テクノロジーで災害から人々を守る「防災テック」事情

2022.08.23
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テクノロジーで災害から人々を守る「防災テック」事情

大気中のCO2濃度の上昇に比例して気候変動を取り巻く状況も年々厳しさを増し、猛暑や豪雨、台風といった異常気象や天災、自然災害の多発・甚大化が世界的に課題となっています。災害から人々を守る取り組みはかつてないほど注目を集めている分野といえるかもしれません。そこで、今回は最新テクノロジーを防災に適用する防災テック事情を見ていきます。

「働くエリア」オフィス街での防災テック実証実験進む

三菱地所は、丸の内エリア(大手町・丸の内・有楽町)の防災の取り組みとして公共交通機関のTwitter情報と自動で連携し、災害対策機関での情報共有と帰宅困難者向けの情報配信を行う「災害ダッシュボードBeta」を開発、2021年11月〜2022年2月上旬まで実証実験を実施しました。具体的な内容は以下の3つです。

■実証1:災害ダッシュボードBeta デジタルサイネージ版
・千代田区、東京都、鉄道各社、インフラ企業等から発信される災害時の公式Twitter情報を、災害発生日時以降を条件に災害ダッシュボードが自動的に取り込み、発信者別に最新情報を提供する実験。データを自動的に取得して配信するので、自治体の防災担当者らがあらためて情報を入力する手間を省けます。
・千代田区と帰宅困難者等受入協定を締結したビル事業者との連携をリアルタイムで図る実験。避難者はQRコードを読み取ることでリアルタイムに施設の満空情報を把握し、地図アプリで目的地へ移動できます。

■実証2:エリア巡回バスによる災害時負傷者搬送など
・エリア巡回バス「丸の内シャトル」で車椅子に乗った負傷者を2箇所の仮救護所と診療所へ搬送する実験。バスに搭載したスマホで、車内映像と位置情報を災害対策機関用に表示する実験。これにより負傷者の状況や混雑状況を把握し、最適ルートを指示できるようにします。

■実証3:デジタルサイネージでの緊急放送を遠隔起動
・丸の内のデジタルサイネージ(丸の内ビジョン)を遠隔操作する装置の試運用(緊急切替機とスマホアプリで遠隔操作)。
・首都直下地震を想定し、模擬 TV ニュース+Twitter 情報+帰宅困難者受入施設満空情報を丸の内ビジョン全台(丸の内エリア内のデジタルサイネージ約 100 台)に放映。

オフィス街には多くの働く人が存在し、その人たちをどのように誘導していくか、守るかを検討する上では、自治体やビル事業者、デベロッパー、交通機関など複数の企業・組織の連携が不可欠。三菱地所の取り組みは他のエリアでも応用できる内容といえそうです。

自治体の避難所の混雑状況をリアルタイムで可視化する防災テック

働くエリアとは別に、居住エリアでの災害時は自治体が避難誘導を含めて多くの役割を担います。しかし、2020年夏に台風9号が九州を襲った時に自治体が運営する避難所が満員で入れないという事態が発生しました。新型コロナ対策として「3密回避」を意識し、定員を調整したことが原因です。この反省点を踏まえ、自治体で導入が進むのが避難所の混雑状況を配信するサービスです。

例えばバカンの「VACAN Maps」は地図型の画面で施設・店舗の混雑状況や空き状況を可視化できます。施設・店舗から発信した混雑情報をインターネット上で処理し、ユーザーのスマホやPCから確認できるようにします。

群馬県館林市や、兵庫県明石市、宮崎県宮崎市、新潟県長岡市、埼玉県秩父市などがバカンと災害発生時における避難所の混雑情報配信に関する協定を締結しています。

VACAN Maps
避難所の混雑状況を可視化するVACAN Maps【出典】VACAN【URL】https://corp.vacan.com/casestudy/client-interview-izumiotsu.html

防災の必要性を、1人ひとりが学ぶためのテック利用

AIG損害保険は、2022年6月15日~16日に開催された第9回「震災対策技術展」大阪で日本工営と共同開発した、津波による浸水被害を体験できるVRコンテンツを展示し、来場者に浸水被害への備えの必要性を伝えました。

約3分半のVR映像は、京セラドーム大阪の最寄り駅JR大正駅周辺が、高さ2mの浸水被害に遭ったことを想定して制作。大正駅周辺のお店や自動車、信号機などが浸水していく様子を360度見回せるバーチャル空間で体験できます。

疑似体験を通じて、災害の恐ろしさを感じることで1人ひとりの防災意識を高めていくことが期待できます。


VRコンテンツはAIG損保から大阪府西大阪治水事務所が所管する「津波・高潮ステーション」(大阪市西区)へ寄贈を予定しているといいます。【出典】AIG損害保険【URL】https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000076.000024720.html

9月1日は防災の日、防災テックに注目

9月1日は防災の日ですが、それに先駆けて防災テックのトレンドをご紹介しました。災害はいつ発生するかわかりません。オフィス街や住宅街での避難対策を自治体や企業は防災テックも導入しながら備えを進めています。一方で、1人ひとりの防災意識を高めることも重要です。災害を疑似体験することで、いざという時に迅速に対応できる備えを個人もまたしておく必要があるでしょう。

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