2015年から不動産テックを使う仲介会社が、オンライン内見の効果を語る

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2015年から不動産テックを使う仲介会社が、オンライン内見の効果を語る

はじめに

賃貸仲介を得意にしているハウスコム株式会社は、業界のなかでもいち早く不動産テックを活用しています。以前、その取り組み内容を同社のサービス・イノベーション室室長の安達文昭氏(画像下右)より聞きました。コロナによって非対面・非接触型の社会ムードが色濃く残るいま、不動産業界に求められているのは、さまざまな業務のオンライン化です。その切迫感は同社になく、あるのは、粛々と、顧客が求める部屋探しをサポートするという雰囲気です。不動産テックを使いこなす同社において、DX(デジタルトランスフォーメーション)のキーマンである安達氏は、仲介業務のオンライン化やITツールを大局的にとらえています。片鱗は、先日の不動産テックセミナーで顔をのぞかせました。質疑応答に対応する安達氏のコメントには、近視眼的にDXをとらえておらず、どことなく”軸”があることをうかがわせます。この軸に触れると話が長くなるため本記事では割愛しますが、不動産テックを使いこなす不動産会社のマインドに今回の記事で触れていただければと思います。

今回は、611日の不動産テックウェビナー、「withコロナ「内見数をふやす!」最新の内見用ツール特集!(後編)」より、質疑応答を抜粋しました。株式会社Tryell(トライエル)が提供している不動産テックサービス『オンライン内見』を2015年から使っている不動産会社は、オンラインによる内見やIT重説をどうとらえているのか。リアルな声を紹介します。

『オンライン内見』のほかに、LINE、Zoom、Skypeが人気

Q1:入居希望者は、オンラインでの内見をしたあとに、実際の部屋をみに来ますか?

安達:オンラインでの内見をしたからといって、リアルな実際の内見をしないってことは、ほとんどありません。見に来ます。この手の話が結構、ごちゃごちゃになっている業界関係者のかたがおられますが、お客様の行動が論より証拠です。弊社の実績から見て、「基本的に、オンラインの内見とリアルの内見は別物である」と、私は思っています。お客様がそうおっしゃっている、ということなのだと理解しています。「オンラインで内見したからリアルで物件を見なくていいよ」という感覚のお客様はほとんどいません。これを私はお客様より教わりました。もう1つ、当社の実績から見えてきたのは、オンライン内見をした、ほとんどのお客様が実際の物件を内見するということです。100%とはいいませんが、9割のお客様が実際の物件をご覧になります。これはイコール、お客様に来店していただける、ということでもあります。さらに、そのお客様が成約にいたるケースは非常に多いというのが現状です。

 

Q2:オンラインでの内見をして、確定させたいから、リアルな内見をするということですか?

安達:おそらくそうなのでしょう。自分の目で見たいと。これについては社内でも、よく議論の的になりますが、正直、私も“リアルな内見をしたい派”です笑。自分で見たい。「安達さんがお客さんの立場で、引っ越しで部屋を借りるとき、物件をリアルで内見しなくてよいですか」と聞かれれば、内見したいです。じゃあ、そうなったとき、オンラインでの内見の価値ってなんだろうという話なんです。現時点で明らかなのは、オンライン上での内見だけでは伝えきれない情報があるということです。他方で、オンラインでの内見で、お客様へ伝えることができる情報は想像以上に多く、実際に取り組むとその効果の大きさに驚かされました。よって、「伝えることができる情報は伝えますが、建物/部屋の全部をいまのテクノロジーで伝えきることはできないかな」という印象を持っています。建物/部屋の感覚をお客様はオンラインでの内見によって、しっかり把握しますが、「リアルな物件を見たい」そうおっしゃるお客様は多いです。

 

Q3:『オンライン内見』をされた、お客様の反応は?

安達:基本的に反応はよいです。直近の繁忙期にあったことをいうと、お客様からお礼の連絡をいただきました。親御さんからです。

今回、娘の部屋探しで、ハウスコムさんありがとうございます。コロナにもかかわらず、スタッフの人は現地まで行ってビデオをつないてライブで内見させてくれて、感動しました

安達:そのようなお手紙です。当社のお客様相談室に、そうしたお手紙やメールが届くことが、ときどきあります。オンラインによる内見を希望するお客様は、比較的に前向きですね。提案されたので仕方なく付き合う、というように、イヤイヤ取り組むような後ろ向きの姿勢ではありません。なので、お客様の反応はもちろん、よいです。電波、画質、音声が途中で切れるなど、テクニカルな不満がゼロだとはいいません。そこを『オンライン内見』を提供してくれたトライエルの野田社長と、いまも協議しています。Zoomを使ってやってても、映像がカクカクするもことはありますよね。それと一緒です。そうした不満や、わずらわしさをご指摘いただくことはあります。

 

Q4:都市部はよかったけど地方はイマイチだった、といったエリアによる『オンライン内見』の違いはありますか?

