AI賃料査定システム「CTScan」がもたらした賃貸業界での新たな兆し。わずか半年で100社が導入!

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AI賃料査定システム「CTScan」がもたらした賃貸業界での新たな兆し。わずか半年で100社が導入!

はじめに

少子高齢化に歯止めがかからず、将来の労働力低下が深刻な社会問題となっている現在。人手不足に悩む不動産会社は、テクノロジーを活用した業務効率化に会社存続の活路を見出しています。

その中で今、注目を集めているのが、これまで精度に不安のあった賃料査定システムです。人工知能(AI)の導入機運と、「新しい石油」とも呼ばれるビッグデータの活用機運の高まりにより、査定賃料の算出精度が各段に上がってきたのです。

*「Data is new oil(データは新しい石油)」。最近、米国ではビッグデータはそのように称されることがあります。この言葉には、21世紀のデータは、18世紀の石油のようだ、つまり「まだ開発され尽くしていないけれど、確実に価値のあるもの」という意味だけでなく、「開発・加工しなければ価値が生まれない」という皮肉も含まれているそうです。

実際にAIによる賃料査定システムの精度は、どのくらい改善されたのか。また賃貸営業マンの働き方はどう変わるのか。AI賃料査定システム「CTScan(シーティースキャン)」を共同開発した株式会社コラビットの浅海代表(写真左)と、株式会社ターミナルの取締役である高澤氏(写真右)に伺いました。

賃料査定の屋台骨は大量の空在室データにあり

Q:AI賃料査定システム「CTScan」で不動産会社の何が効率化されるのでしょうか。

高澤:そもそも「賃料査定」はかなり手間暇がかかる作業です。多くの管理会社は、担当者が査定のために、「インターネットで該当物件の周辺で、類似物件を検索をし、情報を集め、印刷し、それをまとめる」ということをする。それだけで数時間、長いと1日かかってしまったりすることもあります。

管理会社によっては、例えば「この部屋の賃料は6万円です」と査定するのに、査定物件はもちろん、周辺の競合物件の賃料やその他のスペックなどの判断材料を収集します。賃料の高低にかかわる周辺環境まで細かく調べ、念入りに現地調査まで行うんですね。ただし、担当者たちは他の業務もあるので、現地調査と他の業務を並行して進めなければならない。そうすると、じっくり丸一日をかけて現地調査をできず、少しずつ現地調査を行うことになる。なので、1〜2週間の時間を要するということもよくあります。

この「机上査定に必要な情報収集・解析」の作業を代行するのが「CTScan」の役割です。我々だけでは開発できないので、AIを使ったデータ解析とビジュアライゼーション(事象の可視化)に長けたコラビット社に協力を打診して、何とかリリースにこぎつけました。

Q:ある管理会社では「人間との誤差は5%」と手ごたえを感じる声があがっていると聞きました。数分で算出して、最後は人間が微調整すればいいと。

高澤:正確な賃料を査定するには、正確な賃料データを抱えていることが大前提になりますよね。正確な賃料データとは、すでに人が住んでいる「成約賃料」を指します。ウェブ上に出回っているのは、空室物件の「募集賃料」。国内の賃貸住宅の空室率は1〜2割と言われています。弊社は、市場の1〜2割しか占めていない「募集賃料」だけでなく、残りの8〜9割の当時の「募集賃料」および、一部「成約賃料」データも集めています。そのため実勢価格に近い数値がでます。

「CTScan」は、その空在室両方の賃料データを収集しているところが大きな特徴です。それは不動産各社が日々使っている「賃料管理システム」の情報が元となっています。賃貸管理システムが提供しているシステム、つまり不動産各社が日々入居者の契約情報や賃料数値などを管理するための「日々、更新されるシステム」を使っています。

一方で、様々な管理会社や仲介会社が手入力、もしくはコンバートシステムを使って空室情報を登録しているポータルサイトでは、賃料価格は「早くとも1週間に1回更新すればいい。更新の遅延が起こると1〜2か月ほど更新がない。」と言われているものが大半で、前者と比較すると更新頻度がまったく少ないです。「精度が高い」と言われる根拠はここにあると考えています。

