「営業所長やマーケ部ではなく、営業担当者が使うべき」MAで不動産営業の新たな勝ち筋をつくる

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「営業所長やマーケ部ではなく、営業担当者が使うべき」MAで不動産営業の新たな勝ち筋をつくる

はじめに 

2020年3月10日に、Cocolive 株式会社(以下、ココリブ)の不動産業界特化型マーケティングオートメーションツール『KASIKA』と、アルヒ株式会社の住宅ローン機能である、「家探し前クイック事前審査」の連携が発表されました。この提携により『KASIKA』を導入している不動産会社の営業担当者は、審査情報や審査結果を顧客と同じタイミングで知ることができるようになります。

画像出典元:アルヒHPのプレスリリース

その4日前には、ココリブは、住宅業界でのSNSマーケティングに強みを持つ株式会社新大陸とも提携を発表。住宅・不動産業界に特化した新大陸とココリブのタッグは、不動産テック領域においてのマーケティング成功事例を増やす取り組みとなるでしょう。

画像出典元:新大陸HP

さらに、ココリブは2019年12月に、VR内覧システム『ROOV(ルーブ)』を提供する株式会社スタイルポートとも、戦略的業務提携を締結しています。

画像出典元:スタイルポートHP

『ROOV』は、未竣工の新築マンションをブラウザ上で内覧できる不動産テックサービスです。特徴は、いつでも、どこでも、簡単に内覧ができる点です。『KASIKA』との連携により、展示場に来た顧客のファネルを従来よりも詳細に“見える化”できるようになりました。すでに、三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス 市ヶ谷」でのテスト導入がはじまっています。

家具をレイアウトした『ROOV』を『KASIKA』で見込み顧客へ送り、顧客として獲得できている(販売担当者)

現場アンケートの結果では、『KASIKA』と『ROOV』をすべての販売担当者が“毎日”使っていることがわかりました。一般に、営業や販売の担当者は、自分の接客スキームを変えたがりません。変えないことで、勝ちパターンに導けるからです。勝ちパターンとは、成約に結び付けるための接客手順を自分なりにアレンジした、ルーティーンを意味します。ここに、新しい運用や手順を取り入れると、自分の接客リズムが崩れることがあります。多くの営業担当者や店舗スタッフが、新しい取り組みを避ける理由がこれです。

手間取ったり上手く案内できなかったりしたら、いつものようには成約できないかもしれない

この不安を払拭するのは簡単なことではありません。不安は、業務支援ツールの不動産テックが不動産会社に浸透しない最大の理由でもあります。ここからは想像ですが、「自分のリズムを崩してでも使いたい」と思わせる魅力が、『KASIKA』×『ROOV』の連携にあるのではないでしょうか。この記事では、その一端に触れてみたいと思います。今回は、不動産業界におけるマーケティングオートメーション(MA)の活用を取り上げます。不動産テックを使って、「どうやって効率的にお客さんを獲得するか」がテーマです。

本記事では、2019年8月の不動産テックセミナーより、不動産業界特化型のマーケティングオートメーション『KASIKA』を提供する、ココリブの代表・山本考伸氏(写真上)のプレゼンをピックアップします。ご覧ください。

マーケティングオートメーションとは

山本:ココリブの山本と申します。不動産テックを活用するという話になったとき、私がポイントだと思っているのは、「使いこなすこと」です。本日は、その話をできればと思っています。よろしくお願いいたします。私たちの会社のサービスは、“超革新的なサービス”というわけではありません。すでに、ほかの業界では盛んに使われているサービスです。私は、楽天トラベルで代表を務めていました。3年前の話です。「このeコーマスのマーケティングノウハウを不動産業界に取り入れたらどうだろう」「もっと不動産業界のパフォーマンスがあがるんじゃないか」そんな思いを私は持ちました。そこから、私はココリブを立ち上げ、不動産業界に参入したという経緯です。会社の規模は、いま、15名弱です(2020年3月時点で20名)。半分がエンジニアで、開発をやっています。私たちが提供しているサービスは、商品が売れる仕組みを作って営業が仕事をやりやすくするためのサービスです。これを一般に、マーケティングオートメーションといいます。

山本:マーケティングオートメーションは、さまざまな産業で使われています。海外で有名なものだと、汎用的なサービスになりますがマルケト、セールスフォースが提供するPardot(パードット)などが代表的です。マーケティングオートメーションは、マーケティングの自動化+一斉化をやってくれます。ほかにもたとえば、以下のようなデータを分析します。

