シリコンバレー4つ常識。マーケットプレイス型でユニコーンを目指すならネットワークエフェクトが最強

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シリコンバレー4つ常識。マーケットプレイス型でユニコーンを目指すならネットワークエフェクトが最強

はじめに 

2020年5月29日に、株式会社デジタルベースキャピタル(以下、DBC)、PropTech JAPANが不動産テックセミナーを開催しました。ウェビナーのテーマは、「アフターコロナ時代におけるPropTechの未来とは」です。登壇者は以下の4名です。

左から順に紹介すると、昨日(6月11日)に、⽇本不動産プラットフォームとして、中華圏最⼤級ともいわれる「神居秒算」事業の取得(M&A)を発表したGA technologiesのCEO・樋口龍氏、米国サンフランシスコにて不動産テックサービスを展開する『Anyplace』のCEOである内藤聡氏、物件確認がいらないリアルタイム不動産業者間サイト『ITANDI BB』を昨日リリースしたイタンジの代表取締役社長・野口真平氏、司会の桜井駿氏です。桜井氏は、DBCの代表で、日本初となる不動産テック/PropTech特化型ベンチャーキャピタルを運営しています。内藤氏は、2018年Forbes JAPANが選ぶ、次世代を担う30歳未満のイノベーター30人を選出する特集で、「ポスト山田進太郎」とされる注目の若手起業家です。米国で、ホテルを予約するように、簡単に賃貸契約ができるプラットフォームを提供しています。本記事は、その内藤氏のコメントのハイライト部分をピックアップした記事です。

「オフィスなし」「フルリモートワーク」の流れは、サンフランシススコでも強まる


桜井:内藤さん、今後の事業投資についてはどうお考えですか?

内藤:コロナ後だから、ということではなく、投資をしていく領域として“ココ”という部分は、もともと決めていました。シリコンバレーでは、資金調達のときにVCに会うと必ず聞かれる質問があります。「君たちのディフェンシビリティはどこ?」「事業の優位性は?」という質問です。こっちでユニコーンになっている企業には、強いディフェンシビリティがあるんです。大別して4つ。これはシリコンバレーの常識になっています。

  • ネットワークエフェクト
  • ブランド
  • スケール(規模の経済)
  • エンベット(スイッチングコストの高さ)

内藤:この4つのどれかにあてはまるサービスなのかを投資家から見定められます。なかでも、ネットワークエフェクトはもっとも強力なディフェンシビリティとされていて、Airbnbのようなマーケットプレイス型のビジネス/プロダクトにおいて、もっとも大事なのがネットワークエフェストです。ネットワークエフェクトとは、新しい利用者が増えれば増えるほど、すでにいる利用者にとってのサービス/プロダクト価値が上がるようなことを指します。

Airbnbなら、ホストが増えることで、多くの宿泊先のなかから泊まりたい宿をゲストが選ぶことができます。たくさんのなかから宿を選べるので、ゲストがうれしい。すると新しいゲストが増えます。新しいゲストが増えると、すでに登録しているホストはうれしい。新しいゲストを獲得したいから既存ホストが、新たにリスティングするわけです。「ホストにとってうれしいサイト」ということになりますから、新しいホストを呼び込めます。新しいホストが増えると、既存のゲストは、従来よりもさらに多くの場所から宿泊先を選べる。こんな好循環が生まれ、サービス/プロダクトの価値が高まることをネットワークエフェクトといいます。いまは、私たち『Anyplace』にとって、グローバル規模でネットワークエフェストを生み出すチャンスをとらえているので、そこへの投資に注力したいと考えています。


桜井:コロナの影響をふまえ、会社として大事にしているキーワードは?

内藤:キーワードとして”あるな”と思っているのは、リモートワークです。コロナが私たちにもたらしたものとは、いわばワープ。私たちの時計の針を強制的に2、3年、進めているんだと思います。いまは、リモートワークを強制的に導入せざるを得ない。コロナが終息へ向かうなか、リモートワークを導入したほとんどの会社の働きかたは、それ以前に戻るでしょう。オフィスでパフォーマンスがあがる社員もいるからです。でも、一部の会社はリモートワークを継続します。ECを例に挙げると、eコマースが誕生して20年くらいがたちますが、私たちの消費のほとんどは、いまもリアル店舗です。リモートワークについても、急にすべてがリモートワークになるわけではない。ただし、IT業界の若い人たちからすると、「リモートワークで大丈夫な職種があるんだ」という認識も広がっています。そこに気づく若くて優秀な人たちが増えたとき、オフィスのありかたは変化するかもしれません。どういう変化が起こるかには注目しています。


桜井:サンフランシスコの内藤さんたちは、コロナ前から、リモートでいろんな国籍の人と働いていると思います。働きかたの観点で、チームマネジメントなどにコロナの影響はありましたか?

内藤:私たちは、ほとんどありません。サンフランシスコの場合、コロナ以前からフルリモートワークの会社はいくつもあります。GitLab、Automatticなどなど。社員が500、1,000名いて、数百億円の売上があるようなユニコーン企業なのにオフィスがない。サンフランシスコには、そういう会社がコロナ以前より存在しています。一方で、投資家やVCからすると、オフィスのないフルリモートの会社というのはネガティブにとらえられていました。企業文化が育たない、などの理由からです。しかし、今後はフルリモート、オフィスなしのような組織が増えていくんじゃないかと感じています。いまは、リモートワークを積極的に活用して、優秀な人材を世界中から採用する流れです。リモートワーカー向けのツールなども次々に登場しています。そういう意味では、デジタルノマドと呼ばれるような人たちをどれだけエンゲージできるかも、これからの組織においては重要です。

おわりに

着目される戦力はデジタルノマドだけではありません。国内では、埋もれた戦力を掘り起こすという意味で、通勤や出社が難しい障がい者を重要な戦力として雇うという取り組みが注目を浴びています。たとえば、eスポーツの大会を利用したものです。障がい者と企業の採用担当者をeスポーツの大会を通じてマッチングさせます。障がい者は、eスポーツで自分のスキルを披露し、そのスキルを採用担当者は見極めます。そして、後日に採用面接の機会を設けるのです。障がい者からすると、従来は、出社義務があったことで勤めることが難しかった。ところが、テレワークへの理解・整備が進んだコロナ禍では、正規雇用への道が開かれつつあります。疾患により満員電車による通勤は難しいが、高度なプログラミングや動画編集スキルは持っている障がい者と、テレワークの意識と環境が整う企業をマッチングさせるわけです。企業側は、新しい戦力として障がい者を採用します。

不動産業界に置き換えると、たとえば、IT重説の専任者などが考えられるでしょう。不動産会社に勤めていた専業主婦をIT重説専任者として雇う。テレワークが進めば、今後はそうした取り組みが増える可能性が見込めます。重説を受け持ってくれるスタッフの存在は、もっとも力をいれたい店舗接客への注力にもつながるため、一石二鳥です。すでに、そうした取り組みを検討している不動産会社に取材を通じて出会いました。アイデアを膨らませるなら、オンライン接客に同じような考えかたを当てはめることができるでしょう。コールセンターがIT重説を請け負ったり、IT重説のプロを名乗るフリーランスの主婦が現れたりする日は、そう遠くない未来なのかもしれません。

 

 

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