いえらぶGROUP庭山健一氏インタビュー 不動産業界に関わるすべてをデジタルで繋ぎ価値を高める「仕掛け」とは

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いえらぶGROUP庭山健一氏インタビュー 不動産業界に関わるすべてをデジタルで繋ぎ価値を高める「仕掛け」とは

不動産業界をデジタルで伴走支援する

「住」を軸にIT事業を展開している「いえらぶGROUP」。中心となるSaaS「いえらぶCLOUD」は、個社では構築するハードルが高い物件情報データベースを、安価で多くの会社様に使用してもらうために始まったクラウドサービスだ。現在は不動産業務を支えるさまざまなサービス展開を行い、12,000社を超える不動産会社が利用するサービスへと成長した。同社の狙いはどこにあるのか? いえらぶGROUPの常務取締役で創業者の一人である庭山健一氏に話を聞いた。

——御社の事業領域についてお聞かせください。

庭山健一氏(以下、庭山氏):衣食住の「住」に関わる領域で事業を展開しています。

——駐車場DXの「いえらぶパーク」や保証分野の「いえらぶパートナーズ」など、その領域は幅広いです。

庭山氏:中心となっているのが「いえらぶCLOUD」と「いえらぶBB」です。基幹システムであるいえらぶCLOUDの賃貸管理機能と連携しているいえらぶBBによって、不動産仲介会社はリアルタイムで物件の空き状況などが把握できます。これにより不動産仲介会社は入居希望者と相談してピックアップした物件候補が、すでに別の申し込みで埋まってしまっていたという課題を解決できます。先ほどおっしゃったパークなどのグループ会社も含め、私どもは「住」領域の分断されているサービスを1つに繋いで利便性の向上と効率化を目指しています。

いえらぶCLOUDといえらぶBBの関係

——管理会社と仲介会社を繋ぐ「いえらぶBB」は2021年スタートですが、滑り出しはどうでしょうか?

庭山氏:始まったばかりですが、順調にユーザー数を伸ばしています。既存の流通サービスは基幹システムと連携していないことが多く、リアルタイム性に欠けることが課題でした。管理会社が基幹システムとして利用しているいえらぶCLOUDと連携していることで、仲介会社は常に最新の情報を見て広告出稿まで可能となります。管理会社としても複数のシステムを触る手間がなく、広告露出の機会を増やすことができます。無料で利用ができますから多くの方に使っていただきたいですね。

——御社は当初、Web制作から始まったと聞きます。

庭山氏:私どもは、アナログな不動産業界をいかにデジタルで変革(DX)するかということを一貫して行ってきました。当初のWeb制作も、ノウハウのない会社でも安価で導入できるようにパッケージ化し、ネット集客をできるようにしたかった。つまり今で言うDXです。その先に今のいえらぶCLOUDのようなSaaSがあった。

——デジタルを通じてどのようなことが可能となりますか。

庭山氏:「情報」を扱う不動産会社にとって必要不可欠であるデータベースの構築が可能となります。なにより、これまで不透明だった部分を可視化し、透明化を促せる。それにより生産性や業務効率があがる。働き手も少なくなる中で、重要性は増していきます。

——自社を不動産業界のIT部門と表現されることもありますが、その理由をお聞かせください。

庭山氏:私どもが不動産の仲介や管理、売買を行えば売上や事業の拡大は期待できるでしょう。しかし、それではご支援している不動産管理会社や仲介会社とライバル関係になってしまう。私たちは不動産業界の方々を伴走支援するIT部門として存在し、多くの方々の課題解決を手伝える立ち位置にいるからこそ、本当の意味で使い勝手のいいサービスが生まれ、成長できると考えています。

——不動産業界のデジタル化はどこが進むと加速しますか?

