設備点検にロボット・ドローン・AIを導入する事例が増加中!費用相場やメリット・デメリットとは?

2023.04.27
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設備点検にロボット・ドローン・AIを導入する事例が増加中!費用相場やメリット・デメリットとは?

設備点検ロボット・ドローンには、どのようなものがある?

設備点検にロボット・ドローン・AIを導入する事例が増えています。
2022年11月に株式会社NTTデータは、データセンターにおいてロボットを使った設備点検業務の遠隔化・自動化の取り組みを行い、設備点検業務の時間を約50%削減できることを発表しました。

同年12月には、新潟県にある上越火力発電所に、ロボットやドローン・AI(人工知能)技術を組み合わせた設備点検の自動化システムが導入されました。

点検ロボットは広い空間で利用する大型のもの、床下や配管など人間が入りづらい狭い空間を走行できるものなどさまざまな種類があります。

多くの点検ロボットは 、高精度のカメラを搭載しカメラで捉えた映像をPCの画面などに映し出します。Wi-Fiなどの通信機能を使用し て映像を送信するロボットもあり、最終的には人間が目視でチェックします。

2022年11月には環境計測や設備点検などの施設管理ができるロボットが開発され、2023年1月にはロボット・AIを用いた施設点検の自動化に関する共同研究が開始されました。
将来的には施設の管理・設備点検がロボットで可能になるかもしれません。

赤外線カメラを搭載したドローン点検は、屋根・外壁などの調査に有効

一方で、ドローン点検とはどのようなものがあるのでしょうか?
ドローン(drone)とは、英語で「オスの蜂」という意味で、飛行音が蜂の羽音に似ている事から無人航空機をドローンと呼ぶようになりました。
ドローンは無人で遠隔操作もしくは自動制御で飛行が可能です。

ドローンによる点検はトンネル・橋梁・線路・発電所など幅広く活用されており、国土交通省でも橋梁などの定期点検にドローンを活用しています。

ドローンによる点検はトンネル・橋梁・線路・発電所など幅広く活用されており、国土交通省でも橋梁などの定期点検にドローンを活用している。【画像出典】国土交通省「ドローン活用事例」よりスクリーンキャプチャにて作成【URL】https://www.mlit.go.jp/common/001428828.pdf

マンションやアパートでは、主に屋根や外壁の点検にドローンが活用される事例が多いです。
ドローンには①カメラ映像を人間が目視で確認、②撮影データをもとに3Dマップを作成して点検、③赤外線カメラによる点検という3つの方法があります。

特に赤外線カメラを搭載したドローンによる点検は、人間が目視で確認できない場所も温度情報を得られます。温度の情報により劣化や損傷をいち早く発見できる、修繕の調査がスムーズになるなどのメリットがあります。

赤外線カメラを搭載したドローンによる点検は、人間が目視で確認できない場所も温度情報を得られ、温度の情報により劣化や損傷をいち早く発見できる、修繕の調査がスムーズになるなどのメリットがある。

【画像出典】国土交通省「インフラメンテナンス国民会議東北フォーラム 赤外線サーモグラフィ搭載型ドローンによる点検診断技術」よりスクリーンキャプチャにて作成【URL】https://www.thr.mlit.go.jp/Bumon/B00097/k00360/inhuramente/katudo/201222/04.pdf

※UAV法・・・空中からドローンを用いて赤外線調査する方法

点検にロボット・ドローンを導入するメリットとデメリット

点検業務でロボット・ドローンを導入するメリットとして、まず人間が入る事のできない狭いまたは危険な空間を調査できることが挙げられます。
目視による点検で見落としてしまう劣化・損傷箇所も赤外線搭載・高精度のカメラで発見できる可能性があります。

また、マンションやビルの管理においては人手不足が深刻化しており設備管理業務は特に熟練者の不足が課題と言われています。今後少子高齢化が進みますます労働人口が減少する中で、人手不足が加速するでしょう。
ただし、ロボット・ドローンの点検により業務の省人化が期待できます。

株式会社NTTデータのロボットを使った設備点検業務の遠隔化・自動化の取り組みでは、設備点検業務の時間を約50%削減できる事が分かりました。

ロボット・ドローン導入にあたっては初期費用や維持費がかかりますが、長期で見ると人件費の削減を見込む事が可能です。

点検ロボット・ドローン費用の相場とは

例えば床下点検ロボットは50万円~数百万円程度です。
産業用のロボットは300~500万円程度が相場と言えるでしょう。維持費用としてロボットのメンテナンス・修理費用もかかります。

ドローンの場合は専門の業者がおり、20,000円~100,000 円前後の価格帯となっています。業者によって価格にばらつきがありますので、複数の業者に見積もりを依頼し比較しながら検討しましょう。

