マンションに広告を「新」デジタルサイネージの世界

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マンションに広告を「新」デジタルサイネージの世界

広告を表示する場所=メディアの拡張は続いている

私たちの社会で「広告」を見ない日はないでしょう。インターネットやテレビ、ラジオなどで広告は表示されています。最近では、電車の中吊り広告やタクシー広告などがデジタル化されてもきています。

広告は、企業が対象とする人々に期待する態度変容をしてもらうために流されます。買ってもらうため、知ってもらうため、好きになってもらうため。そのためにビジネスパーソンが多く利用する東京のタクシーではBtoBの広告がよく流れ、多くの人が見ているテレビでは食品、生活用品などの消費財が流れています。

この広告の掲載場として、今、注目を集めているのが屋外広告です。これまで屋外広告というと、ビルや駅の看板が中心でしたが、マンションの中にデジタルの技術を用いて広告を出すことが注目されています。特にタワーマンションには1棟で3000人以上が居住するケースもあり、1つの自治体に匹敵する人口規模のマンションが多数あります。ここに広告を表示する取り組みが活発化しているのです。

センシング技術も使い、マンションやビルのエレベーターに広告を最適表示

2022年1月、大日本印刷と日立ビルシステムは6月からマンションやオフィスビルなどのエレベーターにデジタルサイネージ(電子看板)を設置し、利用者の属性に合わせて広告や情報を配信する仕組みを提案していくと発表しました。その特徴は大きく3つあります。

1.センシング機能を持ったデジタルサイネージで最適な広告・コンテンツ配信
画面を見る人の外見上の特徴から、ある程度の年齢・性別などの属性を推定するセンシング機能を持つカメラを備え、適した広告を配信します。

2.設置場所や利用者層に合わせたコンテンツを提供
遠隔操作ができる配信管理システムを用いて、設置場所や利用者層に合わせて、広告のほかにも日付・天気予報・ニュース・占い情報などのコンテンツを配信できます。

3.マンション側に導入・運用コストの負担がない
両社は広告収入を得る代わりにデジタルサイネージ機器を貸し出します。マンションやオフィスビルのオーナーは導入・運用コストを負担せずデジタルサイネージを導入できます。広告以外に災害などの緊急時の情報やエレベーター点検予定日などの施設情報も発信可能です。

単なるデジタルサイネージだけでなく、センシング機能を持たせることでユーザーに合った情報を提供していくのが新しさです。

【出典】大日本印刷【URL】https://www.dnp.co.jp/news/detail/10162041_1587.html

マンション特化デジタルサイネージもAIセンシングを導入

マンションの設置するサイネージはエレベーターだけではありません。エントランスなどでデジタルサイネージを見た事がある人もいるのではないでしょうか。
画像や動画解析のAI技術を中心とした事業を行うニューラルポケットは、2021年11月、高級マンション向けにデジタルサイネージ広告を展開していたフォーカスチャネルを買収、子会社化しました。

フォーカスチャネルは2022年1月現在、東京都を中心に首都圏245棟のマンションにサイネージを設置しています。総戸数は5万2000戸、月間リーチ数は12万人(推計)にもなります。
※出典:https://focuschannel.com/

ニューラルポケットのデジタルサイネージも、AIカメラによる人流・属性分析や視聴状況の測定が可能。また立て看板のような形なので、電源さえあれば手軽に設置できるのも強みです。ニューラルポケットは、この買収でサイネージをメディアとして運営し、広告費で収益を上げていくのが狙いといいます。

【出典】ニューラルポケット【URL】https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS06563/da90ed2a/a5cc/4001/9451/599669c9236c/140120211022414830.pdf

デジタルサイネージ市場は伸び続けている

屋外広告はインターネット広告に次ぐ成長市場ともいわれ、注目を集めている分野です。その中で、これまであまり気づかれなかったマンションという場所をメディアとし、広告配信の場として捉える動きが加速してきています。

【出典】ニューラルポケット【URL】https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS06563/da90ed2a/a5cc/4001/9451/599669c9236c/140120211022414830.pdf

マンションのような場所で広告を配信するメリットは、生活拠点なので繰り返し目にする機会が多いということ。何度も広告を目にすることでブランドの刷り込みや理解促進が可能になります。また、1つのマンションには所得などが近い人たちが住む傾向にあるので、ターゲットを絞ったプロモーションも可能になります。今後はこうしたデジタルサイネージ事業を展開する企業も、不動産テック企業として名を連ねていくことになるかもしれません。

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