地域の価値を一変させる半導体工場・データセンター

2023.06.06
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地域の価値を一変させる半導体工場・データセンター

台湾積体電路製造(TSMC)の熊本県進出で何が変わった?

熊本県で2021年にTSMCの工場建設が発表されて以降、半導体関連企業の工場新設や増設計画が次々と発表されています。例えば京セラは20232月に鹿児島県の霧島市で半導体装置部品の新棟を約30億円投じて建設すると発表しました。

 
2022年1月撮影。今はもうだいぶ開発が進んでいる。

報道などでもある通り、TSMCの新工場では1700人程度が雇用される予定です。関連企業も含めると、その規模はもっと大きくなるでしょう。県も関連工場の誘致に向けて用地・インフラの整備をすすめています。大きな企業がその土地にやってくることで、企業城下町が生まれ、そこに人が集まり、価値が大きく変わっていきます。

これは何も熊本県に限らず、例えば三重県四日市市のキオクシアの工場(1992年)でも起きた出来事です。同地は2022年に新製造棟が完成し、活気づいています。

企業の誘致で地域の価値が一変することは多々ありますが、近年注目されているのはTSMCをはじめとする「半導体工場」や「データセンター」です。その理由は、どちらも現在の経済社会において必要不可欠であり、これからも成長が見込めると期待されているから。半導体工場やデータセンターが地域にくることで、その土地にはどのような影響が起きるのでしょうか? 以下の5つが挙げられます。

  1. 土地価格の上昇:工場建設に伴い、周辺地域の土地価格が上昇することが予想されます。これは、新たなビジネスチャンスや雇用創出が期待されるためです。

  2. 地域経済の活性化:工場建設により、地域内での雇用創出が期待されます。これにより、地域経済が活性化し、評価が向上するでしょう。

  3. 技術力の向上:工場建設により、地域の技術力や産業レベルが向上し、さらなる産業の誘致が期待されます。また、地元の教育機関との連携により、人材育成や技術研究の分野での交流が促進されることも期待されています。

  4. 企業進出の促進:他の企業にもポジティブなシグナルを送ることになります。これにより、他の企業や関連産業が進出し、産業集積が進む可能性があります。

  5. 地域のブランド力向上:TSMCのような世界的な企業が進出することで、その地域のブランド力が向上します。これにより、観光業や他の産業にもプラスの効果が生じることが期待されます。

グーグルは千葉県印西市、国家半導体プロジェクトのラピダスは北海道千歳市へ

2023年も、半導体工場やデータセンターの話題に事欠きません。グーグルは千葉県印西市にデータセンターを開設し2023年4月13日に開所式を開催しました。同社日本初のデータセンターです。印西市は以前からデータセンターの集積地帯として知られています。

また、国産での先端半導体製造を目指すラピダスは、2023年2月28日に最先端半導体工場の建設予定地として、北海道千歳市を選定したことを発表しました。これを受けて4月20日、臨時千歳市議会はラピダスが工業団地「千歳美々ワールド」に建設する次世代半導体工場向けのインフラとして、水道管敷設経費など計約24億3400円を水道、下水道の各事業会計に追加する本年度補正予算案を原案通り可決しました。

半導体工場やデータセンターは、地域の価値を一変させる

半導体工場やデータセンター施設が地域に進出することで、地域経済の活性化や雇用創出、技術力の向上、ブランド力の向上、そして地域活性化への意識改革など、多岐にわたる影響が期待されます。また、これらの効果は、地域の産業構造や社会環境にもポジティブな変化をもたらし、長期的な発展に寄与することが予想されます。

では、こうした半導体工場やデータセンターがやってくる土地の条件とはどんなものがあるのでしょうか。以下のような条件が重要とされています。

  1. 工場・センターを設置するための広大な平面地
  2. 安定した電力供給
  3. 豊富な水資源
  4. 地盤の安定性
  5. 交通アクセスの良さ
  6. 企業誘致のためのインセンティブや支援

北海道や熊本県などの九州、千葉県印西市は特にこれらの条件が良いとされています。例えば印西市は強固な洪積台地として知られ、活断層がなく、海や一級河川からも離れているため、ハザードマップ上は洪水、土砂災害、液状化のリスクが低いと評価されています。成田空港や東京へのアクセスも比較的容易です。

熊本県も同様です。同県は九州のほぼ中央に位置し、良好な交通アクセスがあります。熊本市は、九州新幹線の停車駅があるほか、熊本空港や港湾施設も近くにあります。これにより、生産物流や人の移動が円滑に行われることが期待されています。また、半導体製造プロセスでは大量の水が使用されます。熊本県は、豊かな自然環境に恵まれており、水資源が比較的豊富です。これが、半導体製造において重要な要素となります。

今後も、半導体工場やデータセンターのような情報技術産業の拠点が、地域の価値を一変させる重要な要素として注目されることでしょう。

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