ミクロマーケティングでローカルニーズに切り込め!不動産業界におけるソーシャルメディア活用の可能性

- ソーシャルメディアは世界的に普及している
- SNSを利用したソーシャルメディアマーケティングは参入しやすく効果が得やすい
- 不動産営業においてはローカルニーズに集中し、ミクロマーケティングを行うFacebookの「グループ」機能の活用が効果的である
ソーシャルメディア の世界的普及
いまや私たちの生活のなかにすっかり溶け込んだ(*1)ソーシャルメディア。メールよりも簡単にメッセージのやり取りができるLINEやTwitter、個人の趣味や嗜好を軸に情報発信ができるFacebook、画像をメインに他の人と交流ができるInstagramなど、さまざまなツールが普及しています。
本格的なSNS時代の到来は2004年といわれています。この年、かつて国内で一世を風靡したmixi、マイクロソフト主体のMSN Spaces、そしてFacebookがサービスを開始しました。翌2005年にはYouTube、2006年にはTwitter、ニコニコ動画がスタートしています。
ただし、一部のSNSサービスの日本上陸は若干のタイムラグがあり、FacebookとTwitterは2008年、YouTubeの日本語対応は2007年です。
そして2011年にはすっかりコミュニケーションツールとして浸透したLINEがサービスを開始しました。
こうしたSNSはインターネットをより身近なものとし、その利用者数を急速に伸ばしてきました。
SNSを世界的な地位に押し上げたFacebookのユーザー数は2008年8月に全世界で1億人を突破、2009年12月には3.5億人を突破しました。2017年の月間アクティブユーザー数は国内2,800万人、海外22億3,000万人を記録。今も世界を代表するSNSの地位を守っています。
Facebookだけにとどまらず、前述のLINEやTwitterもユーザー数を伸ばしており、スマートフォンでSNSを使うのはすでに日常の光景となっています。
ソーシャルメディアの用途は、近年多様化しており、プライベートだけではなくビジネスの世界でも活用されています。
*1)ソーシャルメディア
インターネット上で情報発信や連絡をおこなうメディアのことです。「ソーシャル」という名前が示すように、親しい人同士だけでなく、知り合ったばかりの人や、知らない人同士でもソーシャルメディアによって社会的なつながりをもつことができます。代表的なメディアは、Facebook、Twitter、InstagramなどのいわゆるSNSのほか、アメーバブログなどのブログサイト、YouTubeなどの動画投稿サイトが挙げられます。
ソーシャルメディアマーケティングの4つのメリット
ビジネスにおけるソーシャルメディアの活用は「ソーシャルメディアマーケティング」とも呼ばれ、マスメディアや雑誌などを活用した従来のマーケティングと同様に、ブランディングや商品の販売促進に活用されています。
ソーシャルメディアマーケティングのひとつとして、Facebookのビジネスページの活用がありますが、ビジネスページは、2015年に4,000万ページだったものが2017年4月には6,500万ページに達するなど拡大を続けています。
ソーシャルメディアマーケティングには以下のようなメリットがあります。
1.コストを掛けずいますぐ参入できる
ソーシャルメディアマーケティングをおこなうために広告代理店は必須ではありません。手始めにFacebookやTwitterなどのアカウントを管理する担当者を1人おけば、いますぐ始めることができます。この導入に際してのハードルの低さが、ソーシャルメディアマーケティングを活用する大きなメリットといえます。
2.コーポレートサイトを活用するよりも顧客との距離を縮めやすい
ソーシャルメディアがビジネスで活用される以前は、企業のインターネット上のブランディングや商品販促は、いわゆる企業のコーポレートサイトが一般でした。
しかし、コーポレートサイトを活用したマーケティングでは、基本的に情報発信が企業からの一方通行になりがちで、消費者からの反響を知り新たな販売戦略を立案するには情報が不足しがちでした。
その点、ソーシャルメディアは、企業が発信した情報に対してユーザーが直接返信をするといった、双方向の情報発信を可能にしました。しかも、Twitter・Facebook等は、インターフェースの特性上、プライベートでの友人とのやりとりと、企業からの発信が、同じタイムライン上で、シームレスに表示されます。 そのため企業も、通常のサイトでは発信しにくい、くだけた内容の情報を発信したり、友達との会話のようなフランクな語り口調を用いたりすることもできます。例えば旅館などの運営するFacebookでは、シーズンごとの料理のメニュー紹介や、宿泊のサービスプランを紹介することが考えられますが、それだけではなく、宿泊したお客さまとの触れ合いや、新人スタッフによる修行の様子などを載せることができます。どんなスタッフがどんな思いで働いているか、という情報をその都度、本人の言葉で掲載することができるので、一度来たユーザーや、利用しようか迷っているユーザーとの心理的な距離を縮めることができます。柔軟に情報を発信できるSNSは、企業とユーザー間の壁を低くし、親近感を湧かせやすいという大きな特徴があります。
3.無料で始めることができる
