一風変わった不動産サービスを展開する万事屋本舗の業務内容や不動産テックに関する考え方を紹介

不動産に関する、顧客の様々な問題を解決している株式会社万事屋本舗。防音マンションの賃貸仲介事業や、相続税に関する相談など、一般の不動産会社とは少し違う視点でお客様を喜ばせることに注力している企業です。
今回は、同社の代表取締役である高木氏に、他社とは違う不動産事業の強みや業務内容について詳しく伺いました。
株式会社万事屋本舗の会社概要及び事業内容
高木氏:株式会社万事屋本舗の高木と申します。当社の事業内容は不動産の賃貸仲介、売買などをメインとしており「不動産に関することはなんでもやりますよ」というのがコンセプトです。賃貸を検討していたけど、やっぱり買いたいという方や、売買を考えていたけど、やっぱり賃貸の方が合っているのではないかと考えている方と色々お話をしながら解決をしていくお仕事です。
緊急事態宣言中、ブログでファンを獲得 防音マンションのニーズに対応
SUMAVE:コロナ禍による不動産賃貸業の影響について聞かせてください。
高木氏:コロナの影響に関しては、2020年の2月に創業してすぐ緊急事態宣言が出てしまい、いきなり売り上げが0になってしまいました。
しかし、緊急事態宣言中に自社のオウンドメディアで不動産に関するブログを書いていたところ、緊急事態宣言明けに多くの問い合わせがあり忙しくなりました。2020年の12月には、100件以上のお問い合わせをいただいています。問い合わせを非常に多くいただいているため、現在は予約制で対応をするという形をとっています。
成約に関しては、おかげさまで月に20〜30件ほどいただいています。防音会社の施工会社さんからも多くの問い合わせをいただいているため、これからもっと宣伝をしていこうと考えています。
SUMAVE:防音マンションの客層について聞かせてください。
高木氏:コロナ禍の影響により家にいる時間が増えたことで、今までは気にならなかった音が気になってしまう方が増え、今までは許容されていた騒音がクレームに繋がるということが多くなっています。クレームが原因で退去せざるを得なくなってしまった方が防音マンションを求めて、問い合わせをいただくことが多いです。
例えば、YouTuberの方は声を張ったりゲーム実況をするため、周りを気にして住みづらくなってしまう方も居ます。また、イベント関係の仕事をしていた方が仕事量が減ってしまい、自宅で音楽を制作できる防音環境を求めるといった事例も多かったですね。
SUMAVE:同業他社がコンセプトマンションをあまりやらない理由を教えてください。
高木氏:コンセプトマンションは実際の相場よりも高く、一般的なマンションよりもニーズが少ないので、多くの不動産会社はニーズが多い一般的なマンションに注力しているのではないでしょうか。今まで多くの不動産会社を見てきましたが、人によって色々な思いがあり、それぞれに寄り添った形で経営する不動産会社があってもいいんじゃないかと思っていたため、防音マンションといったコンセプトマンションの仲介事業に力を入れています。
SUMAVE:コンセプトマンションと一般的なマンションはどれくらい金額の差があるのでしょうか。
高木氏:1Kでいうと、10万円くらいの差があります。同等のマンションと比べて2割ほど高いというイメージです。
万事屋本舗の業務フローや主な取り組み
SUMAVE:御社の業務フローについてお聞かせください。
高木氏:弊社は、基本的に来店ではなく現地集合で内見を行います。その後、ビジネスラインでのやり取りをしながら業務を進めていきます。IT重説もZoomを使い、鍵を渡すときのみ来店をしていただく形です。防音マンションを求めている方は、やりたいことや住みたい部屋のイメージが決まっていてイメージに合ったお部屋を提案しやすいため、現地集合でも問題なく成約に繋がるのだと思います。一方で、売買に関しては予算やローンなどの兼ね合いもあるため店舗でしっかりとお話を伺います。
SUMAVE:現地集合をする方の年齢層は、若い方が多いですか?
高木氏:若い方が多いですね。
IT重説、物件登録…不動産テックの活用と、人の手が必要な業務とは
SUMAVE:不動産テックの活用方法について教えていただけますでしょうか。
高木氏:Web内覧、IT重説、スマートキーなどに活用しています。このなかで1番活用しているのはWeb内覧になります。また、物件登録や確認などはRPAを使っていて、写真の入れ替えやコメントの入力は人の手で行い、物件情報を掲載するという形です。お客様によって要望が違う物件情報を選ぶ際には、人の手が必要だと考えていて、誰にでもできる仕事はどんどん不動産テックに頼っていこうと思っています。
SUMAVE:人の手が必要な仕事と必要ではない仕事の具体例はありますか?
高木氏:写真の加工やキャッチコピーを考えることは、人の手が必要だと思います。また、弊社はYouTubeなどのコメントも重要視しており、コメントに合わせた対応も人の手が必要です。物件登録、物件の空き状況の確認などは、誰にでもできることなのでRPAを使えばいいのではと考えています。
SUMAVE:御社が運営しているオウンドメディアについてお聞かせください。
高木氏:1番のメインはYouTubeです。FacebookやTwitterなどのSNSも使っていて、それぞれが連動するように心掛けています。また、SEO対策にも力を入れており、どれだけ役に立つ情報を発信できるかということに注力しています。
SUMAVE:決済方法はどのようなツールを使っていますか?
高木氏:決済方法に関しては、クレジットカード決済が多いです。手数料も弊社で負担していて、約半分の決済はWebで決済しています。お客様にとって不動産テックがよいものであれば、今後も積極的に取り入れていく予定です。
SUMAVE:そのほかに利用を検討している不動産テックはありますか?
高木氏:追客やアフターフォローに関しては、RPAの導入を検討しています。
SUMAVE:不動産テックやWebの活用で感じている課題はありますか?
高木氏:プラットフォームがないので、導入したいRPAに対応していないサイトがあった場合、不動産テック専用のものを使うことに怖さを感じることはあり、コストもかかってきてしまうのではないかと思います。
不動産テック自体の使い勝手があまりよくないと感じていて、例えば、WebとWebを繋げようと考えたときに、ほかの業界だと簡単に繋がるのに、不動産業界は簡単に繋げることができないんですよね。これから不動産業界全体で共通規格のようなものができるといいなと思います。
SUMAVE:今後の不動産業界のIT化やデジタル化に関する意見をお聞かせください。
高木氏:物件を決めるにあたって、クリエイティブな判断は人の手が必要になると思うので、不動産テックも大事ですが、今後人手不足を解消するようなツールが出てくるといいと思います。そうすると、お客様にとっても色々な選択肢が生まれるのではないかと考えています。
SUMAVE:本日は色々とお聞かせいただき、ありがとうございました。
インタビュアー Rean Japan 高橋将人