進化するAI接客のメリットとデメリット、不動産業界の事例とは?

2022.09.28
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進化するAI接客のメリットとデメリット、不動産業界の事例とは?

AI接客とは?

AIとは人工知能を指し、私達の生活の中にはAIを活用した技術が取り入れられています。
例えばAp ple社の「Siri」、Googleの音声検索や音声入力機能、掃除ロボット、ソフトバンクロボティクスの人型ロボット「Pepper(ペッパー)」などが挙げられます。掃除ロボットやGoogleの音声検索は「利用したことがある」という方も多いのではないでしょうか。

「Pepper(ペッパー)」のようにAIは接客にも活用されています。
ホームページのカスタマーサポートにAIのチャットボットを導入することで、実際に店員と話しているように問い合わせの対応を行う会社もあります。また、AI技術やスマートフォンを活用した無人店舗も存在します。

不動産業界でもAIがユーザーの希望する物件に類似した条件の部屋を提案するツール、アバターによる接客事例があり、人件費の削減や顧客の価値体験の向上が期待できます。

企業のAI・IoT導入率は26.5%。AI接客のメリット、デメリットとは

総務省が行った「2021年 通信利用動向調査」において、企業のIoT・AIの導入状況を見ていきましょう。

総務省「令和3年通信利用動向調査の結果」
【画像出典】総務省「令和3年通信利用動向調査の結果」よりスクリーンキャプチャにて作成【URL】https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/220527_1.pdf

多くの企業がIoTやAIを導入していますが、AI接客のメリットとして第一に人件費を削減できることが挙げられます。後に紹介する不動産業界でのAI接客は物件の紹介という初期段階ですが、初期段階の接客をAIに任せる事で人員を削減できる可能性があります。

また、接客に関して均一の質を保つことが出来る、AIを通じて顧客の情報を収集できるというメリットもあります。ツールによっては24時間対応や多言語対応も可能です。

なお、通信利用動向調査では、IoT・AI導入後に「非常に効果があった」と回答した企業の割合は25.3%、「ある程度効果があった」と回答した企業は58%で合わせて83.4の企業はIoTやAIの導入に効果があったと答えています。

総務省「令和3年通信利用動向調査の結果」導入効果
【画像出典】総務省「令和3年通信利用動向調査の結果」よりスクリーンキャプチャにて作成【URL】https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/220527_1.pdf

AI接客は効果やメリットがある一方で、コストがかかる、不測の事態に対応できないというデメリットもあります。中にはAI接客を嫌がるお客さんもいるでしょう。
不動産業界での具体的なAI接客の事例を見ていきましょう。

不動産業界でのAI接客の事例3つ

不動産業界におけるAI接客の主な事例は以下の3つです。

・賃貸専門AIチャットCRM 博士のオンライン来店予約
・東急リバブルのAIアバター
・オープンハウスグループとAlgoageが共同で「AI営業スタッフ」の実証実験を開始

賃貸専門AIチャットCRM 博士のオンライン来店予約

株式会社博士.comの「博士のオンライン来店予約」は、インターネットで来店予約ができるサービスです。
来店予約機能やポータルサイト反響の取込み機能の他に、「AIによる部屋探し」機能があります。あらかじめ自社の物件情報を取り込みユーザーが希望に沿った物件を選ぶと、AIにより類似条件が絞られ、物件情報からユーザーの希望にマッチした物件提案を行います。

株式会社博士.com「賃貸専門AIチャットCRM 博士のオンライン来店予約」8【画像出典】株式会社博士.com「賃貸専門AIチャットCRM 博士のオンライン来店予約」よりスクリーンキャプチャにて作成【URL】https://www.j-s-p.com/ai_chatbot/

不動産会社にとってはAIで自社の物件をPRでき、ユーザーにとっても希望に近い物件が表示されるというメリットがあります。

また、ユーザーはAIチャットとのやりとりで部屋探しが可能で、基本的な会話パターンの他に会社ごとのオリジナルチャット設定もできます。

東急リバブルのAIアバ ター

2022年4月、東急リバブル株式会社はウェルヴィル株式会社が開発した対話エンジンを用いて、AIアバターが客と会話しながら新築マンションの販売における物件説明ができるシステムを開発しました。

東急リバブルのホームページでは

対話エンジンを搭載したアバターが、物件情報(交通、周辺環境、構造・設備仕様、間取り等)の説明を、対話をしながら進めると同時に、お客様の質問や要望にも回答し、初期段階の接客を行うものです

と記載されています。https://www.tokyu-fudosan-hd.co.jp/news/pdf/2845.pdf

顧客が説明の途中で知りたいことを質問すると、アバターは対話エンジンに組み込まれた約300通りのQ&Aやスタッフが実際に聞かれることの多い質問を基に情報を抽出し回答します。

対話エンジンに組み込まれた質問であれば、その場で物件の疑問を解決できるため顧客の満足度が高くなることが予測されます。

AIアバターは 東急リバブルの物件「ルジェンテ」シリーズや東急リバブル・銀座サロンなどに導入されています。

オープンハウスグループとAlgoageが共同で「AI営業スタッフ」の実証実験を開始

2022年7月、株式会社オープンハウスグループと株式会社Algoageは大規模言語AIを活用したチャットボット「オンラインAI営業スタッフ」の実証実験を開始しました。

東京大学で機械学習の研究をしていたメンバーが創業したAlgoageは、日本語での大規模言語AIを独自に開発・保有しAIソフトウェアソリューションの開発を行っています。
スタッフの「働き方改革」を推進し、営業のDXを目指すオープンハウスグループと「DMMチャットブースト CV」というLINE公式アカウントに搭載されたAIチャットボットを利用してAI営業スタッフ事業を提携する事が決まりました。

実証実験では「オンラインAI営業スタッフ」の試験運用を行い、顧客が本物の営業スタッフとメッセージアプリなどでやりとりしているかのように、不動産の知識を得る、物件を提案されるといった体験を提供します。最終的にはオンライン上で物件購入を可能にすることを目指しています。

Algoage
【画像出典】株式会社Algoage「Release【不動産業界初】DMMチャットブーストCVがオープンハウスと共同で「AI営業スタッフ」の実証実験を開始」よりスクリーンキャプチャにて作成【URL】https://algoage.dmm.com/news/2022/07/29/249/

株式会社Algoageのリリースには

「AI営業スタッフ」では、お客様に合わせて必要な情報を自動でパーソナライズし、またお客様が能動的に言語化・判断をせずとも、質問に答えていくだけで自分に合った家探しが進みます。これにより、あたかもプロの営業スタッフと相談しながら家探しをするような、新たな顧客体験を実現してまいります。

と記載されています。

気軽に家探しが出来ることに加え「新しい顧客体験」がポイントとなりそうです。

まとめ

AI接客とは何か、AI接客のメリットとデメリット、不動産業界のAI接客導入事例3つをお伝えしてきました。

AIによる自社物件の提案やチャットでのやり取り、アバター接客の事例に加えAI営業スタッフの実証実験など不動産業界でもAI接客の導入が進んでいます。
この記事を参考にAI接客について知り、今後に活かしていきましょう。

 

執筆者/田中あさみ FPライター。大学在学中に2級FP資格を取得、医療系の仕事に携わった後ライターに。金融・フィンテック・不動産・相続などの記事を多数執筆。
ブログ:https://asa123001.hatenablog.com/
Twitter:https://twitter.com/writertanaka19

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