一般的に従来のメディアでは、広告費などに一定規模の予算をかけないとマーケティングを行うことはできないと言われています。なぜなら、新聞・雑誌・ラジオ・テレビといったいわゆるマスコミ四媒体の広告費用は高額だからです。たとえば、読売新聞に全国版の1ページ広告を出す場合は約4800万円、日本テレビやフジテレビジョンなど在京キー局の地上波テレビ広告のCM放送料金(15秒のCMを1回放送するごと・制作費は別)は40万円から75万円が相場となっており、広告に多額の予算を充てられる企業でなければなりませんでした。
その一方、インターネット上のソーシャルメディアは、自社のアカウントを使って少額予算でもマーケティングをおこなうことができます。Facebook、Twitter、Instagramなど多くの媒体はアカウント開設が無料のため、最初の段階ではほとんど費用がからないといってもよいでしょう。運用する際も多額の予算を投下して余計なシステムを導入する必要もなく、1人の担当者が一定の頻度で情報を更新するだけでもひとつの施策になるため、人件費の負担も少なくて済みます。
4.効果測定がしやすい
ソーシャルメディアマーケティングでは、簡単にWEB上で効果測定をすることができます。
見込み客の集客力を図る指標の例としては、Facebookの「いいね!」やTwitterの「リツイート」などが挙げられます。こうした数の増加は企業のブランディングイメージ高め、自社商品やサービスへの購買意欲を高めることにつながります。
アライドアーキテクツ社が日常的にFacebookやTwitterを利用している3,500名に調査したデータによると、企業の公式アカウントから情報を取得している人のうち43%が実際に購入したことがあり、33%が「機会があれば購入したい」と答えています。
不動産業界におけるソーシャルメディアの活用方法
ソーシャルメディアマーケティングは参入障壁が低い一方、広告効率の高い手法として世界的に高まりを見せています。国内でもその傾向は同様で、ビジネスにおける活用に複数のメリットがあるため、広告戦略の柱として導入を検討しているケースが増えています。
スタートがしやすいマーケティング方法ではありますが、具体的な活用方法は多岐にわたり、業界によってもアプローチの仕方が異なります。
不動産業界におけるソーシャルメディアの活用方法のポイントは「地域」にあります。「地域」というセグメントから離れられない不動産会社だからこそ、ローカルニーズを限定して広告を集中させるミクロマーケティングを取り入れることが重要です。
そこで注目したいのが、Facebookのグループ機能です。
●Facebookの「グループ」活用で潜在顧客を生み出す
Facebookには「グループ」と呼ばれる機能があります。これは、趣味などの共通テーマによってグループを作り、メンバーが情報交換や交流をできるという機能です。一方的な情報発信のみを意図するなら、企業用のFacebookページを開設・運営すれば十分です。
一方、グループ機能を利用すれば、グループ内のメンバー同士による情報発信の流れを生み出せるのがポイントです。企業は管理者でありながら、ときにはメンバーの一員にもなるという双方向のコミュニケーションが生まれるため、他のグループメンバーの興味関心を把握しながら、情報発信が可能です。
不動産業界においては、このFacebookのグループを活用することで、ターゲット地域の潜在顧客を生み出すことが可能です。
具体的には、まずターゲット地域のグループを作成して管理者となり、その地域に関係するユーザーをメンバーとして参加させます。グループには地域によって参加者を招待する機能があり、この機能をメンバー選定に利用することができます。
グループにおいてメンバー間では、住宅市場などの不動産関係だけでなく、地域のイベントやビジネスについてなど、ローカルなテーマに関して話してもらうようにします。管理者としてリーダーシップを取り、地域のイベントやスポット情報などを発信することなどが考えられます。時にはアンケートを取ったり、メンバーへの問いかけを行うのもよいでしょう。
ポイントとなるのは、自身がグループ内で頼れる不動産会社としての地位を確立し、その立場からメンバーに有益な情報を届けることで交流を深めることです。このアプローチが成功すれば、メンバーの中から将来的な顧客をつくり出すことが可能になります。
しかし、人的なリソースが少なく、ソーシャルメディアの利用経験も浅い企業にとっては、始めからグループを管理することは負担になるかもしれません。その場合、地域に既にグループがあるようであれば、そこに参加して情報発信を始める方法もあります。この方法においても、立場は違えども、ゴールとするところは潜在顧客を生み出すことであり、他のメンバーが不動産関連のことで困っているときに、有益な情報を与えて解決してあげることで、信頼を獲得していきます。
まとめ
不動産業界におけるソーシャルメディア活用は、ミクロマーケティングが成功の鍵を握っています。地域に根ざしたビジネスモデルである業界の特質上、ローカルニーズに照準を合わせた広告戦略が必要だからです。ソーシャルメディアなら、ローコストでミクロマーケティングをスタートすることができます。
しかもミクロマーケティングは、企業のブランド力より「ユーザーをいかに巻き込めるか」といったSNS活用の手腕が成否を分けるため、広告予算の少ない中小企業が大企業より大きな広告効果を得られることも夢ではありません。企業アカウントはもちろん、店舗や事業所単位でビジネスアカウントを開設し、相互に連携させながら見込み客の取り込みや購買意欲のアップに注力することが今後の不動産会社の大きな力となるでしょう。
もしいまソーシャルメディア活用の幅が限定されていると感じられているようであれば、不動産業界に合わせたミクロマーケティングにトライしてみてはいかがでしょうか。