不動産業界のオンライン契約の現在地(後編)

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不動産業界のオンライン契約の現在地(後編)

不動産業界、オンライン化を求める声が調査結果から見えてきた。

前回はいい生活の取材を通じて、不動産のオンライン化について見てきました。後編の今回は、後編の今回は、GMOグローバルサイン・ホールディングスの取材を通じて「オンライン契約」について考えていきます(前編についてはこちらからご確認ください)。

不動産会社の選定基準に「オンライン契約ができる」が入るのでは?

——調査でデジタル改革関連法によって可能になる「オンラインによる不動産契約」(以下、オンライン契約)を利用したいと回答した人は81.8%にも上り、不動産売買・賃貸のいずれの場面においても高いニーズがあることがわかりました。また、契約書のやり取りを「データのほうが良い」と回答した人が43.6%となり、「紙のほうが良い」と回答した人(31.8%)を超えました。牛島さんは、以前SUMAVEのレポート記事「来年度から本格化する電子署名は、不動産業界をどう変えるのか?」にも登場されていますが、この結果についての感想をお聞かせください。


【出典】不動産の購入・賃貸を検討している方を対象に不動産DXのニーズに関する共同調査より【URL】https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000003362.000000136.html



【出典】不動産の購入・賃貸を検討している方を対象に不動産DXのニーズに関する共同調査より【URL】https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000003362.000000136.html


GMOグローバルサイン・ホールディングス 電子契約事業部 牛島直紀部長(以下、牛島氏):今回の調査結果を受け、電子化のニーズの高まりに驚いています。不動産会社様とお話をすることは多いのですが、ユーザーの声を聞く機会は少なかったので調査結果は貴重なデータだと感じています。今後は不動産会社を選ぶ基準として「オンライン契約ができる」ことが選択肢として入るのではないでしょうか。

——あらためてこれだけニーズがあることについて、牛島さんとしてはどうお考えでしょうか。

牛島氏:非常に個人的な体験を2つさせてください。1つめは私も賃貸暮らしですが、契約の更新時期になると書類が送られてきます。そのたびに保証人として父の判子をもらう必要があります。これが非常に面倒です。また、これは私が悪いのですが書類を送付できていないと、先方から催促の電話がかかってきます。このとき電車の中などだと対応できません。一方、オンラインなら移動中にスマホで対応可能です。

もう1つは私の妻が地方出身なのですが、就職のため東京へやってきた際、お義母さんも地方から一緒に出てきて仲介会社を通じて内見をし、契約をしたそうです。1日で内見して契約をするとなると、物件選びの数にも限りがあります。本当にいい物件かどうかの吟味をする時間もなくなってしまう。なぜお義母さんも一緒に行かないといけないか? それは契約で保証人として本人確認と判子の押印がいるからです。

私も含め、生活者側は、このような不便を少なからず感じてきたはずです。この不便さを解消したいという思いが、今回の調査結果に現れたのではないでしょうか。



【出典】不動産の購入・賃貸を検討している方を対象に不動産DXのニーズに関する共同調査より【URL】https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000003362.000000136.html


——ニーズがあるのに、これまでできていなかったのは業法の問題でしょうか。

牛島氏:それはもちろんあります。宅建業法や借地借家法など、不動産は業法の中で厳格なルールがあります。しかしそれが少しずつ変わってきている。ただ、来年の法改正も「紙からデジタルに変えてもいい」というものであって、紙がだめになったわけではありません。

——だからこそ、不動産会社によってデジタル化、ひいてはDX(デジタルトランスフォーメーション)が進む企業とそうでない企業に二極化していくかもしれませんね。

牛島氏:不動産業界は関係当事者が非常に多い業界です。大家・入居者・保証人・仲介などと理解を取り付けていく必要があります。デジタル化、DXを推進するにあたり、事前調整に時間はかかるでしょう。ただ、関係者が多いからこそデジタル化、DXのメリットはあるとも思います。

例えば契約書を管理会社から仲介会社に送り、入居者におくるといった作業においてメール便であれば1つ500円かかります。6人に送れば3000円です。コスト削減がシンプルにできてしまいます。

不動産業界のような既存業務の変革にパワーがいる業界というのは、裏を返せば投資した分、戻ってくる効果も高くなる可能性を秘めています。

——オンライン契約によって、牛島さんの個人的な体験は解消できますよね。

牛島氏:おっしゃる通りです。もちろん、生活者=ユーザーだけがメリットを享受するわけではありません。例えば仲介会社様の立場になった場合、どうしても土日に業務が偏ります。お客様が来店し、内見し、申し込みとなると一人あたりが1日で対応できる量に限界があります。これを契約業務はオンラインで別日でもいいとなれば、働き方の改善にもつながるのではないかと考えています。

また、お客様でいうと最初の引っ越しなどは大学の入学や就職などの時期だと思います。そうすると若い世代がターゲットとなる。彼らはデジタルネイティブ世代です。彼らにしてみると、オンラインでできない方が理解できないでしょう。結果としてオンラインでの契約ができることが、不動産会社にとっての「選ばれる理由」にもつながるのではないでしょうか。

新しい取り組みだからこその業務フローの課題

——「いい生活」の取材では、オンライン契約における業務フローの確立についての話がありました。

牛島氏:契約は基本管理会社様の業務かと思いますが、仲介会社様がハブとなっているケースもあります。これらの役割分担は各社ごとにルール化されていることもあり、そういう意味でオンライン契約においても各社ごとのルール化が為されていくのだとは思います。シンプルなのは、管理会社→仲介会社→客→大家といった形だとは思いますが、商慣行もあるので様子を見ていく段階なのかもしれません。

——オンライン契約サービスは複数ありますが、御社の強みを教えてもらえますか。

牛島氏:当社の「電子印鑑GMOサイン」は、ほぼすべて自社内で作られています。その点で法改正なども含めたトレンドへの対応の迅速さ、そしてコスト面で優位性があります。マイナンバーを含めた行政との連携・認証も得ていることで、不動産業界においては賃貸だけでなく売買においてもアプローチしやすいのが強みです。また、これは特に不動産業界の方にお伝えしたいことですが、当社のサービスはメールアドレスだけでなく、SMSにも対応しています。不動産業界でメールアドレスは取得していないが電話番号は知っているというケースは多々あるかと思います。SMSで通知ができるのはメリットといえるかと思います。

——ありがとうございました。

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