【管理会社必見】業務効率化の解は“不動産DX”と “BPO”【不動産テックイベントレポート】

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【管理会社必見】業務効率化の解は“不動産DX”と “BPO”【不動産テックイベントレポート】

はじめに

2021年10月7日~10月8日に、住宅ビジネスフェア2021/非住宅 木造建築フェア2021/マンション総合EXPO 2021/賃貸住宅・アパートEXPO 2021が開催されました。

今回は、10月7日に行われた「特別講演【管理会社のDX事例】高齢入居者の見守り訪問始めました!不動産DXとBPOで社員の働き方を変える仕組みとは?」をレポートします。

講演者は、株式会社アミックス(※)にて、賃貸事業本部の本部長を務める、深澤成嘉氏(以降:深澤氏)です。宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士・CPM(米国不動産経営管理士)・不動産コンサルティングマスター・上級相続支援コンサルタントの資格を持ち、実務経験も豊富な深澤氏の実体験が語られました。発言のポイントをまとめていきます。

株式会社アミックス…管理戸数約10,000戸。その9割以上が自社建築の木造ワンルームアパートのサブリース物件である。

日本で初めて媒介取引で賃貸借契約を電子化した件

2017年に日本初の電子契約を締結した経験から、電子化が業務効率化に寄与すると、深澤氏は語ります。

深澤氏:はじめにお話しするのは、日本で始めて賃貸借契約を電子化した件についてです。

アミックス入社当時の2017年は、不動産テックベンチャーが業界に参入してきたタイミングでした。とはいえ、不動産テックの潮流が来ていたくらいで、実例はあまりなかったです。

そんな中、たまたま勉強会で東急住宅リースの方が電子契約の話をされていました。電子契約について初めて知ったのはこの時です。
それは東急住宅リースとソフトバンクC&Sのサービス(「IMAoS」)がリリースされたタイミングでした。弊社はサブリースの物件がほとんどで、契約体系がシンプルであったため、電子契約の導入の障壁が低いと感じ、システムを導入しようとなりました。

そして2017年11月、新小岩の不動産仲介店において、日本初の電子契約による賃貸借契約を締結することができました。
以後、弊社では現状、ほぼ全て電子契約(PDF)で業務が回っています。

コロナになり、宅建業法の改正なども前倒しで進んでいるように感じますし、こういった法律の後押しも踏まえて、仲介の現場でもペーパーレスで業務が回っていくと、業務効率化になると思っています。

リーシングの電話対応をアウトソーシングしてみた件

業務効率化に向けて、電子化などを取り入れることも大事ですが、社内で行うことと社外でもできることを切り分け、後者は「BPO(Business Process Outsourcing)を活用することも業務効率化の解になる」と実体験から深澤氏は語ります。

深澤氏:「餅は餅屋」とよく言うのですが、一般的な一次受け付けのみのコールセンターではない、リーシングやクレームの電話対応を専門とするコールセンターをパートナーとし、アウトソーシングすることが、業務効率化の解だと考えています。

管理会社は、繁忙期(1~4月 引越しシーズン)と平時の電話対応の業務量に大きく差があることが特徴的です。
弊社も、電話対応をアウトソーシングする前は、「繁忙期に合わせて派遣の方と契約し、教育してまた春終わりに契約を解除する」ということを行っていました。しかし、現場から教育コストが掛かるとの声が上がっていました。

そこで、リーシング電話対応専門のコールセンターにアウトソーシングを開始。受け答えの質が高いのは当然として、弊社のルールについても約一ヶ月でマニュアル化し、導入が秋口にも関わらず繁忙期にはかなりスムーズに業務を回すことができました。
また結果として、社員が単純作業としての電話対応から解放され、契約書類の作成や審査など、より重要な業務に専念してもらえるようになりました。

アウトソーシングによって業務分担できたことで、結果として業務効率化が図れていると考えています。また、アウトソーシングすることにより人件費を変動費化することで繁忙期も閑散期も均すことができました。

コロナ禍で取り急ぎ在宅勤務へシフトした件

緊急事態宣言によって強制的に在宅勤務にシフトしたことで、結果的にデジタル化が社内に浸透し、雑務が減り、不動産収益の最大化という管理会社のミッションに取り組む時間が捻出できていると深澤氏は語ります。

