不動産仲介業者が知っておくべき仲介向け不動産テック企業・サービス21選

- 不動産仲介業における不動産テックのサービスをジャンル別に紹介
- 仲介業務を支援するサービスは大きく6つのジャンルに分けられる
- これらを仲介業が導入することでDXの推進が期待できる
不動産仲介業は不動産の売主や買主、貸主や借主の取引の仲介役です。これまでは店舗から物件案内、そして契約へという流れが一般的でしたが新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大の影響もあり、こうした常識は覆りました。従来型のやり方に加え、新しい接客や対応が求められる中、これらをサポートする不動産テック企業も多数生まれてきています。
そこで、今回は不動産仲介業者が知っておくべき不動産テック企業・サービスをジャンルごとにご紹介していきます。
「仲介業務支援」不動産テックカオスマップでいうところのここ
【画像出典元】一般社団法人 不動産テック協会https://retechjapan.org/retech-map/
仲介業務支援は、以前ご紹介した不動産テックカオスマップのこの部分になります。この中から編集部でピックアップしたサービスをご紹介します。
■非対面の個人認証サービス・決済サービス
不動産の取引は書類などが多く、直接会ってやりとりするのが一般的でしたが、現在は非対面による個人認証などのサービスが普及しはじめ、その常識にも変化が起きています。本人確認もこれまでは対面や郵送で免許証などのコピーを渡すなどして行われてきましたが、今後、不動産取引でもオンラインの本人確認の活用が広がると取引における利便性が高まることが期待されます。
LIQUID
[https://liquidinc.asia/]
スマホやPCのカメラを用いた個人認証サービス「LIQUID eKYC」などを展開。
TRUSTDOCK
[https://biz.trustdock.io/]
オンライン本人確認eKYCサービスを提供。自社のシステムに組み込みやすいAPIを提供しています。
H’OURS
[https://www.hours-eaj.com/]
売主・買主・仲介会社の間に立ち、信託口座を利用した不動産取引決済サービス。登記書類の準備などの進捗管理を行いながら、買主から信託口座に送金してもらい、事前に決済を完了させ、登記が完了したタイミングで関係者に配布します。非対面での決済が可能となり、仲介会社の担当者が行っていた進捗管理業務や日程調整が不要となります。
■Webサイト作成支援
多くの人がネットで不動産の情報を探す時代。自社のWebサイトを構築する上で、不動産の業務が「わかる」制作会社にお願いしたほうが、安心感があるというケースもあるでしょう。
smaRE(スマーレ)
[https://smare.jp/lp]
不動産売買に特化したホームページを無料で作成できるサービス。無料プランもあり、学区検索など機能を追加すると有料プランになる料金体系。東日本レインズのCSV取り込みや、LINE@、メルマガなどにも対応しています。
ダイヤモンドリテール
[https://www.diamondtail.jp/]
前述のsmaRE(スマーレ)はテンプレートなどをベースにしたサービスですが、こちらは不動産業界に特化したオリジナルデザインのホームページ制作会社。
CooRE
[https://www.coore.jp/]
不動産売買・賃貸・投資収益に関するホームページ作成をサポート。
■物件情報支援
不動産仲介業者にとって、日々動きのある物件情報の管理は非常に手間のかかるものです。この人的工数を減らすべく、不動産テック企業もさまざまな業務支援サービスを提供しています。
RIMS
[http://www.rims-info.com/]
最新の物件情報を一元管理するWebシステム。物件情報を入力し、SUUMOなどの掲載希望のポータルサイトにチェックマークをつけると広告掲載に必要な項目のエラーチェック(国内技術特許取得済)をかけられます。
Forest
[https://forest.openrm.jp/]
無料ではじめられる仲介営業ツール。レインズ図面の他社帯(オビ)をAIが自動で自社の帯(オビ)に替えてくれます。仲介業の面倒なオビ替え作業の工数を削減できます。
iimon
[https://iimon.co.jp/service]
不動産業者専用サイトで物件を検索し、必要な物件を保存するとiimonの「入力速いもん」がコンバートし、SUUMOなどの不動産ポータルサイトや自社のWebサイトに物件情報として掲載してくれます。面倒な物件入力の作業を自動化し、作業工数を削減します。
ラクテック反響倍増くん
[https://www.retechraas.com/hankyobaizokun/]
