不動産+MaaSの最新事例とは?移動手段サービス付きの物件が続々と登場

2022.12.06
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不動産+MaaSの最新事例とは?移動手段サービス付きの物件が続々と登場

SUMAVEでは以前MaaSの取り組みについて紹介してきましたが、最近はMaaSだけではなく「不動産+MaaS」事業が活況を帯びています。

今回の記事では改めてMaaSとは何かを振り返り、不動産とMaaS の関係と最新の不動産+MaaS最新事例3つをお伝えしていきます。

MaaS とは?不動産との関係も

MaaS(マース:Mobility as a Service)とは、出発地から目的地までに必要な複数の移動手段(自動車や電車・バスなど)の検索・予約・決済が一括でできるサービスです。

【画像出典】政府広報オンライン「「移動」の概念が変わる?新たな移動サービス「MaaS(マース)」」よりスクリーンキャプチャにて作成【URL】https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201912/1.html

MaaSはフィンランド・ヘルシンキで誕生し、利用者は主に「Whim(ウィム)」などのサブスクリプション(定額制)のアプリを利用しています。「Whim」では アプリをダウンロードし、利用者情報などを登録することで利用可能なタクシーやレンタカー・シェアサイクルなどを地図上で探して予約します。決済もアプリで行います。

日本でも国土交通省が日本版MaaS推進・支援事業を実施しています。

不動産とMaaS の関係

MaaSは移動をスムーズにするサービスです。エリアの利便性を向上させることができるため、MaaSの普及が不動産価格に影響を及ぼす可能性が高いです。

不動産の価格は駅・商業施設からの近さなどの利便性、建物の築年数や構造・設備、市場の動向などによって決定します。

一般的に駅から近い物件は家賃が高く駅から遠い物件は家賃が安くなる傾向にありますが、MaaSにより移動が容易になると家賃の差が小さくなる可能性があります。

またMaaSのアプリにはレンタカー・シェアサイクルにも対応しているものが多いです。
MaaSの普及・利用率向上により、公共交通機関が整備された都会から地方に移住する人が増える事が推測されます。

地方は都会より広い住宅に住むことができる、生活費をおさえられるなどのメリットがあります。MaaSの利用率が高くなると、都会から地方への移住者が増えるのではないでしょうか。
地方都市・都市圏の地価にも影響を及ぼす可能性があります。

大型スーパー やホテル・スタジアムの中には専用のシャトルバスを運行している施設が存在しており、「不動産+MaaS」がセットになっている状態と言えます。

昨今、不動産+MaaSの事業を手がける不動産会社が増えています。
最新事例3つを見ていきましょう。

「不動産+MaaS」の最新事例3つ

1. 相乗りもできる三井不動産の「&MOVE」
2. マンション×MaaS「FRECRU(フリクル)」
3. 賃貸住宅入居者向けのシェアサービス

1.相乗りもできる三井不動産の「&MOVE」

三井不動産株式会社とグループ会社の株式会社ShareTomorrowは、2021年12月に MaaSを不動産に導入する新サービス「&MOVE」を起ち上げ 、三井不動産グループが開発・運営する商業施設・ホテル・マンションへの導入することを発表しました。

「&MOVE」はアプリ「Whim」を通して、利用者の用途に合った交通手段と料金プランを提供します。交通手段はタクシー、カーシェア、シェアサイクル、シェアード・シャトル(オンデマンド型相乗りサービス)が利用できます。

【画像出典】三井不動産株式会社・株式会社 ShareTomorrow報道関係者向けリリースよりスクリーンキャプチャにて作成【URL】https://www.mitsuifudosan.co.jp/corporate/news/2021/1222/download/20211222.pdf

2022年3月からは 一部地域でタクシーの相乗りサービスもスタートしました。
SNSを通じて施設のイベント・セールの情報配信、周辺スポットや周遊ミニツアーなどのコンテンツ配信も行っています。

ショッピングモールでの買い物やホテルへの移動の場面では荷物が多くなりがちですが、MaaSで相乗りタクシー・カーシェアなどを利用できるため荷物の重さを気にせず移動できます。

2.マンション×MaaS「FRECRU(フリクル)」

日鉄興和不動産株式会社はMONET Technologies 株式会社と連携し、自社の分譲マンション向け MaaS「FRECRU(フリクル)」の実験を開始しました。

実験を行っている「リビオシティ・ルネ葛西」は、最寄り駅からバスで10分程の距離でファミリー層が多いエリアです。子育てのための送り迎えや買い物・公園への移動は、自転車や徒歩を中心にバス・タクシーを併用しています。

居住者専用のマイクロバス「FRECRU(フリクル)」が通勤時間帯にはマンションと最寄り駅を定時に複数回往復します。日中から深夜までは居住者の需要に応じてアプリを利用して予約・乗車が可能です。
車内にはチャイルドシートやベビーカーの置き場スペースも用意されています。

【画像出典】日鉄興和不動産株式会社報道関係者向けニュースリリースよりスクリーンキャプチャにて作成【URL】https://www.nskre.co.jp/company/news/2020/02/20200220.pdf

日鉄興和不動産は、物件探しの無料送迎車サービス「Smart Class(スマートクラス)」も提供しています。

利用者がサイトから希望する日時と乗車・降車ポイントを選択して予約することで、指定された日時に指定ポイントまで専用車両が迎えに来ます。車内では、モニターに物件情報の動画が流れ走行位置に連動して周辺環境を紹介するコンテンツが配信されます。

3.賃貸住宅入居者向けのシェアサービス

2020年6月から大東建託株式会社は自社の賃貸未来研究所・AI-DXラボと筑波大学システム情報系社会工学域近未来計画学研究室で「モビリティ・イノベーションと居住環境向上に関する共同研究」をスタートしました。

賃貸住宅を数多く取り扱う大東建託では、将来的に入居者の自動運転車のシェアサービスなどの需要が高まる事を予測し、筑波大学の近未来計画学研究室と共同で研究に取り組むことにしました。

ニュースリリースに よると、

大東建託グループが管理する賃貸建物の地理的な分布や入居者属性等のデータと、筑波大学近未来計画学研究室の都市計画、公共交通、自動運転に関して蓄積された研究内容を活用します。これらを組み合わせ(中略)具体的な事項について共同研究を進めていきます

と記載されています。

賃貸住宅から自動運転車で移動できるサービスがリリースされるかもしれません。

MaaS+不動産が当たり前に?

MaaSの概要、不動産とMaaS の関係、最新の不動産+MaaS最新事例3つを解説してきました。

今後MaaSが普及することで不動産価格に影響を及ぼす可能性があります。MaaSと不動産をセットで提供する不動産会社も増えていますので、今後の動向を見守っていきましょう。


執筆者/田中あさみ FPライター。大学在学中に2級FP資格を取得、医療系の仕事に携わった後ライターに。
金融・フィンテック・不動産・相続などの記事を多数執筆。
ブログ:https://asa123001.hatenablog.com/
Twitter:https://twitter.com/writertanaka19

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