深澤氏:2020年4月から緊急事態宣言が出たことで、サービスを止めないためにも、在宅勤務で稼働する流れになりました。もともとはデスクトップのパソコンでしたが、40台のノートパソコンを購入して、社員と2人で、3日でキッティングして、社員に配布しました。

在宅勤務を阻害する要因は、紙と郵送、電話やFAXなど、物理的な部分だと思っています。幸い弊社は、電話対応はアウトソーシングしており、客付けは相変わらず機能していましたので、割とスムーズに移行できたと思っています。会社に来なければならない社員もいましたが、FAXをPC-FAXに切り替える、メール文化をチャットに切り替え、基幹システムと連動させるなどインフラを整えることで、サービスを維持できました。
結果、デジタル化を進めることで情報共有が直ぐできるようになりましたし、紙や郵送等の非効率な業務を基本的に廃止することで、業務効率化が進みました。

私は、デジタル化することはあくまでも“DXのための準備”だと考えています。「DXって何から始めたら良いか?」とよく聞かれますが、まずはとにかくペーパーレス化し、郵送を無くすことだと言っています。そうすることで契約にかかるスピードが圧倒的に速くなりキャンセルなどの抑止につながります。

管理会社がやるべき仕事は、「PM = 不動産収益を最大化するために考えること」です。
雑務に追われていた社員の時間をデジタル化やBPOによって開放できれば、その分の時間を本来の仕事(PM)に転嫁できます。

そのおかげで、今年の繁忙期から開始することができた新しい入居者様向けのサービス「高齢入居者の見守り訪問」があります。

高齢入居者の見守り訪問を始めた件

業務効率化の結果、雑務に追われていた社員が入居者向けの新規サービスを考える余剰が生まれました。その結果、本来クレームや入居者の安否確認など精神的な負荷を強いていた社員の働き方を変え、人の役に立ちたいと思うモチベーションが働き方改革につながっていると深澤氏は語ります。

深澤氏:弊社の管理物件には20年~30年居住されている入居者が結構な割合でおられます。そういった方が高齢化し、孤立死でお亡くなりになったり、高齢者でなくてもコロナ禍による状況の中、自殺をされてしまう方もいます。
「なんとかして防ぐことはできないか?」と社員から声があがり、高齢者見守り訪問サービスを始めました。

具体的に行っていることは、「高齢者の方のご自宅に、余計なお世話ですが訪問する」ことで、住まいの不具合や健康状態の確認、必要であれば地域包括支援センターと協力して入居者のサポートを行うことです。
孤立死を無くすためには、むしろ入居者に積極的に関わっていくことしかできることがないのではと思っています。
高齢入居者向けに死後事務委任契約や残置物の処分に関するサービスを行っている(株)OAGライフサポートのパートナー企業となり、今後も高齢者入居を積極的に展開していくつもりです。

最後に 管理会社の目的・組織の在り方

これまでの経験から深澤氏が考える「賃貸管理会社の目的」と「目的を達成するための組織の在り方」が語られました。

深澤氏:賃貸管理会社の目的は、「不動産収益を最大化することでオーナーの満足度を上げること」だと思っています。

そのために必要な組織の在り方、考え方は、以下の順と考えます。
① 社員の働く環境を整理して社員満足度を上げる
② テナントサービスの質が上がり、テナントリテンション(入居者保持)、入居者満足度が上がる
③ 不動産収益最大化につながり、オーナーの満足度が上がる

高齢者見守り訪問サービスも社員から挙がってきて実現した、入居者様の満足度を高めるサービスです。
社員満足度を上げることを最優先に取り組まないと、サービスの質の向上の先にある、「オーナーの満足度を上げる」という管理会社の目的を果たせないのではと今は考えています。

まとめ

本講演では、「管理会社における業務改善の具体例」が語られました。

● 電子契約や電子申込で、在宅勤務にも対応できるように紙や郵送等の業務を廃止するなどデジタル化を進める
● 社員でなくても出来得る単純な事務作業や電話対応ついては外部の専門パートナーにアウトソーシングする
● 結果、社員の本来行うべき業務に専念できる労働環境が整備され、社員満足度が上がり、よりよいサービスの提供が進み、不動産収益の最大化・オーナーの満足度の向上につながる

ITツールやアウトソーシングを活用して、社員が本来リソースを割かなければならない業務に特化出来る体制作りをいち早く行うことが「他社との差別化」につながるのではないでしょうか。

(ライター・IY リテック株式会社 代表取締役 吉川智也/編集・SUMAVE編集部)

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