庭山氏:物件のオーナー様がデジタル化に積極的になると、管理会社も電子化を推進できるようになります。私どもはその導入ハードルを下げるために電子署名サービス 「いえらぶサイン」も展開しています。紙以上に信頼性があることを自社サービスを通じて証明し、ご納得いただける努力をしています。

会社員時代の経験がデジタル化を推進する企業立ち上げのきっかけ

庭山健一氏

——御社ではなぜ不動産業界をデジタルで変革することを目指したのでしょうか。

庭山氏:元々代表と私は、新築マンションを手がける中堅のデベロッパーに在籍していました。そこでの業務が紙中心で非効率だった。例えば土地を探すにしても、すべてエリア毎に紙で管理されており、必要に応じて毎回手作業でファイルボックスから探し出すようなことが日常的に行われていました。また、IT化が進む中で若手社員はITに慣れていない上の世代に対して、昼間はサポートもしなくてはいけない。必然的に自分の仕事は夜からスタートになる。これでは持続性は期待できません。余計な手間で本人に余裕がなくなれば、お客様の対応もおろそかになる懸念もあります。業界を変えていくために、自分たちがやらなくてはという思いで起業しました。

——実際にいえらぶCLOUDで生産性は向上しているのでしょうか?

庭山氏:はい、多くの会社様からお喜びの声をいただいています。ある会社さんは、毎月FAXを8000枚以上使っていましたが、それがゼロになりました。生産性向上だけでなく、この場合はコスト削減にもつながります。

——御社の強みと弱みはどこにありますか?

庭山氏:元々代表が前職で採用も担当していた経験もあり、トップが本当の意味での人材の重要性を知っており、スタッフは優秀でお互い切磋琢磨しています。人の力。これが強みです。弱みはあえていうと、若い世代が多く中堅層が薄いところでしょうか。新しい会社であり新しい取り組みをしているので、仕方が無いところはありますが。その分、他社にない圧倒的な機動力の高さがあります。現在でも上場しない理由も機動力を重視しているからです。

——彼らはどのようなモチベーションで入社されるのでしょうか。

庭山氏:やはりスピードとやれる範囲ではないでしょうか。大手企業では10年かからないとできないような仕事を2年、3年で成し遂げることができます。目的達成意識が強い若手には最適な場所です。私たちもそんな彼らにプロジェクトを持たせて成し遂げる手助けをする。待ち行列で並ぶだけの状態で若い時期を失ってしまうのは、もったいないと感じる人が増えてきたのでしょう。私はいいことだと思っています。

——エンジニアが多数在籍していると聞きました。開発は100%内製ですか?

庭山氏:サービスを迅速に開発・改善してお客様に満足していただくためには、内製にこだわる必要があります。私どもは100%内製。他社と比べてもエンジニアの比率は高いですね。会社の理念を理解したエンジニアだからこそ、営業も含めて他のメンバーの思いをプロダクトに反映できると考えています。現場に即したサービスを常に生み出せます。

デジタルで業界を変革し、価値を高めていくことを目指す

——「いえらぶCLOUD」によって何を変えていきたいとお考えですか?

庭山氏:「いえらぶCLOUD」も含め、会社を通じて変えていきたいのは不動産業界の印象です。日本では、不動産業界の印象が率直に言ってよろしくない。米国などでは高い地位なのに、なぜか? それは情報の不透明性にあると思っています。システムを通じて透明性を上げていくことで、業界の価値は変わると考えています。

——これからはどのようにお考えですか?

庭山氏:「いえらぶBB」を更に伸ばし、サービス群の繋ぎ合わせを急ぎます。そして、数年以内に「住」にまつわるサービス群をまとめあげている当社のフィロソフィーを海外にも展開していきたいと考えています。

——ありがとうございました。

業界の分断している事業群をデジタルで繋ぎ合わせることで、ユーザーだけでなく業界全体の変革に挑む強い姿勢を感じられた。デジタルの強さはセクションをまたいで繋ぎ合わせることができる点だ。その点を理解したうえで、同社は「住」まわりの事業を繋ぎ合わせて成長を続けているようだ。注目したいのは、COSOJIなどでも聞いた不動産業界の価値変革について、起業家たちが変えていこうとしている点だ。日本の不動産業界は情報の非対称性から、信頼を失うケースも多い。彼らの取り組みによって業界の価値が大きく変わる可能性もある。

取材・文/中村祐介
https://www.nplus-inc.co.jp/
https://twitter.com/nkmr

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