iimonの「入力速いもん」と同様に、コンバートして物件入力の作業工数を大幅に削減。AIによる反響予測もあり、物件の選定もサポートしています。
■追客支援
不動産営業において、見込み客を追客していくことも重要な営業活動のひとつです。自動メール配信やSMS、チャットフォームなどで追客を支援するサービスが多数登場していきています。
SMS Hunter
[https://www.smshunter.net/]
携帯電話やスマートフォンのSMS(ショートメッセージサービス)で見込み客を長期追客するサービス。見込み客に開封率の高いSMSでステップメールを送信し継続的にコンタクトを取り続けます。
KASIKA
[https://cocolive.co.jp/]
住宅・不動産業界に特化したMA(マーケティングオートメーション)ツール。自動で長期追客し、優良顧客などをリストアップしていく機能を持ちます。
nomad cloud
[https://lp.itandibb.com/crm/]
追客に特化した顧客管理システム。追客メールの送信などを自動化し、反響の取り込みも可能。
アトリク
[https://atlicu.jp/]
チャットをベースにした追客サービスを提供。メールではなくチャットという点が他との違いであり強み。
■内見支援
物件の内見は、非接触・非対面ではなかなか難しいと思われがちですが、多くの企業・サービスがその課題に向き合っています。内見を一度した後はVRで確認できる「ミカエル」や、内見の作業工数を減らす「Sumai Entry」などがあります。
ミカエル
[https://mikaeru.net/]
VR内見のサービス。お客様の案内中に、同社のスタッフが撮影、VR化。内見時に必要なければ撮影はしない形で、検討したい物件だけをVRにして、自宅などにいながら何度でもVRで部屋の中身を確認できるサービス。
Sumai Entry
[https://sumai-entry.jp/]
いい生活が提供する内見予約サービス。内見は電話やメールで都度調整が一般的でしたが、同社の賃貸仲介・賃貸管理の基幹システム「ESいい物件One」と連動すると、最新の物件情報と内見予約システムが連携でき、内見予約管理業務の作業工数が削減できます。
スマサポ内覧サービス
[https://www.sumasapo.co.jp/]
どのような形状の鍵でも取り付け可能なキーボックスと、エントランスの開閉システム、この2つをスマートフォンのアプリで予約し、解錠することで、鍵の受け渡しの手間を削減します。鍵の開閉に関わる「いつ」「だれが」「どの物件を」の情報は、全て管理画面に記録されます。
■ネットワーク・マッチング
仲介業務の枠を少し超えて、オンラインによる同業他社同士のマッチングなどの新しいサービスも登場してきています。不動産業界は、自分たちだけが持っている情報を基にビジネスを展開するケースも多く、同業他社同士がつながりやすい環境とはいえませんでした。
TRGは不動産仲介業者などが会社を超えて人と人でつながるネットワークサービスで、こうした課題の解決を目指しています。また、「家やすっ!」や、「顧問不動産」など、これまで不動産業者と知り合いであったり、大手企業でないとあまり活用できていなかった「不動産業のプロ」の知見を「サービス」として提供するケースも出てきています。
TRG(トラジ)
[https://trg-group.jp/]
全国の不動産営業マンとつながり、コミュニティをつくれる不動産業者専用アプリ。ユーザーは個人の不動産営業マンで、アプリ内でマッチングを可能にします。
家やすっ!
[https://www.ieyasu.tokyo/]
東京23区の売買物件に限定している売買支援サービス。物件購入希望者は、会員登録すると不動産購入に関する相談ができます。同社では最安値での不動産購入に特化し、値引き交渉などを行います。
顧問不動産
[http://www.comonfudosan.com/]
法人向けの不動産のプロフェッショナルを顧問として利用できるサービス。月額3万円から利用できます。社宅契約やオフィス移転などでのアドバイス業務なども含めて提供。
物件会議
[https://bukkenkaigi.com/main/]
マンツーマンのチャット形式で、不動産業者の売り手と買い手を直接つなぐプラットフォームサービス。買い手は条件を入れて待つだけで、今までつながりのなかった企業からも物件情報を手に入れ、担当者とマンツーマンでやりとりをすることが可能に。
不動産業の仲介業務で、特に賃貸業では以前、SUMAVEでもiettyをご紹介しています。同社もまた、カオスマップの仲介業務に組み込まれているサービスですが、このようにiettyとは異なる様々なジャンルで仲介業務に関わる不動産テックサービスが登場しています。自社にこうしたサービスを取り込むことで、事業拡大やコスト削減を期待できるのではないでしょうか。