安達:まったく関係ないですね。たとえば、東京都大田区に蒲田という地域があります。そこで、お客様が部屋を探しているとしましょう。当社の仲介店舗、蒲田店にそのお客様より問い合わせがあるわけです。オンラインでの内見をすることになりましたと。スタッフがお客様へ聞きます。

いま、お客様はどこに住んでいるのですか?

 

蒲田です

安達:つまり、いまの住まいから引っ越し先が離れている、という人だけが、オンラインでの内見を希望するわけではないのです。オンライン接客やIT重説についても同じことがいえます。離れている人のためのサービスではない。お客様からすると、いまの状況の自分にとっての移動時間や、それにたいするコストの問題なんです。それを減らしたいということなら、オンラインでの内見、接客を利用したいということなんですね。削減できるのであれば、オンライン内見やオンライン接客、IT重説をやってほしいわけなのです。それを提供してくれる不動産会社があれば、非常に、喜ばれるということなのだと実感しています。

 

Q5:『オンライン内見』を利用するユーザー属性に傾向はありますか?

安達:あります。本日のウェビナーにご参加の業界関係者のみなさんは、なんとなく想像がつくと思いますが、その想像通りです。オンラインでの内見を利用するお客様は、若いかたが非常に多いです。そもそも、ハウスコムの店舗に来店されるペルソナは25から35歳くらいで、この層から、もっとも多くのお問い合わせをいただきます。比較的に若い年代の“デジタルネイティブ”とされる世代です。ITツールやインターネットに、とても慣れています。オンラインでの内見を利用するそうしたお客様の反応を知ったいま、思うことがあります。それは、そういう人たちからの反響が店舗に入ったとき、私たちのほうから、「オンライン接客もできますが、いかがですか」といった提案をしてもよいのではないか、ということです。なぜなら、お客様より喜ばれることが多いから。同時に、店舗スタッフの労力も軽減されますので、店舗スタッフとお客様の両者とってメリットがあると考えています。

 

Q6IT重説についての質問です。ハウスコムさんではIT重説も積極的に実施しているとのことですが、件数をたくさん、こなすために工夫していることはあります?

安達:さきほどの話の続きになりますが、私たちのほうからお客様へご提案することが1つ、重要です。「IT重説ができるんですが、やりませんか」と。ポイントは、すべてのお客様へご提案するという点です。

 

Q7:オンラインでの内見時に『オンライン内見』ではないツールを使いたい、というユーザーの声はありましたか?

安達:ありましたし、実際に当社でも対応しています。お客様からの要望で、もっとも多いのはLINEのビデオ通話です。次がZoom、Skypeの順になります。IT重説については、トライエルさんと一緒に作った自社ツールがあるので、ハウスコムではそれを使っています。

 

Q8:オンラインでの内見をした人の9割が来客(リアルな内見を)するとのことですが、『オンライン内見』は、あくまでも集客のためのツールという認識ですか?

安達:そういう話ではありません。集客にも当然、使えますし、コロナ禍ということで非接触によるお客様とやり取りをするためのツールでもあり、当社の実績から成約率が上がることもわかっているので成約率を高めるためのものでもあるし、リアルな内見→成約へと結び付けやすいことから、その動機付けとしてのツールでもある、ということですね。

 

Q9:オンラインでの内見をしたあとのクロージングもオンラインでやりますか?

安達:やりますし、リアルでもする。つまり、両方やります。『オンライン内見』では、ライブ中継されていますので、そこでのお部屋説明などのあとには、そのまま一生懸命クロージングします。お客様が来店されるのであれば、そのときはリアルでクロージングをするという話です。

 

Q10:自社の経営層やオーナー様に、「いかに、不動産業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)が遅れているか」を改めて、コロナ禍のいまにわかってもらいたいのですが、どんな説明をしたらよいでしょうか?

安達:私の場合の話をいうと、第三者の専門家を連れてきて、その人物に話してもらうということをしています。実は、社内で私が、「DXとはこうだ」という話をしても、「そんなのダメだよ」と一蹴されることもあるんです。そういう気配を察知したときは、同じ話を私ではなく、その道の専門家に話してもらいます。

本当に、ハウスコムさん、ダメですよ

 

このままだと陳腐化しちゃいますよ

安達:それを私がいうんじゃなく、第三者の専門家に語ってもらうと、「じゃあ、やってみようか」となることもあります。身内が身内の問題を指摘するよりも、外からいわれたほうが真っすぐに刺さる。専門家に語ってもらった内容を自分で実現できないなら、当然、できる人たちを外からさらに連れてきて、巻き込みます。そうしてDXに取り組む姿勢が重要だ、というのが私の考えです。

 

 

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