため、夜間は太陽光発電の利用ができません。
夜間や、雨天時に停電になった際に利用するためには、発電したエネルギーを溜めておく「蓄電池」を別に備えることが必要です。「蓄電池」を利用することにより日中に溜めた太陽光エネルギーを夜間等にも利用することができます。
まとめ
太陽光発電は、エネルギー自給率を高める、環境にやさしい暮らしができます。また、災害時や停電時に、エネルギーを使用することができ、万が一の際、不便さが減らせるのです。
私たちは、災害と切っても切れない中で暮らしています。
住宅の耐震性、耐火性等の耐災害性能は向上しました。災害が発生した場合も、身の安全が確保できる場合は、自宅での待避が推奨されています。
その際に太陽光発電を備え、エネルギーに関する不安から少しでも解放されることは、本当の意味でも災害に強い家といえるのではないでしょうか?