  • 顧客の属性
  • 居住エリア
  • どんなメールが開封されたか
  • どんなサイトがチェックされたか
  • その顧客の行動等

山本:それらをグループ化して、マーケティング活動に生かすのが、マーケティングオートメーションです。「ターゲットとなる顧客のために自社ホームページの内容を変えると、営業や広告からの成約率が高まる」そんな傾向を導き出すこともできます。それは、当社の『KASIKA』にも当てはまります。

たくさんのリード顧客がいるけど、確度の低いリードで電話するのはしんどい

そういう顧客は、そもそも電話を嫌がる

山本:そんなときにも、誰が“今すぐ顧客”なのかを『KASIKA』が掘り越してくれます。マーケティングオートメーションを使えば、どの顧客が何をほしがっているのかが一目瞭然です。

実需に特化したコンシューマー向け不動産と親和性が高い

画像出典元:ココリブHP

山本:マーケティングオートメーションを使っていくと、営業活動の優先順位が明確になります。明確になることで減っていくのが、顧客との無駄なアポ調整です。顧客の行動分析ができていて、ニーズを理解できているので、“確度の高い顧客から対応する”といった営業活動にもつながります。これで、結果的に成約率があがっていきます。顧客にとっては、ところかまわずかかってくる営業電話が減り、相談したい相手と“すぐに”つながることができる点がメリットです。他業界の事例をご紹介すると、Amazon、楽天、ZOZOなどのサイトで商品を買うとき、「なんでこのサイトは自分がほしい商品を紹介してくるんだろう」「どうして自分好みの映画を知っているのか」と疑問に感じることがあります。これは、マーケティングオートメーションが使われている代表例です。Amazonのprime videoなら、動画を見ている顧客の行動を分析し、新しい動画をポンポン紹介していきます。

山本:マーケティングオートメーションを導入しているのは、Amazonや楽天などに代表されるeコマースサイトの80%以上にのぼります。不動産業界に話を戻すと、商業用不動産というよりは、おもに、実需に特化したコンシューマー向けの不動産とマーケティングオートメーションの親和性が高いです。新築マンション、戸建ての販売、売買仲介などのBtoc領域が当てはまります。ところが、不動産業界ではマーケティングオートメーションの認知度、利用度は現在も低いです。現状を個人的には、「もったいないなあ」と感じています。裏を返すと、不動産業界の営業担当者や仕入れ担当者がとても優秀であることの証でもあります。「データに頼らなくても、優秀な営業・仕入れ担当者が不動産を売るので、私たちにマーケティングは必要ない」自社はそれでもよいかもしれませんが、優秀な営業担当者をたくさん抱えていない他社が、マーケティングオートメーションを使いはじめたとなると、黙って見ているわけにもいきません。

ポイントは、営業担当者がマーケティングツールを使うこと

山本:ここからは、マーケティングオートメーションをどうやって使ったらいいかというテーマに移ります。当社のサービスを導入した不動産会社さまの事例から見えてきたポイントを1つご紹介します。マーケティングオートメーションでは、自社ホームページを中心にして顧客のリードをとるという発想が基本です。現状では、新築マンションを売るときに自社ホームページからとれているリードは、半分以下であるケースが圧倒的な多数を占めます。売買仲介なら、リードの7、8割を大手のポータルサイトに頼っている状況でしょう。これを自社に切り替え、大手ポータルサイトと連携してやっていくことが重要です。

山本:マーケティングオートメーションを導入するときに共通していえるアドバイスとして、不動産会社の営業担当者にとって使いやすいUIであったり、データ結果であったりすることが重要です。これは、『KSIKA』に限った話ではありません。もし、不動産会社の状況が以下のようなものであったなら、それは、マーケティングオートメーションの効果を得られていない危険性が高いです。

マーケ部の担当者がマーケティングツールを使っています

営業所長がマーケティングソフトを使っています

山本:大事なのは、チームの管理者や分析をする担当者ではなく、顧客に商品を提案する営業担当者がマーケティングツールを使うことです。よって、不動産会社の営業担当者にとって使いやすいプロダクトであることが、マーケティングオートメーションの成果を最大化するうえで極めて重要になってきます。私たちの『KASIKA』は、不動産業界に特化したマーケティングオートメーションですが、『KASIKA』と似たようなことができれば、そのマーケティングツールを継続して使ってもらえれば、効果は得られるはずです。ただし、繰り返しになりますが、そのツールを使う人は、不動産会社の営業担当者でなければなりません。