DX化では「スモールスタート」という、コストの低いものを少しずつ導入していく手法が有効と言われています。

まずは利用料の安いドローンを屋根など人間にとって危険な場所の点検に活用してみる、価格の安い床下点検ロボットを導入するといった方法をおすすめします。

施設管理や設備点検にロボット・ドローン・AIを活用する事例3

施設管理や設備点検ができるロボットや赤外線カメラを搭載したドローン点検事業、設備点検自動化システムを導入した企業を紹介していきます。

1.人の代わりに環境計測・設備点検ができる「BambooBot

株式会社RoboSapiensは、2022年11月にオフィスビルや商業施設などの施設内において、環境計測や設備点検といった施設管理をサポートするロボット「BambooBot」を開発しました。

株式会社RoboSapiensは、2022年11月にオフィスビルや商業施設などの施設内において、環境計測や設備点検といった施設管理をサポートするロボット「BambooBot」を開発。
【画像出典】PRTIMES「環境計測や設備点検などの施設管理を人の代わりに行うロボット「BambooBot」をRoboSapiensが開発」よりスクリーンキャプチャにて作成【URL】
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000089345.html

BambooBotは、自律的にフロアを巡回し空気質の計測・設備点検などができるロボットです。

巻尺を用いた独自の技術により、40cmのロボットが約2mの高さまでセンサーやカメラを昇降できます。

BambooBotは、自律的にフロアを巡回し空気質の計測・設備点検などができるロボットで、 巻尺を用いた独自の技術により、40cmのロボットが約2mの高さまでセンサーやカメラを昇降することが可能。
【画像出典】PRTIMES「環境計測や設備点検などの施設管理を人の代わりに行うロボット「BambooBot」をRoboSapiensが開発」よりスクリーンキャプチャにて作成【URL】
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000089345.html

人間では目視点検が困難な場所も含め、3次元のあらゆる位置の計測が可能となります。センサー・カメラで温度・湿度・空気質・映像などのデータを取得でき、データで点検・調査が可能です。

エアコンの状態をカメラで撮影し水漏れを点検、オフィス内の空気質を検査する、床や作業机の明るさが労働安全衛生規則を満たしているかなどを確認できます。
2023年1月からは戸田建設株式会社と共同で、「BambooBot」を用いた施設点検の自動化に関する共同研究を開始しました。

2. ドローン赤外線外壁調査で外壁診断のコスト削減を実現

埼玉県川口市にあるマンションの大規模修繕専業会社・株式会社セラフ榎本は、ドローン赤外線外壁調査の事業化により、外壁診断のコスト削減・効率化・修繕工事業の事業規模拡大を達成しました。
経済産業省関東経済産業局のホームページに、取り組みによって課題が解決した事例として掲載されています。

同社では赤外線カメラを搭載したドローンで空撮した後、サーモグラフ解析により修繕個所の調査・診断を事業化しました。
有資格者による赤外線診断や解析ソフトで、タイルの浮き・外壁のクラックなど修繕個所の可視化が実現しています。

大規模修繕専業会社・株式会社セラフ榎本は、赤外線カメラを搭載したドローンで空撮した後、サーモグラフ解析により修繕個所の調査・診断を事業化し、有資格者による赤外線診断や解析ソフトで、タイルの浮き・外壁のクラックなど修繕個所の可視化が実現している。
【画像出典】経済産業省関東経済局「新現役交流会を契機とした課題解決事例 ドローン赤外線外壁調査の事業化により、外壁診断のコスト削減・効率化及び修繕工事業の事業規模拡大を達成」よりスクリーンキャプチャにて作成【URL】
https://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/jinzai/data/2_shingeneki_jireisyu.pdf

赤外線カメラ搭載のドローン点検と解析により、修繕工事施工件数は約2倍、工事売上高は約1.5倍に増加し、調査事業の経費は約3分の1に削減できました。

3.AI ・ロボット・ドローンを活用した設備パトロールの自動化の取り組み

東北電⼒株式会社はBIPROGY株式会社と共同でAI ・ロボット・ドローンを活用したシステム開発に取り組み、上越火力1号機に設備パトロールの自動化システムを導入しました。

東北電力株式会社のプレスリリースには「自律飛行できるドローンと、自律歩行可能な陸上ロボットに搭載したカメラなどから取得した画像や振動のデータを、AI技術により自動で解析し設備の異常を検知するものです」と記されています。

ロボット・ドローンにAIを組み合わせ設備点検の自動化システムを実現した事例です。

まとめ

設備点検にロボット・ドローンを導入することで、コスト削減や点検業務の高度化が期待できます。ロボットやドローンによる点検が普及し一般的になると、コストも安くなる可能性があるでしょう。
まずはコストの低いドローンや床下ロボットの導入など、スモールスタートを検討してみましょう。

執筆者/田中あさみ FPライター。大学在学中に2級FP資格を取得、医療系の仕事に携わった後ライターに。
金融・フィンテック・不動産・相続などの記事を多数執筆。
ブログ:https://asa123001.hatenablog.com/
Twitter:https://twitter.com/writertanaka19

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