各地で盛り上がるワーケーションの取り組み事例 政府・自治体の狙いは「関係人口」の創出

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各地で盛り上がるワーケーションの取り組み事例 政府・自治体の狙いは「関係人口」の創出

各地で取り組みが加速するワーケーション

日本国内でワーケーションの施設や取り組みが各地で行われています。ワーケーションとは、ワーク(Work)とバケーション(Vacation)を繋いだ造語で、観光地やリゾート地で遊びながら働く過ごし方です。自宅中心のテレワークとは異なり、旅先で過ごしながら働くというのがポイントです。

2021年3月、厚生労働省の「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」が改訂されました。ここでテレワーク等を活用し、普段のオフィスと異なる場所で余暇を楽しみつつ仕事を行う、いわゆる「ワーケーション」についても、情報通信技術を利用して仕事を行う場合は、モバイル勤務、サテライトオフィス勤務の一形態として分類することができるようになっています。

ワーケーションを行うメリットはいくつかあります。例えば、これまでは月曜に出勤が必要で、土日しか旅行できなかった人が、滞在先でテレワークをすることにより長期滞在が可能になること。また、生産性・心身の健康にポジティブな効果があることも、NTTデータ経営研究所らの実証実験で発表されています。

地域にとっても、外部から人を呼び込むきっかけになることで、積極的な取り組みが行われています。まずは最近の各地の取り組みを簡単に紹介していきましょう。

ニセコは閑散期の集客策としてワーケーションに注力

国際的なスノーリゾートで知られるニセコ(北海道倶知安町)は、コンドミニアム型の宿泊施設を中心に長期滞在をして仕事をするワーケーションに向けたプランを推進します。ワーケーション情報を発信するWebサイトも立ち上げています。

一般社団法人倶知安観光協会
【出典】一般社団法人倶知安観光協会【URL】http://workationniseko.com

長野県須坂市 は関係人口(※詳細下記)を増やす狙いとしてワーケーションの取り組みを開始

長野県須坂市ではブドウ農家とワーケーション中の会社員が交流する取り組みを始めています。東京のIT企業から数名参加し、市内のゲストハウスに滞在して働きながら、農作業を手伝ったり、農家の経営課題について話し合ったりします。

福井県敦賀市は信用金庫の建物を改装し、ワーケーション施設へ

福井県敦賀市では、信用金庫の建物を改装し、コワーキングスペースと宿泊用のゲストハウスを設ける取り組みがはじまっています。5月29日にプレオープンする「FUJIONE WORKATION PLACE」がそれ。1階がコワーキングスペース、2階が長期滞在を対象にしたゲストハウスで、ゲストハウスは8月にオープン予定だといいます。

熊本県上天草市はワーケーションリゾート施設

熊本県上天草市では、ワーケーション用のリゾート施設を建築中。有明海に面した約8000平方メートルの市有地を活用し、南国リゾート風のコテージ11棟の他、シェアオフィスや会議室、カフェやサウナ・プールなども備える予定。10月に先行オープン予定です。

ワーケーションを通じて自治体は交流人口に加え、関係人口増を狙う

自治体がワーケーションに力を入れる理由の1つに「関係人口」があります。「関係人口」とは、「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域と多様に関わる人々を指す言葉です。

地方は、人口減少・高齢化で地域づくりの担い手不足が課題ですが、一部地域では変化を生み出す人材が外部から入り込んでいます。こうした「関係人口」と呼ばれる地域外の人材は地域づくりの担い手になる可能性が高く、また将来的には定住化も期待できます。

単なる旅行だと週末などの利用が多く、どうしても宿泊数は一泊二日が中心になります。滞在時間が短いため、関係人口とまでは行かず観光で終わることがほとんどです。ワーケーションなら長期滞在を期待でき、関係人口につながりやすいと見られているのです。

観光・宿泊業界から見ると、週末に集中しがちな観光客に加え、長期滞在で平日も利用してくれるワーケーション客は売上増につながる可能性が高く、ホテルや旅館でも長期滞在プランや仕事環境を意識した施設作りをしている場所も増えてきています。

不動産業界としては、リノベーションや新施設に注目できる

不動産業界としては、先述の敦賀市のように使われなくなった建物などをワーケーション施設としてリニューアルする需要が高まっている点に注目です。ワーケーション施設は仕事をすることが前提なのでインターネット環境も含めたテクノロジー面の強化も求められます。増え続ける空き家や使われなくなった学校などの施設の再利用先として、ワーケーションやサテライトオフィスを検討するケースは増えてきています。

コロナ禍を経て追い風となりそうなのが、世界経済フォーラム(WEF)が5月24日に発表した2021年版の旅行・観光開発力の調査で、初めて日本が首位になったことです(2位は米国、3位はスペインでした)。日本の観光地へ世界中の人たちが注目していることから、今後は海外からもワーケーションでやってくる人も増えるでしょう。

また、日本国内でも総務省が2021年8月時点で51.9%の企業がテレワークを導入していたと発表しました。調査を始めた1999年以来、初めて5割を超えました。感染症対策だけでなく、働き方改革や地方の活性化の観点からも政府はテレワークの定着を目指していくといいます。新しい働き方と世界が注目する観光地の組合せで、ワーケーションは今後も活気づきそうです。

文/中村祐介
株式会社エヌプラス代表。デジタル領域のビジネス開発とクリエイティブ戦略が専門。クライアントはグローバル企業から自治体まで多岐にわたる。IoTも含むデジタルトランスフォーメーション(DX)分野、スマートシティ関連に詳しい。企業の人事研修などの開発・実施も行うほか、一般社団法人おにぎり協会の代表理事として、日本の食や観光に関する事業プランニングやディレクションも行う。
https://www.nplus-inc.co.jp/
https://twitter.com/nkmr

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