画像出典元:ココリブHP

山本:なぜ、営業担当者がマーケティングツールを使うことが重要なのか。それは、不動産取引には必ず人が介在するからです。契約や取引がネットで完結する場合は、その“サイト”が、顧客に働きかけます。Amazonならこうです。

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山本:これを受け取った顧客は、ネット上で契約や取引を完結させられます。ところが、不動産取引はそうはいかない。取引や契約に営業担当者の存在は欠かせません。ポイントとなるのは、どの見込み顧客にアプローチするかです。よって、「誰に声をかけるか」「どうやって声をかけるか」を営業担当者がパっと見てわかりるインターフェースでなければなりません。スライドは、『KASIKA』の実際の画面です。

山本:『KASIKA』の管理画面では、営業担当者単位、支店単位などで顧客情報を見ることができ、優先顧客がズラッと並びます。「誰でもわかるように」を意識したUIです。

山本:営業担当者は外にいることも多いので、スマホから見てもわかりよう配慮しています。営業担当者が見てわかりやすいインターフェースで、管理者層からの評判も上々です。賃貸仲介・管理なら店長、マンションデベロッパーなら販売所長などが見るときにも、わかりやすいような工夫をしています。

紙をウェブにアップロードすることでマーケティング効果を高める

山本:不動産業界には、インターネットに載っていない情報が多いです。これを自社のウェブサイトに掲載することで、顧客を自社サイト内で回遊させることができます。回遊データをマーケティングオートメーションで分析すると、データになっていない顧客行動を客観的に分析することもできるのです。たとえば、査定書やオススメ物件のマイソクです。これまで紙だったデータは、現在、顧客に送るタイミングでスキャンしている場合が多く見られます。PDF化し、メールに添付するなどの対応をしているはずです。このPDFを一度、ウェブ上にアップロードし、そのデータが閲覧されたかどうかなどの顧客の行動を分析します。

もっとも顧客が見ているマイソクはどれか

どのマイソクに興味を持った顧客が、自社サイトのどこを回遊したか

山本:これまで紙でしかなかったマイソクをマーケティングオートメーションで使えるデータに変換することも当社では対応しています。これは、私たちのクライアントである某・仲介会社さまの要望から実現したサービスです。技術的には、7年前くらいの内容で、決して新しいテクノロジーではありません。ですが、非常に効果的です。某・仲介会社さまは、上記のような対応にトライし、顧客の動きを詳しく解析したところ非常に興味深いデータを集めることができ、驚かれていました。この経験から、まだまだ分析に使われていない情報が不動産業界には存在して、紙のPDFなどもしっかり分析することで、不動産会社さまに提供していかないといけないなと実感しています。

山本:マーケティングオートメーションを導入すると売上がすぐに伸びる、というのはわかりやすい、一義的な導入理由です。今日はそれだけでなく、「長期的な視点で考えても、マーケティングオートメーションは有用である」という話もしたいと思っています。継続してデータを分析すると、いろいろなことが見えてきますという話です。たとえば、「家を買いたい人は、大手ポータルサイトからの反響と、自社ホームページからの反響と、成約にどのくらいの差があるか」「駅ごとに、配ったチラシから自社ホームページを閲覧した人の割合はどのくらいか」などです。

山本:マーケティングオートメーションを使い続けると、そうしたデータがどんどんたまっていきます。たまっていくと、「代理店に入ってもらって制作した豪華な自社ホームページがあるけど、ここと、ここの2ページだけあればよいのではないか」などの傾向も洗い出せます。これを積み重ねることで浮かび上がるのが、自社の新たな勝ちパターンです。

山本:顧客が大手ポータルサイトから問い合わせてきた場合、どこに、どんなメールをいつ、何通送り、自社のどのページへ誘導すると成約につながりやすいか。一度見えると、「この場合は、こういうパターンも確度を高められる」と、勝ちパターンを増やせる。これらを持って、ぜひ、自社の営業担当者に、確度の高い顧客を“可視化”してあげてください。できるようになれば、不動産会社さまにとっても顧客にとってもよい状況になっていくのではないでしょうか。

 

 

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