浅海:この賃貸管理システムのデータを収集できるアドバンテージは非常に高いです。世の中の賃貸住宅は、空室数よりも在室数のほうが圧倒的に多いですから。

高澤:不動産各社の在室のデータを束にして持っているのは、弊社の強みですよ。

浅海:その在室データ、弊社のAI技術を掛け合わせる形で「CTScan」が生まれました。元々弊社は、不動産の売買価格推定システムをつくっていて、すでにノウハウを持っているんです。売買と賃料では少し違いがありますが、ベースは同じで、不動産のデータにAIが慣れていることが有利に働きました。

*コラビット社は、2015年よりHawMa(ハウマ)という売買価格推定システムを運営しています。

高澤:一方で地方の人口が少ない地域は賃貸住宅も少なくなる。ということはデータも少なくなってくるので、その分査定の精度も落ちてきます。そうなると、「ちょっとずれちゃうよね」と言われることもあり、現状では、都市部と地方で情報の精度に差が出ることは否めません。

ただそこは、管理各社から「CTScan」にデータをもっと提供いただくことによって、精度をあげていくつもりです。「CTScan」を見て、「使いたいです」と問い合わせをくださる不動産会社には現状、データをいただく代わりにシステムは無料で使っていただいています。仕組み上、利用者が増えればデータが増えて、同時に精度も上がるというイメージですね。

浅海:今はそういう状態で提供しているので、広告も打っていないのに、公開半年で導入企業が約100社に達しました。

管理会社の努力を可視化したい

Q:これからどんな機能を開発していきますか。

浅海:直近で見えているのが、管理会社向けの機能です。周辺物件の中で、「うちの物件、賃料だったらこのポジションなんだね」と例えていうと偏差値(物件の競争力)のようなものがわかる仕組みを提供しようと準備しています。大きな要素として「駅からの距離」と「築年数」の両軸で見られるようにしていきます。

そうすれば営業マンはオーナーに対して「その高すぎる賃料では空室は埋まりませんよ。周辺の賃料はもっと安いじゃないですか」とデータをもって証明できるようになります。逆に、相場より賃料が高いとわかれば「ずっとメンテナンスしていてよかったですね」という信頼関係に厚みを持たせるトークができるようになります。今は「高いですよ」って伝えるだけなので、オーナーから信じてもらいにくい。

高澤:そこはやはり管理会社から求められているところですね。オーナーも周辺物件の比較の中で提示すれば、納得できるかもしれません。

浅海:物件の偏差値がわかれば、自分の物件に足りないものを明確に求めることができるようになります。管理会社は課題を一つずつ解消していけば、オーナーは「この管理会社の物件は、平均よりも築年数が古いのに賃料は築浅並み。他社の管理物件と比べて、常に上位にいるね」と気付いてもらえるようになります。各社の管理物件の成績が可視化されれば、いよいよ不動産会社間で本質的な勝負ができるようになってくるはずです。不動産会社は自社の実力をオーナーにわかりやすく提示でき、オーナーもそれを見て正確な判断ができるようになるでしょう。

プロフィール

■株式会社ターミナル 高澤郁理取締役

1989年12月生まれ。新卒でネクスト(現・ライフル)に入社。その後、賃貸管理ソフトの開発会社・ビジュアルリサーチを経て、16年11月にターミナルに参画。6月に同社取締役に就任した。現在は「CTScan」以外の事業として空き家を利用したネット通販の不正防止ソリューション「adwhite」に力を注いでいる。

■株式会社コラビット 浅海剛社長

1979年8月生まれ。IT企業のジャステックで金融系システムを開発していた。2007年に独立し、企業向けCMS事業を行ったものの、2011年に譲渡。映画サービスを手掛けるベンチャー企業のCTOを経て、2015年にコラビットを設立した。「社会問題の解決に挑戦しよう」という視点で、売買価格の相場システム「HawMa(ハウマ)」を立ち上げた。不動産取引における情報格差を解消することが狙いで、現在日本全国の不動産所有者が使っている。2018年3月には「スマート不動産売却」で特許を取得している。

 

 

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