ChatGPTは仕事に活用できる? 現役ライターが使ってみた感想と利用事例5つ

ChatGPT とは?
ChatGPTはアメリカで2015年に設立された非営利の人口知能研究 会社 OpenAIが開発・提供しています。
OpenAIの設立にはテスラ社のCEOイーロン・マスク氏も携わっています。IT大手のマイクロソフト社から2019年・2021年・2023年に合 計数十億円の投資を受けパートナーシップを提携しています。
2022年の11月にリリースされ、1週間で100万人のユーザー、2カ月後の2023年1月には1億人のアクティブユーザー数を記録したことが発表されました。
ChatGPT はWeb上のテキストを学習し、文章作成や修正・プログラミングのコード作成・質問応答・機械翻訳など自然言語処理に特化したAIチャットボットです。PC・スマートフォンから利用できます。
ChatGPTに「不動産の賃貸管理で大変なことを教えてください」と入力すると以下の回答が返ってきました。
【画像出典】OpenAI「ChatGPT」よりスクリーンキャプチャにて作成【URL】https://chat.openai.com/chat
「6.税務申告」の項の「賃貸所得」という表現は間違っていますが(正しくは「不動産所得」など)おおむね合っていると言えるでしょう。
業務にはどのように活用できるのでしょうか?
ChatGPT の活用例5つ
文書・メール作成、Excelの関数・式を書くなど、賃貸管理業務におけるChatGPTの活用例5つをお伝えしていきます。
なお、画像の出典は全てOpenAI社の「ChatGPT」よりスクリーンキャプチャにて作成し ています。
- 文書作成・メール入力のベースの文章を作る
- 文章の修正
- 一般的な対処法を把握できる
- クレーム対応の補助ツールとして活用
- Excelの関数・式を書く
1.文書作成・メール入力のベースの文章を作る
ChatGPTは文章生成ツールです。マンション・アパートなどで騒音トラブルが起きた時の注意喚起の文書、メールの文章などのベースを作ってもらうことができます。
「尊敬する入居者の皆様」や敬具の使い方など不自然な部分もあります。ただし、修正するだけで注意喚起の文書ができますので、一から文章を書くより負担が少ないと言えるでしょう。
注意喚起の内容は、「夜間の○時から朝の○時まで」などの部分を規定に沿ったものに修正します。
2.文章の修正
ChatGPTは文章の修正・添削もできます。取引先へのメールを「適切な文章に」とわざと曖昧に指示してみました。
メールの送信相手が不動産のオーナーであることを理解し、「自社を選んで欲しい」という意図をくみ取りながら、丁寧な文章に修正してもらえました。
3.一般的な対処法を把握できる
業務で困ったことがあった時、人間関係で悩んだ場面などで誰かに相談できない場合でもChatGPTに対処法を聞くことが可能です。
悩み相談にかかわらずChatGPTの回答は一般的な内容が多く、「既に分かっている」「正論だがこの場面では使えない」と感じる部分もあるかもしれません。
特に「証拠を集めて意見を主張」「人事や労働組合に相談」は会社員として現実的ではない事例が多いでしょう。
しかし、自分では思いつかない対処法や第三者からの見方が分かることもあります。
4.クレーム対応の補助ツールとして活用
入居者の騒音や原状回復などのクレーム対応で、「どう返答すれば良いのか」と悩む方は多いのではないでしょうか。電話ではその場で回答する必要がありますが、接客前にシミュレーションすることでスムーズな回答ができることもあります。
また、メールの場合は回答を参考にしながら文章が作成できます。
原状回復に関する質問をしてみましたが、こちらの回答も一般的な内容で全てを参考にすることは難しそうです。質問によっては業務やメール作成のヒント・アイデアの一助になることはあるかもしれません。
5.Excelの関数・式を書く
Excelで家賃・利回りなどのシミュレーション表を作成する時には、ChatGPTに関数・式について尋ねてみましょう。
修繕費などの支出の推測値を計算・入力する必要がありますが、Excelの式が回答されました。
ChatGPTの注意点
ChatGPTを活用する際には、誤回答があり学習した情報は2021年までのデータという点に注意しましょう。
誤った回答をされることがある
ChatGPTでは質問に対して誤った回答が返ってくることがあります。
例えば当サイト「SUMAVE」は不動産テックメディアですが、どのようなサイトかを尋ねると「ECサイト」という回答でした。
アメリカのコンサルタント 会社「ユーラシア・グループ」が発表した2023年の世界の「10大リスク」をまとめた報告書によると、3位はAIの技術開発となっています。報告書にはChatGPTのような文章などを自動生成する技術により社会に偽情報があふれ、「大半の人々には真偽の見極めができなくなる」と記載されています。
あらかじめ誤情報があることを理解し、補助ツールとして利用することが重要です。
ChatGPTが学習したデータは2021年までのもの
ChatGPTが学習した情報は2021年までのデータです。2022年以降の事象は学習していないため、最新情報を反映した回答は期待できません。
ChatGPTはブログ・記事作成に利用できる? 日本語VS人工知能
ChatGPTは文章などを生成できるツールですが、ブログ・記事作成にも利用できるのでしょうか?
検索エンジン大手「Google」のウェブマスター向けガイドラインでは、AIなどで自動生成されたコンテンツをインデックスすることはスパム(迷惑)行為と明言し ています。
インデックスとはGoogle Search Console というツールを用いて記事をGoogleの検索エンジンの巡回(クローリング)の対象とすることです。インデックスされていないコンテンツは自然検索の結果には表示されません。
よってChatGPTなどAIで作成した文章を掲載することは可能ですが、ターゲット層が検索でたどり着くことはできません。
「検索流入が不要なページでインデックスせずに利用する」という方法で活用が可能ですが、前に述べたとおり誤情報を回答することもあります。
現役ライターの筆者の感想は、「現状ではあくまで補助ツールとして活用することが望ましい」です。
「日本語の難しさ」もChatGPTにとって課題の1つとなるでしょう。
筆者は日本で生まれ日本で育ち、記事作成などの場面でライターとして適切な日本語を使うよう心がけていますが「日本語は難しい」と感じます。
ひらがな、カタカナ、漢字という3種類を使い分けなければならず、特に「てにをは」や接続詩の使い方は母国語が日本語でも難解と思う場面は少なくありません。
同音異義語も多く、発音が似ている単語でも文脈・場面・使う漢字で意味が異なります。日本人の性格や文化による影響もあるでしょう。
ChatGPTはアメリカで広く利用されているため、英語の学習量が多く日本語は英語より少ないという現状 があります。英語の回答は流ちょうと言えますが、「日本語はまだ学習量が少なく不自然な部分がある」という指摘が存在します。
ChatGPT が日本語を使いこなすためには、AIの学習スピード・量がポイントとなるのではないでしょうか。
まとめ
文章生成ツールChatGPTは業務で文書やメール作成・クレーム対応などの補助ツールとして活用できます。
誤回答があり、2021までの情報ですので情報の真偽は自分で確認し「補助ツール」としての活用をおすすめします。
2023年2月現在、GoogleではChatGPTのような会話型AIサービス「Bard」を開発し、自社ブログで公開しています。今後の動向に注目していきましょう。
執筆者/田中あさみ
FPライター。大学在学中に2級FP資格を取得、医療系の仕事に携わった後ライターに。
金融・フィンテック・不動産・相続などの記事を多数執筆。
ブログ:https://asa123001.hatenablog.com/
Twitter:https://twitter.com/writertanaka19